新たな世界②
『ここが、あの木があった場所だが・・・まったくもって・・・ち、違う!』
ハクセンが戸惑っていた。
案内した先には、巨大過ぎる木の朽果てた姿があった。
今も雪の重みで枝が折れた。
木に下には、何百もの枝が無残に落ちて重なっている。
そんな大地に転送飛行機がゆっくり下りた。
『出て来い女!まだ生気がある事は分かってるぞ!』
物凄い恫喝だ!
『あなたはたしか・・・トカゲちゃん』
うっすらと女性が現れた。それも浮かんだ状態だ。
『なんだ、そのざまは・・・情けないぞ』
『わたしには、どうしようもない事なの・・・この星の裏側に落ちた隕石に付着してやって来た魔物が、地脈を支配してしまい星が麻痺状態で自転が止まったまま・・・かれこれ1年近くこのざまよ。わたしが気付いた時は、わたしも動けなくなってしまった。どうしようもなく悲しかった。・・・そんなわたしでも助けて欲しい・・・』
『主、あのように言ってるが助けますか・・・』
ハクセンも助けたい気持ちはあるようだ。それがひしひしと伝わった。
どんな経緯があったか知らないが・・・
「分かったよ。助けてもいいが、場所は分かるのか? 分からないのなら助けるのは困難だ。知らない星だ相当に時間が掛かるぞ」
『ああ、なんとなく念話で聞いたような・・・』
なんだ、その曖昧な言い方は・・・こっそり会話してるのか・・・
「なら、一気に俺とハクセンだけで行くぞ!」
「え!わたしたちを置いて行く積もりなの」
「仕方ないだろう。これ程の事をする魔物だ! 危険だ。そんな場所に足手まといの君たちを連れていけるか」
「わたしの能力は特殊なのよ、大勢のステータスを上げる事が出来るわ。それに自分を守る術も持ってるわ」
ああ、まんまと自分自身の事を言ったぞ。
それにもう1つの能力があるみたいだ。それがどんなものなのか早く見てみたい。
「ならアリッサを連れて行こう。ハクセン、向かってくれ。ララとリアンは悪いが残ってくれ」
「仕方ありません。ここから祈ってます」
『主、それでは行きますぞ』
「ちょっと待ってくれ。このままだとあなたが危ないから、延命治療をしておいた方がいいだろう」
転送飛行機に入って、魔法砲の魔改造をはじめた。
これをこうやって、この部分を書き換えてあれこれやった。
そして魔法砲のスイッチを入れた。
魔法砲から、淡い熱が広範囲に広がった。
その途端に、木にまとまりついた雪が溶けだし。
『ああ、暖かい。生きた心地がしてくる・・・・・・ありがとう』
『少しは、元気が取り戻せたみたいだな・・・主、かたじけない』
なんだよ、2人の関係が気になってきた・・・まあ、そっとしておくか・・・
「じゅあー行こうか」
『それでは行きますぞ』
暗転した瞬間に、景色が変わった。
大きな洞窟内だ。そしてスケルトンが蠢いていた。
魔眼でも強い敵意が見えた。
スケルトンか・・・死霊術を試したが、跳ね返されてしまった。
それは死霊術士に操られてる事を意味している。
隕石に付着して来た事で、大よそは予想していたが現実になるとは・・・
そして俺は探した。
居たぞ!死霊術を使うリッチだ。遠くで!禍々《まがまが》しく笑っている。
急いでハチたちを出した。その数1万。
その数に匹敵する程に、スケルトンがいたからだ。
そして戦いが始まった。
な、なんでだ。強くしたハチなのに互角とは・・・
1年でここまで強くしたのか「アリッサ!例の作戦だ!」
アリッサの体中からオーラが出ていた。
俺にはハッキリと見た。
ハチやハクセンにまとわりついた瞬間に、ステータスが跳ね上がった。
スケルトンが倒されて、粉々になってよく。
その度にハチが光っていた。
リッチの笑い顔が消えた。
今度は苦々《にがにが》しい顔で睨んできた。
「粉々にしてしまえ!」
ハクセンが、ためたブレスを吐きだした。
2千は消し炭になり、1千体は行動不能だ。
なんて奴だ。一気に再生させたぞ。
あれは結構無理をしてるぞ。バカな奴だ。負けパターンだと気付かないのか。
あ!そうか・・・地脈だ。
無限に魔力が使える状態だ。こんな手があったとは・・・抜かった。
これに対処するには、地脈の破壊が手っ取り早い。
しかし、それは出来ない話だ。この星に悪影響が起きてしまう。
これは困った。
あ、アリッサに向かって矢が飛んだ。
俺が手渡した魔法腕輪の結界が防いだ。しかし結界も同時に破壊された。
又も矢が飛んできた。結界の再稼動が間に合わない。
あれはなんだ。アリッサの周りにオーラが包み込んでいた。
そのオーラに矢が当たり跳ね返された。
あれがアリッサの奥の手か・・・
いいアイデアを思いついた。
「アリッサ、そのオーラをあのリッチの体に掛けられないか?」
「簡単よ」
呆気ない返事だ。
「ならリッチに掛けてくれ、その間は俺が守ってやる」
アリッサの前で大盾を出して守った。
後ろの方で、ブツブツとアリッサが唱えた。
あ、リッチが焦りだした。
地脈が遮断されたからだ。
「今だ!総攻撃だ!」
俺は激を飛ばした。
ハクセンのブレスが何度も吐かれた。
もうスケルトンの数が減る一方だ。
すでに魔力が尽きた。
取り残されたリッチを、ハクセンは丸呑みしてしまった。
その瞬間に光輝いた。
ハクセンは相当なステータスが上がった。
そして、地脈の色が変わった。
どす黒い地脈が赤い地脈になって、星が動き出したのを実感した。
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