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第8話 外界街

 結果的に喜怒哀楽の4つの宝玉うち、カケル組が”喜玉”と”怒玉”を、オズ組が”楽玉”を所持するかたちとなった。

 また、イベントで組を変える者や脱退する者をフォルスネスという。フォルスネスは裏切り者という意味だが、果たして本当に裏切りか……?

 オズ達はクルーザーでは無く、ヘリを借りていた。

「取り敢えず、話は移動中に。アーネックの件で予定が狂ったな。”哀”の宝玉を手に入れないと……」

 ”哀”の宝玉は南西の海峡、カナーレと島のパダに挟まれたところにある。その近くの町まではヘリで移動することにした。

「ノボル、改めて久しぶりだな」

「そうだね。でもオズ、なんで最初会ったとき……」

「あの時はまだ早すぎた。情報を掴んでからの方がいいとおもってな」

 2人の会話をローブレットたちは静かに見守っていた。

「俺たちが住んでたところは、外だと”外界街(イディオタガイ)”って呼ばれてた」

 オズの言った外とは、町を囲んだ壁の外側、つまり国内のことである。

「言葉の通り、外界の街だ。昔のこと、憶えているか?」

「憶えてる。むしろ、最近のこと以上に」

「そうか……。”外界街(イディオタガイ)”への軍の侵攻も……か?」

「……はっきりとは憶えてないけど、あれは怖かった」

「多くの仲間がそれで失踪した。俺も連れて行かれたが、城下町に入る前に抜け出して……。今ここにいる」

「それじゃあ……、ニール達は……」

「死んではいないよ。宮殿にいるはずだ。俺たちの家族も」

「え?」

「なぁ、今の国王に会ったか?」

「ううん。壮行式は国王代理だったし……」

「そうか……。今の国王って、誰か知ってるか?」

「いや……」

「本来はディフェン・ダグラストだが、今は行方不明。今、国王になっているのは……、ジークル。お前の親父さんだ」

「えぇ……?」

「ただ、裏がいる」

 オズは裏がいると言ったが、一体どういうことなのだろうか……。

「そういえば、仲間の紹介がまだだったな」

 オズは話を一端区切り、紹介を始めた。

 ローブレットは、チーム唯一の女性で機械系に強く、今乗っているヘリを自動操縦化したそうだ。といっても、一からでは無く故障していた部分を少し修理しただけではあるが、相当な技術力の持ち主だろうと感じた。ゼルデムはパワータイプで、ハンマーを用いての戦闘はピカ(いち)だ。キローヌは喋らず、布やフードなどを深く被って表情が見えず、喋らない。僕が言うのもなんだが、コミュ障か?

「それと、もう1人いる」

 もう1人? オズ達の仲間は情報師チッターから聞いた時点ではこれで全員だと思っていた。

「テッツーという情報師の少女がいるんだ。ただ、事情があるらしく本名では無いし、直接会ったことが無いんだ」

 つまり、メンバーはオズとゼルデム、ローブレット、キローヌ、ノボル、テッツーの6人である。今のカケル組の人数と同じだ。

「ボスのことは言わないのか?」

 ゼルデムが言うボスとは誰のことか。オズは

「ノボル、こっちは向こうと違って指示があったとおりに動くんだ。だから、自由は少ないと思う。組織みたいなものだな」

「前々から気になっていたんだが、そのボスについて何で俺らに一切教えてくれないんだ?」

 ゼルデムはそれを不満に思っていたようで、オズは

「すまないが、ノーコメントだ……」

「何故隠す?」

「ゼルデム、よせ」

 ローブレットが騒動になる前に抑制させる。

「ともあれノボル、このメンツはワケありのヤツばかりだ。でも、仲良くやってる。オズの友人なんだろ? 久々の再会なら言いたいこと全て言っといた方が後々楽だぞ」

 ヘリはカナーレに近づく。オズからの話ばかりで、自分からはあまり話すことは少なかった。だって、ほとんど1人だったから話題なんて無い。でもうれしかった。独りぼっちじゃ無いことがこんなにもうれしいなんて。

 ノボルはカケル達といたときと全く違う表情で、笑顔が多かった。カケル組のとき、1人では無かったけれど独りぼっちに近い状況で、自分から心を閉ざしていた。そんな頃の姿など()うの昔のように感じさせる。


    *


 カナーレ。南西に位置するこの街は目と鼻の先にある島、パダとの船の往来が多く、漁業が盛んな街である。クエバの街やポルトゥスとはまた違った魚が捕れるらしい。

 数日かけて情報収集をするも、”哀”の宝玉はジャーグルが持つこと以外はあまり分からなかった。ある日の夜、民宿で就寝しようとしたらオズから話があると言われ、僕は灯台のある防波堤へ。

 灯台の光がぐるぐると周囲を照らし、真っ暗な海面から時折魚が飛び跳ねるのが見える。防波堤には、僕ぐらいしかいない。

(オズは何を話すんだろう……。この前言ってた裏がいることかな)

 オズを待っていると、足音が聞こえてくる。誰だろうと思って振り向くが灯台の光が当たらない位置のため確認できない。

「オズはどこにいる?」

 僕はその声に聞き覚えがある。こっちに近づいてきたのは

「スカイラー……?」

 間違いない。スカイラーだ。しかし、何故彼が?

「ノボルか。オズはどこにいるか知らないか?」

 ノーコメント。

「お前、そっちだとカケル達といたころと随分雰囲気が違うらしいな。いや、そっちが本来のお前か? まぁいい。俺の独り言だと思って聞いてくれ」

 そういうとスカイラーは真っ暗な海を見ながら、語り出した。

「俺もお前達と同じ場所の出身だ」

 ”外界街(イディオタガイ)”。同じ出身者?

「俺の術はトップが気に入ったらしく、警備防衛隊へ強制的に行かされた。連れて行かれた同胞たちの中で優秀と考えられた者は宮殿の外へ追い出すようにして、残された同胞を人質にして圧力を掛けてきた。警備防衛隊で俺は少しずつ繋がりを作り、いざというときのために準備してきた。そんなある日、オズからコンタクトがあった。俺はオズの考えに賛同した。捕らえられた同胞を救うために」

 僕は何も言えずに聞いていた。急に言われて理解が追いつかなかったこともあるかもしれない。スカイラーは少し間をあけると

「俺の両親は奇襲に立ち向かい、目の前で殺された。あんな思いはたくさんだ。同胞をなんとしても救いたいと思っている。オズに会ったら言ってくれ、こっちの準備は着々と進んでいると」


To be continued…


ノボルがオズ組に裏切った結果、ここから先の物語はオズ組を中心に進みます。

カケル組とは違い、ボスからの指示を受けて動くようです。スカイラーもフォルスネス……?

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