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道化師に憧れた僕が自分の病を治す方法  作者: 百良
第二幕『舞台のキセキ』
43/150

眠り王子

――ピンポーン――

 二日後の夕方。

 心奏(しおん)響彩(とあ)羽音(ねお)の家のインターホンを鳴らしていた。

 テーマパークでの手伝いと演劇を完璧にこなし帰宅した後、羽音は緊張が解けたのかテーマパークに行った夜からずっと眠り続けていたのだ。

 羽音の様子を見るため、心奏と響彩は羽音の家を訪れていた。

「はーい!」

 家の中から元気な声が響き、少しするとドタバタという音と共に家の扉がガチャリと開いた。

「あっ、心奏くんに響彩ちゃん。いらっしゃい」

 扉から顔を覗かせたのは羽音の姉である、茜音(あかね)だった。

 心奏と響彩が家の扉の方に歩いて行くと、心奏が紙袋を茜音に渡した。

「茜音さん、この前ぶりです。羽音の様子はどうですか?あ、あとこれ、お見舞いのお煎餅と学校の配布物です」

 心奏から紙袋を受け取ると、微笑んだ茜音は二人を家に招いた。

「せっかく来たんだから、羽音の顔だけでも見て行ったら?まだ寝てるけど…」

「では、お言葉に甘えて……」

 茜音の言葉に心奏はニコッと微笑むと、響彩と共に羽音の家に上がった。


 茜音の案内の元、羽音の部屋の前まで行くと茜音が部屋の扉を開けた。

 そして、部屋の中に紙袋を棚に添わせるようにして置いた。

「どうぞ。お茶持ってくるから、ごゆっくり」

 その言葉に心奏と響彩は「お構いなく」と答えたが、茜音はそそくさとお茶を取りにキッチンの方へ行ってしまった。

 茜音が去った後、心奏はベッドで眠っている羽音の顔を見つめた。

 それはまるで、童話の眠り姫を思い出すような、そんな寝顔だった。

「まるで眠り姫ね」

 響彩がそう言うと、ははっと笑った心奏がコクンと頷いた。

 そして、羽音に近づくと微笑んだ。

「きっと王子様……いや、お姫様を待ってるんだろうね」

 心奏がそう言いながら、羽音の頬に手を伸ばした時だった。

 ガタッという音と共に、羽音が起き上がり心奏の手首を反射的に掴んでいた。

 心奏の顔と羽音の顔が、鼻が触れそうなくらい近くなる。

 その場にいた心奏と羽音と響彩、皆が目を大きく見開いていた。

「えっ?はっ?どういう……?」

 羽音は混乱しているのか、心奏の手首を掴んだまま硬直していると「何事⁉」という声と共に茜音が部屋に飛び込んで来た。

 そして、羽音の起き上がった姿を見て目を丸くした。

「起きたの?羽音……」

 茜音の問いに未だ意味を理解していない羽音が「お、おぉ」と返事をした。

 心奏、響彩、茜音の三人に囲まれている羽音の手は震えており、次にどんな言葉が飛び出るのかと怯えるような目をしていた。

 それに気が付いた心奏は掴まれている方と逆の手で羽音の手を包み込むと優しく言った。

「羽音、君はね。あの日から二日間眠っていたんだよ?起きたばっかりで何言ってるのかと思うだろうけどね……」

 心奏の言葉で自身が囲まれている理由を理解した羽音は、心奏の手首を放し額に手を当てた。

「あー、心配かけた。すまん……」

 羽音の言葉に、響彩が羽音の元まで行き背中をパンッと叩く。

 そして、羽音の顔を覗き込むとムッとした表情を向けた。

「すまんじゃなくて。おはようでしょ」

 響彩がそう言い微笑むと、心奏と茜音もニコッと微笑んだ。

 最初こそ訳が分からず目を丸くしていた羽音だが、三人の顔を順番に見ると目を細めた。


「あぁ。おはよう、お前ら」

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