悲しんで泣いた
作業場では、ダンジョンへドラゴンを連れてゆく為の、新たな亜空間袋を開発中だ。
基本的には生き物は、袋に入らない。
けれど転送装置は、生き物まで転送できた。
ちょっと心配な部分もあるが慣れだと思う。
原理的に言えば、似た部分が多い。
だから転送に着眼した。
しかし俺の中では、アンデットなら一般的の生命とかけ離れている思っている。
だから少しのアイデアで亜空間袋に入れそうな気がするのだ。
そのアイデアの元が転送だ。もう少しでアイデアがおぼろげに浮かんでいる途中なのだ。
それがまとまらないから、イライラと歩き回った。
転送の中に画期的なアイデアがありそうな気がしてならない。
必死に端末を操作して、転送の論理を1から見てた。
歩いての操作で、うっかりつまずいた。
端末が空中に舞った。このままだと端末が壊れてしまう。
空中で端末をジタバタさせて、なんとか抱え込み体勢変えて背中を思い切り床に打ち付けた。
あ!そうか!
もう忘れてしまいそうな閃きが来た!!
がむしゃらに材料を取り出して、錬金術を施した。
ついに新たな亜空間袋が完成した。
急いで外で見張りをしている黒騎士を1人だけ、招き入れた。
ドアを閉めて、黒騎士に手をかざして念じた。
あ!黒騎士が消えた。成功だ。
又も袋に念じた。
目の前に、黒騎士が現れた。
「今、何が起きたか分かるか?」
『何かありましたか』
え!記憶が無いのか・・・
今までの事をあれこれ聞いてみた。
記憶には問題ない。
もう1回試そう。
外の見張りと交代させた。
「数を数えてみろ」
『1・2・3・4・5』
又も手をかざした。やはい消えた。
少し時間を待ってみよう。
1時間は経っただろう。
黒騎士を亜空間袋から出した。
『6・7・8・9・10』
やはり亜空間袋の中で、時間が停止しているに違いない。
そんな事はあまり気にしてなかった。
改めて考えてみても、それを匂わす事はあった。
目の前の黒騎士にも質問をしてみた。
まっとうな返答だ。
数を数えてるから脳に障害が起きてない証拠だ。
実験は大成功だ。次の実験段階に行こう。
今度は、ここから飛び出した。
やって来たのは、ハクセンの所だ。
そこには巨大な建物が建てられようとしていた。
門も相当な大きさだ。
『まだ低いぞ、もっと高く作れないのか。情けない人間だ』
「お前は見てるだけだろ!お前の家なら何か手伝え!」
『何を言っている。この尊い我ができるか』
「なにーーでかいと思って付け上がるなーー」
なんだ、シレンがハクセンと仲良くしてい。いい事だ。
「ハクセン、こっちに来い」
『あ!主殿、何かようですか』
こっちに来たので、手をかざした。
お!成功だ。亜空間袋にハクセンを感じる。
空間もまだまだ余裕だ。
「領主さま、あのドラゴンは何処へ」
「実験の為に、この袋に仕舞った」
「え!その袋に入ったのですか」
「ああ、色々と事情があって、袋に入れる必要があったんだ。ドラゴンを気にせずにこの建物を建てくれ」
シレンは地面に向かってブツブツと言っている。
突然に壁が「ガガガガガ」とそそり立った。
又も別の位置に移動して、壁をぶっ建てた。
俺は近場の兵士にたずねた。
「ドランとガルバを知らないか。途中で覗いたが居なかった。何か聞いてないか」
「それでしたら魔物の討伐に出てます。サラス隊長がドランと一緒にいるはずです。ガルバは単独で狩りを楽しむと出かけたとサラス隊長から聞きました」
「そうか・・・ドラゴンはダメか・・・巨人の親子は何処だ」
「それなら、あの山に洞窟を掘っているのを見ました」
あの山か、又も駆け出した。
俺も結構、足が速くなった。ステータスアップが凄かったからな。
これが巨人の棲家か、掘り出した岩や土が無造作に積まれている。
「ジン!居るか!」
『なにか御用ですか』
ジンが洞窟からのそりと出てきた。
あの子も連れている。
「そこに並べ・・・・・・もう動かなくていいぞ」
ジンから収納した。まだまだ余裕だ。
驚いている子も収納だ。
亜空間袋にハッキリとハクセンと巨人の親子を感じる。
しかし、ドラゴン3体はちょっとキツイな。
一気に親子を出した。
現れた親子は、互いに見て不思議がっている。
「邪魔したな」
その言葉を残して去った。
作業場に戻った俺は、又も作れないかと材料を取り出した。
しかし、作業が始められない。
あの閃きが嘘のように忘れてた。
作ってからあれやこれやとやっている中で、すっぽりと忘れた。
あのあざやかな閃きが、初めからなかったように・・・
端末を出して、見たが思い出せない。
なぜなんだ!!。
そうだデンと背中を床にぶっつけた。
天井を見ても、なにも思いだせない。
「コンコン」とノックの音が聞こえた。
「セバスです。入ってもよいでしょうか」
「ああ、いいよ」
入ってすぐに駆け寄ってきた。
「何故、床に寝てるのですか、それに涙が出てますよ。なにか悲しい事でもあったのですか」
え!気付かなかった。
指先で顔を触ると濡れていた。
ああ、泣いていたのか・・・俺は、忘れた事に悲しんだのか・・・
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