盗賊退治
立体映像でミライがしゃべっていた。
時たま、部下からもらった資料に目を通している。
「今回の依頼自体が、【おたすけ組合】の枠を越えるものだと理解して下さい」
「受けたのは、そっちだろう」
「シンさま、言って置きますが、この事態を招いたのはシンさまご自身です」
「どうしてだ・・・あの誘拐事件のヘマをこっちがフォローしただけだ」
「その事件も、誘拐されたアジトを知らせるだけで良かったのです」
「知らせたら絶対に死んでたぞ。それでも俺が悪かったのか」
「そこまで言ってません。それより、盗賊退治をお願いします。ダルタ男爵の方では、退治する兵力ないと泣き付いてきたので・・・諜報部でも同じです。そんな兵力はありませんから」
俺はうなってしまった。
報酬が盗賊が奪った財宝だけなのだ。
それ以外はダルタ領には対したものがない。特産物も無く、裕福な領土でもなかった。
どれだけの報酬で受けてしまったんだ。
「シンさまお願いしますよ」と一方的に画面が切れてしまった。
ダルタ領が襲われる日は、明日だと分かっていた。そしてアジトの場所も特定されていた。
後は俺のやる気だけだ。
言われた場所に転送した。
しかし、盗賊は居なかった。何処かに移動したらしい。
盗賊を上空から探し回った。
そして見つけたのは、ダルタ男爵が住む街から離れた村だ。
まさに襲われている最中だ。
村の上空で停止。
急いでドアを開けて、円盤型移動機に乗った兵士が7人が下りていった。
子供をかばう父親を、斬ろうとする盗賊を雷弾が命中。
電流が一気に流れた。そのまま男は倒れた。
雷銃の強弱は、感電して気絶するレベルだ。
なのでこの男は気絶しただけだ。
「早く逃げろ!」
何が起きたか分からないまま、親子は逃げ出した。
違う所では、女性におおい被さった男がいた。
すれすれまで降下して、男の頭に円盤型移動機をぶっつけた。
男は遠くまで飛ばされた。しかし、ふら付きながら立上がった。
「しぶとい奴だな、これでも喰らえ!」
その男に向かって雷銃が撃たれた。
男は一瞬、飛跳ねた。そのまま地面に倒れた。
「おーい!!仲間が襲われたぞーー」
「俺らに立ち向かった奴らは、皆殺しだ!」
やっと襲われた事に気付いた盗賊は、火球を放ってきた。
そんな火球をかわして、雷銃で撃ち返された。
又も、盗賊は倒された。
雷銃から雷球が放たれ続けた。
もう数少なった盗賊は、逃げ出した。
逃げても無駄だ。円盤型移動機が先回りして倒した。
手を拘束されて、盗賊は集められた。
そんな俺らを、遠巻きに村人は見てた。
村長だけが、険しい顔で「ありがとうございます」と頭を下げていた。
「ダルタ男爵に頼まれて来たから安心してくれ」
「そうでしたか・・・皆!男爵さまの頼みで来たそうだ。だからもう安心しろ」
それでようやく近づいてきた。
死者は無かったが、怪我人が4人も居た。
その仕返しに子供が石を投げつけた。
「何しやがる、今度は殺すぞーー」
言われた子供は、母親の後ろにすぐに隠れた。
そんな男に、ララがゆっくりと話しかけた。
「あなた達は、数が少ないようだけど、どうしたの・・・」
「知るもんか」
「成る程ね、偵察のついでに村を襲ったのね。残り23人はアジトに居るのね」
「なぜ、分かった。・・・誰かしゃべったな、誰だ!」
「領主さま、あの洞窟がアジトで間違いないでしょう。見張りが数人います」
ララが言う通りに、木の上に1人と洞窟の前に2人が立っていた。
総勢30人程の盗賊だ。あっちこっちの領土で荒稼ぎをして、ここに逃れてきたらしい。
結構強い盗賊で有名だ。
転送飛行機から雷銃で木の上の奴を狙った。
引き金を引いた途端に、木から落ちた。
すぐに洞窟前の奴を、続けて撃った。
2人とも崩れるように倒れた。
転送飛行機は、地上に下りた。
ドアから飛び出した兵士5人は、倒れた盗賊を拘束。
木から落ちた盗賊は、ひどい怪我をしてた。
足が変な方向に折れ曲がっていた。
兵士は、ズボンを引き裂いた。そして足を引張り、適当に戻した。
その痛みで、気絶から目が覚めた。
押さえつけられた状態だ。身動きができない。
口を塞がれた盗賊は、激しく痛がっていた。
その足にポーションを掛けると、嘘のように治った。
盗賊は、足と兵士を交互に見て驚いている。
「中に何人いるんだ。正直言わないと殺すぞ。大声を出しても殺すぞ。分かったな」
手足を拘束されて、首筋に剣を突き付けられた。
ゆっくりと口を開放した。
「20人だ。今夜襲う為に、仮眠をしてるはず・・・だから俺を助けてくれ」
兵士は、又もや雷銃を撃って気絶させた。
その間も、俺はムシで洞窟内を探索し続けた。
奴が言った通りの人数が寝てた。
「20人は、確かに寝てるから作戦通りにやれ」
5人は洞窟に警戒しながら入った。
ムシでその戦い振りを見てた。
盗賊を見つけては、雷銃を撃つだけだ。
最後の3人は、異変に目覚めて襲ってきたが、呆気なく気絶した。
全て気絶させて、手を拘束すると腹を蹴って目覚めさせた。
「殺しはしないから、大人しく外に出ろ」
もう盗賊はビビリまくっていた。
転送飛行機内へ連れていって、椅子に座らせて足と椅子を拘束した。
大人しくするしかなかった。
ララは雷銃を持ったまま、脅してた。
「あんた!変な事を考えたでしょう。逃げようなど考えても無駄よ。大人しくするのよ」
「近くに居た馬と馬車はどうしましょう」
「馬は開放してやれ。馬車は放置だ」
「わかりました」
財宝は結構な量があった。
これなら依頼を受けて正解だ。
中には手紙や書類もあった。何故こんなものがここにあるんだ。
手紙にを読んでみると「なになに、そんな経緯があったのか・・・」
貴族を脅せる内容だ。
「この書類はなんだ。来月の皇帝視察計画書だ。こんなものが外部に洩れては・・・もしかして皇帝暗殺計画があるのか・・・」
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