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ワーウルフ




バーダラ王都に、100人のワーウルフを引き連れて入場した。

大通りの人々は、一斉に道を開けて何事だと恐怖におののいた。

そして、何処かで子供が泣きだした。


家に飼われた犬が、隠れてブルブルと震えている。



俺は不味いと思った。


「シャバン、これは不味いぞ。一応説明した方がいいぞ」


「分かりました。パーヤン、住民に説明をしてやれ」


1人の男が道の前に、ゆっくりと出て来た。


「静まれ!このワーウルフは、ゴブリンに変わってテイムした者だ。だからお前たちに危害は無いから安心しろ! それに王都を守る守護者になるから何も怖がる必要は無い!」


その言葉を聞きいった住人は、遠巻きにヒソヒソと話すのが聞こえた。


「あの顔は凄いぞ。見られただけでちびりそうだ」


「それにしてもゴブリンと比べても何十倍も強そうだ。その分・・・怖さも倍増だ」


「あの筋肉を見ろよ、ゴブリンなんか相手にもならないぞ」


「そうだな、バーダラ国の戦力が一気に下がったせいで、隣国の不穏ふおんな噂があったがこれで治まるだろう」


「そうなってもらわないと、こっちも商売が出来ないぜ。よそに売り行った商人が買い叩かれる始末だ」




城に入っても、同じような事が起きて大変であった。


新兵がワーウルフを、遠巻きに見てやいのやいのと話していた。

中には威勢のいい新兵が、ワーウルフに近づいた。


しかし、じろりっと睨まれた瞬間に腰を抜かした。


「なにをやってるんだ。誰か医療室へ連れて行け」


数人がかりで連れ出された。




訓練場では、この城1番の兵士が待ち構えて居た。

戦争には参加してなかったが、王都を守る兵士だ。

実力の程を見てやろう。


その兵士は2メートル20はあった。

筋肉もりもりの兵士だ。


ワーウルフでも比較的に小さなワーウルフが兵士の前に立った。

それでも3メートルもあった。


「いいか! ワーウルフは一切手出しナシだ。防御に徹するように命令してるから、好きなだけ攻撃しろ。分かったな!」


「おう!!」と叫んで走りだした。そして大剣を振り下ろした。

当たる寸前に、スッと身をかわした。

大剣は地面を切裂いた。


その瞬間に兵士は、ワーウルフを見失った。


「ロン! 後ろだ!」


後ろ見た瞬間に、機敏に動いた。

又も見失った。


急いで振返った。そこにはワーウルフが見下ろしていた。


「負けました。わたしには、到底勝てません」



そんな驚く兵士から、5人が前にでた。


「パーヤン隊長、5人で戦わせて下さい」


「お前たちか、いいだろう。条件も同じだ。好きなだけ戦え」



5人は武器を構えた。

1人の兵士が、兵士を盾に後ろから矢を放った。


ワーウルフの手が矢を掴んで、へし折った。


大盾を持った兵士が前に出た。

そのまま凄いタックルをワーウルフにぶつけた。

しかし、びくともしない。


大盾から飛び出た槍使いが、渾身の一撃を放った。

しかし、右手で掴まれていた。

槍使いは、必死に引きも戻そうとするが動かない。


今度は、左側から剣士が剣を振り下ろした。

その剣も掴まれた。

そして槍も剣も握り潰された。


しかし、矢がワーウルフの目に当たる瞬間に、又も右手で握り潰された。


「用意が出来た!下がれ」


大盾を持った兵士が右に飛んだ。

入替わるように火球が迫った。


その火球をワーウルフは、両手で掴んだ。

そして燃え広がる火球を、ひねり潰した。

プスプスと手に燃えていたが、やがて消えてしまった。


「全力の火球もダメなのか・・・」


「我々の負けだな」




その光景を城のテラスから見ていた者が居た。

噂に上がった隣国の大使だ。


「なんだあれは、5人でも歯が立たないのか・・・」


「あのワーウルフの実力は、もっと高いでしょう。100人でも無理でしょう」


「なぜだ! 100人なら勝てるはずだ!」


「あの動きを見なかったのですか、あのまま動き回って倒されるのが想像も出来ないのいうのですか・・・あれは相当にやばい存在ですよ」


「分かった。君の言う事を信じるよ。それだとこの宣戦布告せんせんふこくを引っ込めるしかないのか・・・」


「それしかありません。国王にもわたしからも言います。それが賢明けんめいな適切な判断でしょう。それに隠している空飛ぶ乗り物も注意が必要です。このバーダラ王都もその乗り物で落とされたに違いありません」


大使はうなった。


「そんな物があるのか・・・」


「話好きな住民から聞いたので間違いありません。我が国の商人も見たと言ってるので本当の事でしょう」


又も大使は唸った。




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