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第4話 喜怒哀楽

 再び、ナイトシティの外れに位置するペネーレ長老のもとへと戻ってきた。

「”喜玉”は無事に手に入れたようじゃのう」

「はい、これもペネーレ長老のおかげです」

 今度はスカイラーが長老の話し相手だ。(はた)から見ても長老の機嫌を取ろうとしているのは丸わかりだが、

「でもさぁ、このメンバーに戦闘要員少なすぎだろぉ?」

 案の定、カケルがムードをぶち壊し。カケルといれば周囲が迷惑する。

「そういうお前さんはどうなんじゃ?」

 長老がカケルに問うと

「俺は剣でモンスターを直接」

「つまり、至近距離のタイプじゃの」

 長老はカケルの話を途中まで聞いてそう言った。……カケルの剣を振る真似(まね)もスルーされていたが、それはさておき、この前の戦い方から見て、カケルは短距離タイプでスカイラーは遠距離タイプ。必要とするなら中距離タイプや短距離タイプをもう一人といったところだろうか。

 ここにいる全員が、長老は戦闘要員の割り当てについて語ると思っていたが

「お前さん達、もしや宝玉は戦闘無くして手に入れられないとか思っておるのか?」

「えっ? モンスターが守っているとかで……」

 少なくともカケルはそう思っていたみたいだ。他のメンバーがどう思っていたのかは、リアクションから見てもこれといって分からなかった。長老は

「”楽”の宝玉、別名ディライトはエスタンケという地域にあるが、エスタンケは……。いや、お前さん達が実際に行った方が分かりやすいじゃろ。ここからなら、約5日でたどり着くはずじゃ」

 そんなこんなで一行はエスタンケを目指す。


    *


 エスタンケ。大きな池がある地域で、その池を囲むように大きな街がある。聞くところによると、人口はさほど多くはないが、面積で言えばシューサルト国のトップ3に入るらしい。建造物は2階建て以下で、一軒家が多い。白い外壁に赤い屋根。池には桟橋とたくさんの船。位置はスタート地点である城下町から見て西。

 このエスタンケには、警備防衛隊と呼ばれる警察や警備隊みたいな組織の本部がある。この際どうでも良いが、城下町の方が本部だと思っている人が多く、警備防衛隊城下町支部であることを国民はあまり知らないらしい。それはさておき、この警備防衛隊には兵士も含まれる。本部に駐在する兵士の一人、ビブラーブが楽玉(ディライト)を持っているとの情報を得た。

 ビブラーブという兵士は”楽”の宝玉を守り続けて60年以上という設定のキャラだ。実際はこの役者というかなんというか……。ビブラーブは実際に兵士だがまだ新人だ。最初のミッションとして”楽”の宝玉を守り抜けという仕事をしているだけに過ぎない。

 これで大体の描写ができただろうか。さて、本題はこれからだ。今、カケルとビブラーブが揉めている。

「ディライトが無いってどういうことだよ!?」

「私は宝玉をちゃんと”C.P.”に渡しましたよ」

 ビブラーブは楽玉を”C.P.”に渡したと主張するが、僕らは”喜玉”しか持っておらず、”楽玉”は手元に無い。よって、ビブラーブの証言は矛盾しており、それは嘘となる。ただし、

「もしかして、”C.P.”を名乗る偽物がいたりして……」

 と、メイルが(つぶや)いた。スカイラーは少し考えて

「宝玉を強奪したところで、売ることはできないし、宝玉の位置は祭典を運営する者なら容易に知ることができるらしい」

「つまり、”C.P.”がもう一組いるってこと?」

 おそらくカーミンの言うと通りだろう。宝玉の場所が分かるのであれば、盗難の際簡単に犯人を突き止めることができる。しかし、そういった動きが無いのであれば、結論はひとつ。敵というか、ライバルがいるということだ。考えてみれば、2組あればそれぞれの闘争心に火がつき、イベントの進行が早くなるだろう。

「ライバル登場か。ますます燃えてくるな」

 現に、カケルの闘志に火がついた。もともとそういうキャラなのに、これ以上燃えてしまうと灰になるのでは……。

 僕らまだそのライバルが何人組か知らない。誰でどういう目的で動いているのか、それさえも知らない。

「カケル、どうする?」

 カーミンがもはやリーダーとなってしまったカケルに問い掛けるが、

「レイジとサローの場所さえ分かればそっちに向かうんだけどなぁ……」

 宝玉の名前の語呂が悪いというだけで、何故か英語表現になっていた。それぞれ、喜玉はPleasure(プレジャー)で、怒玉はRage(レイジ)、哀玉はSorrow(サロー)、楽玉はDelight(ディライト)となった。しかし、”Pleasure”には、”喜び”だけでは無く”楽しさ”も含まれ、”Delight”も”楽しみ”だけでなく”大喜び”や”歓喜”といった意味を持ち重複している。といっても、そんな重箱の隅を楊枝(ようじ)でほじくるようなことを言っても仕方ない。重箱の隅は杓子(しゃくし)で払えば良い。

 話が脱線するが、”重箱の隅を楊枝でほじくる”とは細かいことまでしつこく言うことで、”重箱の隅をほじくる”や”重箱の隅を楊枝でつつく”とか表現はいろいろある。で、”重箱の隅は杓子で払え”とは細かいところまで触れずに大目に見るという意味である。さらに余談だが、”喜怒哀楽”という意味に該当する英語は存在しない。訳すとなれば、1つとしては”show one's feelings”で意味は”喜怒哀楽を表に出す”といったところだろう。喜怒哀楽の宝玉は、感情の宝石とでも言い換えて”Emotional(イモウショナル) Jewel(ジュエル)”といったところだろうか。だが、この表現が今後作中で使われることはまず無いだろう……。

 さて話は戻り、カケルが今後について悩んでいる。

 だが良い案が浮かぶ訳も無く、一向に話が進みそうに無いため、クートが

「とりあえず、食料調達と今晩の寝床を確保しようか。エスタンケは結構広いし、長いスパンで考えるとここにいて情報収集でもすれば、わざわざペネーレ長老のお屋敷まで引き戻ることも無いしさ。それに」

 クートは少し早口で喋りに隙ができないし、一度しゃべり出すと終わらない。

「そうだな。班分けは、よろしくリーダー」

 リチューはカケルを完全にリーダーと認めたようだ。ちなみに、まだクートはしゃべっている。

「じゃあ、俺は宿を探すから食材はリチューに一任する。カーミン達は情報収集と物資の補給を頼む」

 班分けって言っても、結構適当だな。


 その日の晩はそこそこの宿屋で就寝した。

 偶然にも同じ宿屋、その別の部屋にて

「まずはひとつ」

「しかし、あんなに易々ともらえるとは思ってもみなかったな」

 ゼルデムは”楽”の宝玉を眺める。ローブレットがその様子を見ながら

「それで……オズ、次の宝玉の在処(ありか)は?」

「そのことなんだが、実は指令が来ているんだ。しかも、難易度MAXの指令があるんだよな」

 オズは一通の手紙を3人に見せる。


To be continued…


宝玉の種類は”喜怒哀楽”の4種類。宝玉を集めるという目的は分かりやすく、数も少ないです。当時の設定上は、それ以外の宝玉もあったとか。本作でも喜怒哀楽の4つ以外の宝玉は撤廃しています。理由は、ストーリーが長くなるから。

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