バーヤン国王の命令
ドランとガルバのドラゴンを見てあの亜人は、腰を抜かす者や泣き叫んで逃げる者で、ララが走り回って説得するのに1時間も掛かってしまった。
今も恐ろしそうに、離れた位置に6人がかたまっていた。
「ララ、ドラゴンに乗るの無理か・・・」
「無理でしょう。あの高速機に乗せた方がよろしいかと思います」
「ララも操縦できるな、なら6人を乗せて先導してくれ」
「分かりました」
あの亜人たちを高速機に乗せるのも、苦労して乗せている。
チチチチとうるさい声も、ハッチが閉まると一切聞こえ無くなった。
ジワリジワリと浮き上がったので、俺はドランにまたがった。
ミドリバチ50体も、空中で飛んで待機中だ。
高速機は、西に向かって飛んだ。
「ドラン、後を追え」
ふわりと浮き上がって、同じように飛んだ。
それを追跡するように、ガルバとミドリバチも後を付いてきていた。
あれがバーヤン国か、なんて高い城壁だ。
それに何処まで続くように城壁が続いている。
これは帝国を超えた文明だ。見た瞬間に分かる程に、文明の差がハッキリとしていた。
何か騒がしく音が鳴り出した。あ!空に障壁が張られた。
通常は見えないが、俺の魔眼はハッキリと障壁をとらえていた。
高速機は、大きな門の前に下りてゆく。
俺らも続くように下りた。
あの亜人が門に向かって叫んだ。
門がゆっくりと開きだした。すると大勢の亜人が出るわ出るわ。
しかし、俺らドラゴンの位置には近づかなかった。
ララがテレパシーで、来て下さいと言ってきた。
「お前たちは、ここで待機だ」
するとアオ(青バチ)が『主、お腹がすいた。何か食べたいよーー』
お前は勝手に付いて来て、そんな事を言うのか・・・
あれ以降、すっかり食欲旺盛になっていた。
アンデットなので、食らってエネルギーに変換してしまう。
だからアンデットが活躍するには、新鮮な血と肉が必要だ。
だから定期的に魔物の肉を与えていたが、奴は底なしの食いしん坊になってしまった。
だから普通の青バチより一回り大きくなっていた。
俺は袋から、オーク1体の肉を投げつけた。
バシッと口あごでキャッチして、モグモグと食らっている。
アンデットには、肉も褒美になるのか・・・
「その肉は美味いか?」
『うまい・・・よ・・・モグモグ・・・もう1体も食えるよ』
「今回の戦いで頑張ったら2体のオーク肉をやるから頑張れ」
『本当だよ主・・・モグモグ』
そして恐怖のこもった目つきで、俺を見る集団へ来てしまった。
なんだよその目つきは、あの小さな目が一斉に見られたら誰でも嫌な気分になるだろう。
それにその眼光の強さは何なんだ。
「領主さま、この者が案内するそうです」
そいつは亜人の中でも、少し背が低かった。
そして何かを地面に放り投げた。
地面に落ちた瞬間にポワンと膨らんで大きくなった。それは球体形の乗り物だった。
なんだそれは、速すぎて魔眼の解析が追いつかなかった。
「チチチッチチチッチ」
「あの球体で案内すると言ってます」
ララも球体に乗り込んで、その球体が一瞬で高い位置に上昇してピタッと止まっていた。
ララはテレパシーで「行きますよ」と言ってきた。
もうちょっと球体を見たかったのに・・・
俺はドランに急いで駆け寄りまたがった。
「ドラン、飛べ」
『主殿、しっかりと掴まって下さい』
その一言で、あの高い位置に浮遊していた。
他の奴らも、同じように付いて来ている。
「領主さま、行きます」
つられるようにドランも凄いスピードを出した。
あれか!1つの街が襲われていた。
あの高い壁が、無残に壊されていた。街の中はパニックだ。
凄まじい光線が白いドラゴンに命中した。
その閃光は、視界なくす程に眩しい。
視界が戻った時には・・・
ドラゴンが放った障壁によって吸収され、消える瞬間だった。
そしてドラゴンは街に白いブレスを、口から吐き出した。
街は一瞬で焼け野原だ。
今度は無数の火球がドラゴンに当たった。
ドラゴンは、遊ぶように街の破壊をはじめた。
火球ではダメージを与える事すらできない。
街の半分は残ったままだ。
それを踏み付けている。
ここで俺が参加したら、あの半分を犠牲にしてしまう恐れがあった。
ララのテレパシーが「街を犠牲にしてもドラゴンを逃がさないで倒して下さい。それがバーヤン国王の命令です」
俺の心を読んだような答えだ。それも強い口調で・・・
俺はジャンプして隣のミドリバチにキャッチしてもらった。
「ドラゴンよ、奴を倒せ!」
『分かり申した。こてんぱんにして参ります』
ようやく白いドラゴンは、こっちに気付いた。
口を大きく開けて白いブレスを吐いた。
こっちはドランがブレスを吐いて、空中で衝突した瞬間に大爆発が起きた。
ミドリバチにキャッチされていたので、飛ばされずに済んだ。
それ程の爆風がこっちまで、襲って来たのだ。
あの爆風で、半分になった街にも被害が出ていた。
あ!ガルバが上空から襲い掛かって、地上に一緒に落ちた。
それは凄い衝撃だ。地面が陥没していた。
ガルバの手には、白ドラゴンの片方の羽が握られていた。
そして頭を踏みつけて、残った羽をもぎ取った。
白ドラゴンが叫んでいる。そして背中から大量の血が噴出している。
そこへドランが参入。胴体にかぶさったまま、噛み付いた。
そのまま胴体を食っていた。噛む度に血が出ていた。
ガルバも負けてなかった。白ドラゴンの首にかぶり付いた。
そこから血が噴出した。
そこへアオも参入。モグモグと食いだした。
残ったミドリバチも同じように、あっちこっちを食いだした。
俺が乗っていたミドリバチも、目の前で食いだした。
2体のドラゴンに乗られて、身動きできないまま白ドラゴンは力尽きた。
2体のドラゴンとハチたちが、一斉に光った。
レベルアップした瞬間だ。
おいおい、大量の血が地面に染み込んだぞ。
これでは血の回収は無理だ。
交渉の末に、ドラゴンは全てが俺の物になった。
向こうは、退治してもらうだけでも大変に喜んでいた。
その喜びを付いて、ララが交渉した方が後々問題ならないと耳打ちしてくれた。
賢い奴だと感心した。
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