バーダラ国の地下ダンジョン
執務室では、セバスとバーダラ国を任せたシャバンの2人が居た。
「領主さま、やはりゴブリンはアリッサのパーラー領に居るようです。ベケンもそれ以上の事は知らないとのべてます」
「なんだ、元国王ベケンも詳細は知らないのか? それだけ秘密があるみたいだな・・・」
「なので何人かの貴族にもあの手この手でまるめ込んだのですが、知らないようでした。なのでパーラー領に諜報部員は行かせたのですが、何も分からず仕舞いでした」
「分からず仕舞いだと・・・なら、知っている人間も限られてるな・・・分かった。俺が本人から聞きだそう」
「え!シンさま、聞き出せるでしょうか・・・あの者は手強い人物では・・・」
「俺に良い考えがある」
内緒にしたパーティー会場に、やはりアリッサが現れた。
ツカツカを俺の所へ来た。
「楽しそうな事をしてるようね・・・わたしも混ぜてもらうから覚悟してちょうだい」
なんだその眼つきは、色々と言いたいが我慢だ。
壇上では、進行役がグラスを持ち上げた。
「皆さん、これが新しく発表された【夜のナンバー1】です。素晴らしい出来具合なので飲んで楽しんで下さい。最後には、感想を聞かせて下さい」
うまい具合に事が運んでるぞ。新しい酒の発表会だと皆も信じてるぞ。
人をだます時は、身内もだますのが鉄則だ。
俺の企み知ってるのも数人だ。
客たちに冷たい飲み物のグラスが、手渡されていった。
アリッサにも手渡された。
自然な動作で受取ったぞ。
あ、鼻を近づけて匂いをかいでいる。そして一口飲んだ。ばれてないぞ。
「なに!この飲み物わーー。なんともいえない味がするわね」
「遠慮せずに飲んでくれ」
「あら!やさしいのね」
お前が飲んだ酒は、特別だ。
アルコール度が高いが、フレッシュでフルーティな味付けで飲みやすくしたものだ。
それに「真実の血清」といった自白剤が混ぜられた飲み物だ。
あ、おかわりのグラスを受取って、又飲んだ。
眼がトロ~ンとしているぞ。
俺が近づき、からになったグラスを受取って、新しいグラスを手渡した。
「う、なんかいい気分だわ」
もう酔っているぞ。鑑定でも【酔った状態】と表示された。
「アリッサ、ゴブリン兵を知らないか?」
「ゴブリン兵、それならわたしの領内の【帰らずの森】深くの地下ダンジョンに居るわ」
「地下ダンジョンがあるのか?」
「あるわよ・・・ゴブリンをテイムして手懐けたわ」
今はきっと二日酔いで寝込んでいるだろう。目覚めたら、きっと忘れているはずだ。
けわしい森を抜けた途端に、拓けた場所があった。
その中央に洞窟があった。
これがバーダラ国の地下ダンジョンなのか・・・
その洞窟の入り口が、ゴツゴツした感じでそのまま奥まで続いていた。
足元もゴツゴツだ。注意して歩かないとこけてしまうレベルだ。
おっと、つまずいた。
それに光もなく真っ暗だ。
手に掲げている魔道照明でどうにか照らして進める状態だ。
そんな洞窟の奥に目がキラッと光った。
ゴブリン6匹が「ギキキギキキ」と叫んで向かってきたぞ。
途中で天井から襲うアオによって、頭をカチ割られ胴体は串刺しにされたりして全滅だ。
ここのゴブリンは1メートル弱の個体で、これまで見てきた中でも小さいレベルだ。
このゴブルンたちを操られるのも、この1階奥の祭壇に祭られていたオーブのおかげだった。
そのオーブを手に取って、ゴブリンに向けて念じるとテイムできた。
そして地上に連れ出して、餌を与えて飼い慣らした。
テイムで餌さえ与えれば従順なゴブリンに成り下がった。
そんなゴブリンはバーダラ国では重宝されていた。
命令も簡単なものなら従う程の知恵があったからだ。
残念な事に、前回の戦いの最中に逃げる兵に踏まれて壊れてしまった。
なので地上に居たゴブリンは開放されてしまった。
だから人々は必死に残ったゴブリンを、根絶やしにするしかなかった。
このダンジョンには、地下2階もあった。
ただ手強いワーウルフだった為に攻略されてない。
又も「ギキキギキキ」と叫んで向かってきた。
今度はミドリバチが脳天を前足で突き刺して、刺しまくっていた。
静かになった洞窟内に「ムシャムシャ」と咀嚼音のみが聞こえていた。
急に背中がゾクッとした。
振返ったらクロバチのクロが居た。
「なんだ!後ろから忍びよるな。それでなくても洞窟内では見え難いのが分からないのか」
『申し訳ありません。後ろからゴブリンが近づいてます。殺しますか・・・』
「ああ、殺せ」
『御意』
なんか遠くで悲鳴のような声が微かに聞こえてきた。
気を取り直して進んでいると、又も現れた。
ちょうど広めな洞窟で50は隠れいた。
洞窟内が急に明るくなった。その正体は大きな火球だ。
俺の前にアオが立ちはだかり、火球を防いだ。
アオは全身が燃え広がっていた。
その燃えた状態でゴブリン魔術士に、高速で近づき首を刎ねていた。
その首は「コロ、コロ、コロン」と転がっている。
もう洞窟内は、ゴブリンの悲鳴があっちこっちから聞こえた。
アオは洞窟内を飛び回っている。
そして、あっちこっちが緑の血でめちゃくちゃだ。
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