商売と小さいドラゴン
「ランちゃん、金持って来たよ」
金貨40枚が入った袋がジャラリと置かれた。
「あらセザンさん、取って置いたアルタの杖の雷強化でよかったですか」
「そうそれだ!なんて神々しい杖だ。ジンの自慢話もこれで終わりだ。あいつには会う度に自慢してくるからウンザリだったんだ」
「そうですか・・・それにしてもこの金貨は純度が凄いですね」
「そうらしいね。知らんけど。それと魔法攻撃アップの指輪はまだかな」
「あと1ヶ月も待ってもらわないと作れないって、おじいちゃんが言ってたよ。予約が一杯だとぼやいてたもん」
「そうなんだ、仕方ないな。じゃあランちゃん帰るよ」
ここ魔法武器工房「アルタ」は繁盛してた。
ここの主人のアルタおじいちゃんは、付与魔法が得意なおじいちゃんだった。
それは攻撃魔法専門の付与だった。
それも調子のいい時は、3つまでも付与が出来た。
INT+ 知力
DEX+ 器用さ
AGI+ 素早さ
雷 水 火 土
これらの付与が出来た。
俺が持って来た品々には、1年半近くも売れなかった品々が沢山あった。
名品もあれば、普通の物もあった。
失敗作でもいい物だ。
「え!領主さま、この子が商談相手になるのですか」
「そうだよ。作ってるのはおじいちゃんで、頑固で商売は下手なんだ。この子は中々の才覚はあるよ」
「そうですか・・・売り上げ利益の4割でどうでしょう。領主さまの紹介ですから頑張った積もりです」
「売り上げ利益の6割を頂きたいです。幼く見えますがそこは譲れません」
「いくらなんでも6割はきついわ。売れ残ったりした場合はどうなるの・・・」
「そのような場合は、こちらで引き取ります。売れない商品だと諦めます。それでどうですか・・・」
「こっちにも手間やもろもろの経費が掛かるのよ。それを考えたら6割は・・・」
中々平行線だ。俺も一言だけ言っておこう。
「ここは、中間の5割にしてみてはどうだ・・・」
「分かりました。初めての商売ですので5割でいいです」
「・・・仕方ありませんね」
実際に海外に持って行って、売ってみるとバカ売れだ。
持って行った先々では高値で売れて、次回の取引きの約束までしていた。
「なんなんだ、その小さなドラゴンは」
2メートルするドラゴンが目をまんまるして、こっちを見てくる。
『お・・じちゃん・・は・・だれ』
たどたどしいが言葉はしゃべれるようだ。
『我の子らしい・・・知らない間に生んでいて、帰った時に押し付けられてしまったんだ』
「又も帰ったのか、それで育てられるのか・・・」
『魔の森に放置していれば勝手に育つぞ』
ああ、ダメダメパパさんだ。
「そんなことはダメだ。しっかりと教えて人を無闇に襲わないようにさせろ」
なんか首を傾げて困った風にしている。
よく聞いてみるとハクセンも放置されて育ったドラゴンのようだ。
教えるの、そんな必要があるのって顔をしている。
こいつに任せたら悪いドラゴンになってしまう。
「マナだけの吸収でも育つのか?」
『向こうは基本的にはマナしかないぞ。こっちに来てマソのせいで凶悪な性格になったが・・・』
「え!それは自覚してたのか・・・なんて奴だ」
『我は、それも心地よかったからかな。それがいけないのか』
「なんちゅう考えをする奴だ。お前の棲家で育ててやれ、俺の命令だ。それだけの広さはあるはずだ。お前が、ああだこうだと広げさせたから育てるには十分だ」
『おい、ついて来い』
よちよち歩きで、後について行くドラゴンだ。
俺も後について棲家まで来ていた。
『とお・・ちゃん・・ひろ・・い』
「ハクセン、オークの肉だ。その子に食わしてやれ」
ボンと投げてやった。
ハクセンは、口で裂いて甲斐甲斐しく子にあげだした。
口に入れられて無理やり食べさせられたが、なにか急にがっつきだした。
来る肉を『うま・・い・・もっ・・と・・く・れ・・』と言いながら食いまくった。
無くなったのはすぐだ。
なんかそれが嬉しくなったのか、ハクセンは魔の森へ飛んでオークを掴んで戻って来た。
なんて事だ。生きたままオークを裂いて食わしている。
母性が目覚めたのか、単におもしろいだけなのか俺には分からない。
『まだ・・ほ・し・い』
又、ハクセンは飛んで行った。
今、2体のオークを食ったよな。
どう考えてもその腹には入り切れない量だ。
あ!戻って来た。2体のオークを捕まえて来ていた。
おいおい食ったよ。
2メートルだったドラゴンが3メートルまで育った。
なんだこの成長は、凄過ぎるだろう。
やっと腹が一杯になったのか、目がトロンとしている。
ハクセンの足元に倒れ込むように横になった。
今はピースカ、ピースカ、と寝ているが、今後どうなるんだ。
この親子はーー。
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