襲撃事件
星間転送で戻って来ても、忙しく事件が舞い込んでいた。
ハクセンは残ったままだ。2、3日は帰って来ないらしい。
アリッサにいたっては、金貨の山を2つも報酬だと取られた。
あの財宝から見たら微々たるものだが・・・いい気なもんだ。
だからなのか、むすっとした気分で聞いていた。
「それでどうなった」
「急いで帝国のアブーラ領からマミヤ公爵領の街道を捜索したのですが、見失ったと報告があったのが午前11時です」
「ドルド・アブーラの娘が襲われる時間が午後2時か、今は12時を過ぎた頃だから・・・急ぐ必要があるな」
「シンさま、どうしましょう」
「仕方ない。俺が行くしかないだろう」
「本当に申し訳ありません」
転送飛行機に乗り込んだ時には、ララが操縦席に座っていた。
「すまないな、帰ったばかりなのに新たな任務を与えて」
「ご心配無用です。わたしも気になるので・・・」
「なにが気になるんだ」
「色々です。帝国を暗夜する正体が知りたいです」
「復讐の為か」
「それもありますが、わたしの本質を見極めたいのです。あの星で、その1つが見えた気がします」
「そうか・・・この地図の座標へ転送だ」
カチャカチャと入力を済ませた。
「座標入力確認、転送します」
転送された瞬間に、外を見た。
「居たぞ!マミヤ方向4キロ先だ」
「分かりました」
急いで向きを変えて向かった。
「ララ、あれがそうだ!・・・まだ時間じゃないのに襲われてるぞ」
「どうしますか・・・」
「ドアを解除してくれ。ここから狙ってみる。殺されるような場面になったら皆殺しだ。生きたまま誘拐なら後をつける作戦でゆこう」
「分かりました。解除しました」
ドアを手動で開けた。
中腰になって、ドアの取っ手を使って風銃を固定。
スコープで狙いを定めた。
警護数50人に対して、襲っているのは100人以上だ。
警護兵の魔術士が頭上に火球を出現させた。
しかし、その魔術士に向かって雷球が放たれていた。
魔術士は、感電死して倒れた。
その巻きぞいで10人は死んだ。数名は気絶状態だ。
もう警護兵1人に対して3人で襲いだした。
次々倒され、矢でも数を減らされた。
なのに1人だけが頑張っていた。
凄い鎧で守られた兵士だ。1人で槍を使って敵兵を突き刺した。
それも2人同時に突き刺した。そして抜いて振りまして敵兵の首を4つも刎ねた。
しかし、雷球が命中。凄い放電で一瞬見失う程だ。
けれど倒れなかった。雷魔術士に向かって走りだした。
あせった雷魔術士は、出現させて弱いままの雷球を放った。
一瞬止まったが、又動こうとした。
そんな兵士に、3人の大盾持ちが立ち向かった。
凄い音がしただろう。
動きを封じられて、後ろからヘルムを引き剥がされた。
群がった敵兵が何本もの槍を、その頭部に突き刺した。
大盾が引いた途端に、崩れるように倒れた。
残った兵士も抵抗するが、矢によって倒された。
そして馬車から女性と老人が引きずり出された。
女性は、暴れていたが1人の男が女性を平手打ちして倒した。
女性は倒れたまま気絶したように動かない。
そのスキに、男2人でロープでグルグル巻きにされた。
老人は、2人の男に掴まれてどうしようもない。
男は何か話をしている。
それを聞いた老人は、何かを怒鳴り散らした。
そんな老人に、剣が心臓部にブスブスと刺していた。
「惨い事をしますね。あの老人は前領主トッド・アブーラですよね。貴族をあんな風に殺すなんて・・・きっと賞金首を掛けられますよ。せっかくの婚約の顔見世なのに・・・」
一瞬、ララを見た。
ララは立体映像で、その惨劇を見ていた。
「別の馬車に乗せました。誘拐確定ですね」
俺はドアを閉めた。そしてロックボタンを押した。
「後をつけるぞ。空を見ないと思うが、念の為にステルスモードだ」
「了解」
走りだした馬車の速度に合わせて、飛び続けた。
3時間も走り続けた。そして行き着いた所は、辺ぴな山の中の屋敷だった。
「こんな所に屋敷なんて、めちゃくちゃ怪しいと思いませんか」
「今から潜入するから、話掛けるなよ」
「はい・・・分かりました」
椅子に深々と座った。
ムシは、静かに飛んで専用の穴から出た。
外には、1人、2人、・・・5人が警戒中だ。
屋敷の1階の窓にしがみ付いた。
ここはキッチンか、2人の女性が忙しく何かを料理していた。
そんな女性を見ながら、次の窓に移った。
1人の男が椅子に座って、立っている男7人に話しかけた。
「お前ら、すぐに知らせに行け。それとここにきた時の痕跡も消して行け」
「痕跡とは・・・」
「お前はバカか、馬車や馬の足跡を消せと言ってるのが分からないのか・・・2人は急いで知らせて、残りの5人で徹底的に消せ」
「分かりました」
俺は急いでムシ2号・3号を出した。
そして飛んで行った。
屋敷の馬小屋から出た2人組みに、密かに飛んで行って次々にしがみ付いた。
これで何処へ行くのか分かるだろう。
「これが無事に成功したら、たんまりともらえそうだな」
「そう願いたいよ」
「ちょっとスピードを上げるぞ」
「おう!」と言って馬にムチを打った。
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