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道化師に憧れた僕が自分の病を治す方法  作者: 百良
第一幕『事実は演劇より奇なり』
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遊園地

 それから日が経ち、いよいよ遊園地で演劇をする日がやってきた。

 心奏(しおん)達は開園時間前に、遊園地の敷地内に入れてもらっていた。

「ところで、なんでセンセイまで一緒なんだ?」

 羽音(ねお)が三人の後ろからついてくる修治(しゅうじ)を横目に見る。

 心奏は羽音のその問いに対して、朝の出来事を思い出すように、晴れ渡った蒼い空を見上げながら答えた。

「僕はまだまだ本調子じゃないし、今日は遊園地っていうほとんど自由な場所だからね。護衛兼スタッフって感じかな……」

「あぁ、そういう事か。ならしっかり手伝ってもらわねぇとな」

 羽音が太陽のような笑顔を心奏と響彩に向ける。

 その様子に心奏、響彩(とあ)、修治はため息をついた。

 暫く園内を歩くと、アトラクションから少し離れたところに小さな屋外ステージが敷設されていた。

「ここでやるの?思ってたよりは広いステージね」

 響彩がステージを客席側から見渡す。

「うん。さぁ、今からが大変だよ。準備開始だ!」

 心奏が拳を突き上げると「オー」と、羽音と響彩も拳を突き上げた。


 四人はそれぞれ黙々と自身の仕事をこなしていた。

 その沈黙を破ったのは羽音だった。

「おーい。こっち終わったぞ〜」

 羽音がドライバーを片手に心奏の元に駆け寄った。

「こっちも終わり。壊れかけの小物が意外とあってビックリしたけど……」

 響彩がステージ脇の扉を開けて、心奏に声をかけると、歩いて心奏の方へ近寄った。

「俺の方も終わった。大体の落ち葉なんかは除けれたはずだ」

 修治がステージの側で箒を逆さまに持ち、杖のようについて体重を預けている。

「皆終わったんだね、お疲れ様。僕の方もだいぶ前に終わってて……思ってたより早く終わっちゃったな」

 心奏が台本兼計画表とスマホの時計を交互に見ながら言う。

「なら遊園地、散歩しに行くか?ショーの開幕にはまだ時間あるしな」

「そうね。気晴らしに行くのもいいかも」

 羽音の言葉に響彩が同意し返答を待つかのように、二人の視線が心奏に向く。

「そうだね。少し散歩しよっか」

 そうして、心奏達はステージを離れたのだった。


「うわぁ、何あれ。これも見た事ないし、そっちのも――」

「はいはい。分かったから離れんなよ。お前はいつも迷子になんだから」

 様々なアトラクションをキラキラした瞳で見つめる心奏の言葉を遮り、羽音が呆れたような声をあげる。

 遊園地には、もう沢山の人が入園しており、色々なアトラクションを楽しんでいた。

 子供のようにはしゃぐ心奏、その側で心奏がはぐれないようにしている羽音と響彩、少し離れたところを歩く修治がその中を進んでいく。

「心奏は遊園地って初めてだったかしら?」

「うん。こうやってゆっくり見るのは初めて。病院からチラチラ見える事はあったけどね」

 響彩の問いに、心奏は動くアトラクションに夢中になりながら答えた。

「そろそろ戻らないと、開幕時間に間に合わんぞ」

 修治が三人と少し離れたところから声をかけた。

「「「はーい」」」

 三人はそう答えたが、心奏はどこかガッカリしたような表情を浮かべ修治の元に歩み寄った。

 そんな心奏の気持ちを汲み取ったのか、横に立った心奏の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。

「また落ち着いてきたら、今度は仕事じゃなくて遊びに連れて来てやるよ」

「本当に?」

「あぁ」

 修治のその言葉に、心奏はふふっと笑って「絶対ね」と言うと羽音、響彩、修治と共に屋外ステージの方へ歩き出した。

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