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住民転送




アリッサとララの2人が、臭いおっさんと話しだした。


「すると、そっちの国に移住すれば冒険ギルドでやっていた仕事や、家がもらえるって訳か・・・なんか胡散臭《うさんくさ》い話だな」


「臭いのは、あなただけでいいわよ。こっちは本気よ。それにあんたがスラムを牛耳《ぎゅじ》っている事はすでに知っているのよ、スラムの将来を考えなさい。幼い子供が何人生き残るかしら・・・あなたもその生き残った1人でしょ」


「なんか、嫌なことを思いださせるねえちゃんだな、少し考えさせてくれ」


『アリッサさん、すでに話に乗り気になってます。しかしこの人は、優柔不断《ゆうじゅうふだん》な性格の為に皆の意見でコロッと変わるタイプです。それにお金に非常に弱いですよ』


ララは、テレパシーでアリッサに伝えた。

アリッサは、成る程と考えなおした。


「ダメよ、今決めてちょうだい。さもないとこの話はなしよ。これで準備しなさい」



そして金貨の詰まった袋をテーブルに「ドン」と置いた。

臭いおっさんは、すぐに袋の紐を解いた。

中身を見るなり「分かった。その話に乗った」と返事が返ってきた。


「よく決めたわねーー。この決断を後悔させないわ」


「そう願いたいもんだ・・・約束は破るなよ、ねえちゃん」




ギルドマスターがようやく戻って来た。

そして街の主立った者と会合がなされた。


1時間も話してないのに、俺らの所へ戻って来た。


「これはどうなっているんだ。このギルドマスター不在にこうも皆を丸め込むとは、たいした口の上手い奴がいたもんだ」


「それで、あっちでの暮らしはどうだった。ここより良かったはずだ。あんたの仕事を奪ったみたいだが、はやく移住をさせたいんだ。それに移住した後は、ここはドラゴンによって破壊される手はずだ。それによって遠い親戚や友人にも迷惑がかからないようになるだろう」


「あ、そこまで考えてたのか・・・ギルドマスターとして情けない・・・」


「じゃー、移住を初めていいか」


「皆も納得してたから、初めてもいいぞ」


「皆、始めるぞ」


「あんた、わたしが話をまとめたのよ。感謝しなさい」


「わかったよ」




街の広場に転送飛行機が現れると、決められた人々が乗り込んでゆく。

少し心配そうに見守る住民は、転送した瞬間を見送った。


「おかあさん、今度はわたしたちの番ね」


「そうだね、ミーちゃんは怖くないの」


「怖くないよ。あのケーキが食べられると思うと早く行きたいよ」


「そうね、あのケーキは美味しかったわね」


「うん、早く食べたい」




最後の転送が開始しようとした瞬間に、門の方で大爆発が起きた。


「何事だ!」


「魔術士の集団が現れたそうです」


「なんだと、現れるのは2日後のはずなのに・・・考えても仕方ない。出てこいドラゴン」


ドランとガルバが現れた。


「計画の変更だ。あの方向に魔術士がいる。魔術士を食ってもいいが、数人は見逃せ」


『分かり申した主殿《あるじどの》』


バサッと広げると、門の上空にいて風魔法の斬風《ざんふう》を放った。

結界を張り遅れた魔術士は、無残な姿になっていた。


「なぜドラゴンがここに!!それも2体も・・・それに鎧を着込んだ姿は・・・これは報告する必要があるぞ」


「融合魔法だ!準備をしろ」


「結界が壊されたぞ。このままだと殺されてしまうぞ!」


その男は捕まり、食われていた。


何人かは転送で逃げた。

集団転送は、協力し合って出来る転送方法だと本に書かれてた。

それも1人と違って、魔力調整が必要で30秒も掛かった。


俺なら、単独でも集団転送は可能だ。

ちょっとコツがあるだ。




俺はかわいそうだが、結界魔法を壊す魔法銃を更に撃った。

又も壊された中にいた魔術士は、捕まって食われた。


食われる瞬間まで叫んでいた。


「あいつら、俺らを見捨てたぞ。なんて奴らだ!」


残り5人の魔術士は、悲鳴を上げ続けた。


「活《い》きが良さそうだ。いただくとするか」


一気に飲み込んで、「ゴクリト」と喉《のど》を鳴らしている




領地勧誘メンバーを乗せた転送飛行機が転送した。


残ったのは、俺とドラゴンだ。


「ドランとガルバ、街を好きなように壊せ!」


『分かり申した』


『見事に壊してみせます』


もう壊して、壊してブレスも吐いた。


「もういいぞ。半分以上は壊し過ぎて原型をとどめていなぞ。あまりにも壊し過ぎだ」


『申し訳ありません・・・』



俺はドランの上に乗った。


「この方向にも、街があるらしい。お前らの雄姿《ゆうし》をみせてやれ。街を壊すなよ」


『分かりましたぞ主殿』



上空から見た街は、さらに大きな街だった。

5万人は居そうな街だ。


低空で飛んだので、街の住民も大慌てだ。

これで魔法国の王都にもしっかり情報が伝わるだろう。


バリスタの矢がドランに当たった。

正確に打っているが、1つもダメージを与えていない。

飛んできた1つを収納した。なんと矢の先に毒が塗られていた。


街の上空を2往復もした。

もうバリスタの矢は打ち尽くしたようだ。


「ドラン、空に向かってブレスを吐け」


ブレスが街の空を燃やす光景は圧巻だ!

街中の住民は驚いているだろう。


「ドラン、帰るぞ。ガルバも遅れるなよ」


『分かり申した』




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