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道化師に憧れた僕が自分の病を治す方法  作者: 百良
第一幕『事実は演劇より奇なり』
25/150

劣等種

 ――数日後の放課後。

 心奏(しおん)達は購買の前に張り出されたポスターサイズのある紙を眺めていた。

「そうだった。今日ってテストの順位発表の日かよ…」

 心奏達が通う高校、高嶺(たかみね)高校ではテストの順位発表になると各学年10位までの生徒が購買の前のホワイトボードに張り出される。


「私達は二年だから、この用紙ね。えっと順位は…」

 響彩(とあ)が指で10位の方からなぞっていく。

 その指に心奏と羽音(ねお)も視線を向ける。

「私は4位、まぁまぁね。心奏は前と同じで2位。羽音は名前無しね」

 響彩がそう言いながら羽音の方にキッと目線を向ける。

 羽音はその視線に、不愉快な表情をしながらも響彩に反論した。

「しゃあねぇだろ!各学年約150人はいるんだぞ⁉そん中でここに載るやつの方がやべぇだろうが!」

「羽音は最近演劇で頑張ってたし、別にいいんじゃないかな?僕らだって演劇で忙しい月は順位落ちるし……」

 心奏の意見に響彩は「でも…」と納得出来ないような表情をしたが、すぐに呆れたような表情に変わり続けた。

「確かに、羽音は最近忙しそうだったわね。じゃあ、今回は見逃してあげる」

 響彩の言葉に、くすっと心奏が微笑むと羽音と響彩もそれにつられるようにして笑った。


 その時、とある声が購買に響いた。

「あれあれ〜、誰かと思えばB組の草柳クンじゃ〜ん」

 羽音達が声の先に視線をやると複数人の男子生徒がこちらに向かって来ていた。

「誰だ?お前」

「俺様の事を知らね〜なんて、やっぱり()()()だな〜w」

 男子生徒がそういうと心奏と響彩に目線を向け続けざまに言った。

「おやおや、さらに劣等種が2匹も居んじゃんw」

 羽音はその言葉に男子生徒を睨みつけると、男子生徒に近づきながら「おい…!」と言ったが、心奏がそれを手で制止した。

「君達の事を存じ上げていないのは申し訳ない。でも、君達に『劣等種』と呼ばれる筋合いも僕らにはないはずだけれど?」

 心奏が丁寧に男子生徒に言うと、男子生徒は心奏達の真横にある順位表に手をバンッと叩きつけた。

「俺様は今回3位を叩き出したんだぞ?俺様はそれほど偉いんだ。だから貴様らは劣等種だ」

 男子生徒が自信満々に心奏達を見る一方、響彩はそんな男子生徒を嫌な物を見るような目で見る。

「なら、羽音と私は劣等種かもしれないわね」

 その言葉に男子生徒が威張るが「でも…」と響彩は続けた。

「残念ながら、アンタも劣等種みたいよ。心奏からしたらね」

 男子生徒が狼狽えていると響彩が続ける。

「だって、心奏は2位より順位を落とした事はないのよ。ならアンタも『劣等種』よね?」

 その言葉を聞いた瞬間、男子生徒は心奏の方を見た。

 心奏はいきなり視線を向けられわけも分からず、ニコッと男子生徒に苦笑した。

 その行動が恐ろしく感じたのか、男子生徒は他の男子生徒を連れて逃げていった。


「響彩、言い過ぎだよ」

 心奏がそう言うと響彩は男子生徒達の逃げていった方を見ながら鼻で笑った。

「そうかしら?アイツらにはこれくらいがお似合いじゃない?」

 その言葉に心奏は「あらあら」と口にして微笑んだ。

「すまねぇ。オレの私情に巻き込んじまって…」

 その羽音の言葉に二人は顔を見合わせるとそれぞれ口を開いた。

「別に迷惑だなんて思ってないし、羽音が無事ならそれで良かったよ」

「それにアイツらから仕掛けて来たんだし、羽音が謝る必要ないじゃない」

 二人のその言葉に羽音はニカッと笑う。

「じゃあ、練習行くか…」

 羽音の言葉に心奏と響彩は頷き、靴箱の方へ歩いて行くのだった。

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