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道化師に憧れた僕が自分の病を治す方法  作者: 百良
第二幕『舞台のキセキ』
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初めての景色

 遊園地に着いた四人は最初に羽音(ねお)が乗りたがっていたジェットコースターに向かった。

 心奏(しおん)は目を輝かせ先頭を歩き、その後ろで羽音と響彩(とあ)もワクワクしている様子だった。

 修治(しゅうじ)は心奏が迷子にならないよう隣で寄り添いながら、心奏の表情を見て微笑んだ。

 ジェットコースターの前まで来ると並んでいる列の最後尾に四人は並んだ。

 列に並びながら、心奏は初めてのジェットコースターに興奮冷めやらぬ様子で周りを見渡す。

「どうした?」

 隣にいた修治が尋ねると、心奏が目を輝かせながら答えた。

「このジェットコースター、すごく高いね。景色が綺麗に見えるなと思って」

「いや、乗ってる間は景色見る暇ねぇと思うぞ」

 羽音が笑いながら言うと、響彩もクスッと微笑みながら頷いた。

 二人の様子に心奏は修治の顔を見た。

 修治は心奏の視線に気づき、何も言わずにコクンとだけ頷く。

「そんなぁ」

 心奏がガクリと肩を落とすと、羽音、響彩、修治の三人が心奏の様子に微笑むのだった。


 暫くすると列が進み、それと共に胸が高鳴るような緊張感が心奏を包んでいく。

 ジェットコースターの乗り場に到着した心奏達はスタッフの案内に沿ってジェットコースターに乗り込む。

 心奏と修治は一番前の席に、そのすぐ後ろの席に羽音と響彩が座った。

「それでは、行ってらっしゃい!」

 スタッフの声と共にジェットコースターが動き出した。

 ガタンッゴトンッという音が響く度、心奏達の身体が垂直になっていく。

 そして、坂の上で少し止まった時に羽音が心奏に聞こえるように叫んだ。

「歯ぁ、食いしばれよ!心奏!」

「え?」

 心奏が後ろを振り返ろうとしたが、修治が心奏の腕を掴み首を横に振る。

 次の瞬間、心奏は突然の風圧にギュッと目を瞑った。

「目を開けろ、心奏」

 修治の声に心奏が目を開けると、目の前を沢山の色が高速で通り過ぎて行く。

「凄い…」

 心奏が目まぐるしく変わる景色を見ながらボソッと呟いた。

 その後も目をキラキラさせながらジェットコースターから見える景色を眺めていた。


「ほら見ろ、心奏。景色見てる暇なかっただろ?」

 ジェットコースターから降りると羽音がニヤニヤしながら心奏に尋ねた。

「そんな事ないよ。凄く綺麗だった」

 心奏がそう答えると、響彩が「そう。なら良かった」と微笑んだ。

 続けて羽音も微笑みながら、心奏の頭をくしゃくしゃと撫でた。

「オレも心奏達と乗れて楽しかった!さぁ、次のアトラクションに行こうぜ」

 心奏は嬉しそうに頷いた。

「うん!」


 それから四人は夕方まで遊園地のアトラクションを遊び尽くした。

 そして、最後に響彩が乗りたがっていた観覧車に四人で乗り込んだ。

 観覧車に乗りながら、四人は夕陽に染まる景色を楽しんでいた。

 心奏は修治の隣に座り、正面に羽音と響彩が座る。

 夕陽が差し込み、眩しそうに目を細めながら心奏は思わず口を開く。

「皆、今日は本当に楽しかった。ありがとう」

 羽音と響彩も優しく微笑み、心奏を見つめた。

「こちらこそ。心奏と遊園地に行けるなんて思わなかったから」

 響彩のその言葉に心奏の胸はあたたかな感動で満たされた。

「また来ようぜ。センセイが暇な時に」

 羽音の言葉に修治がムッとしたように羽音を見た。

「暇な時はないがな」

 修治の不貞腐れたような声に心奏と羽音、響彩はプッと吹き出した。

 そして四人は観覧車の上から見る夕焼けを背に、心地よい時間を過ごしたのだった。

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