立体映像
なんとこのバーヤン国では、オリハルコンの金属がバカらしい程に高い値段だと判明した。
その判明した理由もバカらしい。
あの祭りの燃え終わったドラゴンに、人々が襲い掛かったのだ。
火傷もへちゃらで、飛び込んだのだ。
え!なんでと俺もララも思った。
後で知ったのだが、ドラゴンの中心に硬貨程のオリハルコンが置かれていた。
それを取る為に、人々が襲っていたのだ。
その硬貨を手に入れた者は、幸福が訪れると昔から言い伝えられている。
勿論、後で国王に献上されて、一生遊んで暮らせる身になるのだ。
それにこの文明を支えるのに、必要な金属だった。
俺の錬金術でもドラゴンの血が必要だ。
そのドラゴン退治が出来ないこの国で、オリハルコンを作り出す事は到底無理だ。
この国にあるオリハルコンも、古い時代に他国から偶然仕入れた物だった。
その国も滅んだ。
それも何体ものドラゴンに襲われて、なす術もなかったようだ。
だから新たなオリハルコンは、この国には無かった。
だから貴重な金属で、幸福のシンボルでもあった。
それをララに交渉させている。
目の前には、国王とマルモ・マッコイが座っている。
たまたま10キロのオリハルコンを、袋に収納していた。
それをテーブルの上に置いた。
そのオリハルコンの塊を見て、驚きが隠せないでいる。
なにやら複雑そうな装置で、入念に調べていた。
緑の光りが照射されて、ピピピピピーと音が鳴っている。
その数値を見たマルモの顔は、驚きにみちていた。
「国王さま、これは大変な純度の良いオリハルコンです。こんなオリハルコンは見た事も聞いた事もありません」
国王自身も、生唾をごくりと飲んでいた。
「そのオリハルコンを、いくらで売ってくれるのだ」
ララは唸っていた。頭に手をやって考え出した。
相手をテレパシーで探っていた。
「国王さま、そちらで値段を決めて下さい。決められた値段で売ります。この国と親善な友好の証として・・・」
国王は端末を使って何処かと連絡している。
ララのスキルを知らないのだ。考えただけで読み取ってしまうのに。
横に居るララが、ニコリと微笑んだ。
10年分の帝国予算で、5年のローンで返済する事が決まった。
俺は、1年でもウハウハな気分だったのだが、嘘のような結果になった。
俺らが帰る時が来た。
大勢のバーヤン国民が、ドラゴンやハチに群がっていた。
最初はチョコンと触ったりして、なれだしたら抱きつく者が現れた。
すっかり国民に気に入られている。
それを引き離す為に、大勢の兵がかり出されていた。
子供を引き離すのが、苦労がたえなかった。
泣き出した子を、親があやす姿があっちこっちに見受けられた。
もう以前のように怖がる事もなく、人気者だ。
俺とララは高速機に乗って飛び立った。
後にはドラゴンとハチたちが飛んで付いてきた。
「領主さま、いい国でしたね」
「ララも国王に気に入られていたな。どれぐらいもらった」
「あ!ばれてましたか・・・えへへへ」
1つの大きな建物が急ピッチで建てられていた。
残すのは外装だけだ。
この建物の扉は、建物と同じくらいにでかい。
スイッチを入れると、重力魔法が発動して空中に浮かんで停止する仕掛けになっている。
スイッチを閉にすれば、元の位置に戻って誰1人も入れない頑丈な物になっている。
そのな建物の中で、巨大な魔法陣が床に書かれている途中だ。
この魔法陣は、バーヤン国で新たに知った知識だ。
端末を確認して、まだ途中だが間違いなく正確に書かれてホットした。
「領主さま、この装置はここでいいでしょうか」
言ってきたのは、魔道工房のメンバーだ。
確認して周りの配置関係から「右に20センチ移動してくれ。この部分が干渉して誤動作の恐れが出るから気を付けてくれ」
「分かりました。皆、20センチの移動だ頑張ってくれ」
何度も確認して配置が決まった。
「ここでいいですか」
「ああ、そこで大丈夫だ。配線は間違いなく繋ないでいるな」
「2度3度確認したので大丈夫です」
「ならスイッチを入れてみろ」
「え!わたしがですか・・・このスイッチで良かったでしたか・・・」
「ああ、そのスイッチだ」
マルサは恐々とスイッチを入れた。
立体映像が映し出された。
あのバーヤン国の人が映し出されていた。
それも等身大の姿で、周りの魔道工房のメンバーが恐る恐る手で触るが、触れる事はできない。
立体映像だからだ。
「これが映像か・・・とんでもない装置だ」
「転送装置が完成しましたか?」
「いやまだだ。今は立体映像を試していた」
「そうでしたか。今の王都ではドラゴン退治の劇が大流行です。その映像を送りますか」
「いやそんな物は見たくないよ」
「いえいえダメですよ。こんな貴重な映像を送って下さい」
そしてその映像が、大勢の民が見ていた。
始まった時は、拍手喝采だ。
娯楽に飢えていた。だから誰もが新しい娯楽に夢中だ。
それに劇中のドラゴンも迫力があった。
スムーズに動くドラゴンは、生きてるように動いていた。
特に人気なのは、3体のドラゴンが戦っている映像だ。
見終わった観客は、拍手を送った。
人の入れ換えをして、何度も何度も上映された。
その為に、大幅に転送装置の完成が遅れた。
だから、ララが新たな立体映像機を取に行った程だ。
なので、別の大きな建物が建設された。
そこでは、様々な映像が上映されて、大勢の人が見ていた。
それは一面に広がる花の景色や、極寒の吹雪の景色など・・・
たまに異国の劇を見る事もあった。
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