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スケルトン




倉庫に溜まった鉄で、森の木を伐採する斧を作ることにした。

魔眼なら、魔力を流して容易に鉄の結合を変えられる。

そして、その流れの途中で鉄に魔力が溜まるよう念じる。

出来上がった斧は、簡単に木を切り倒せるだろう。


何本か作ると、今度はノコギリだ。


又も魔力を流し、平べったくしてから形状を整えた。

ノコギリの歯を、1つ1つ思い浮かべてはイメージを強くしてゆくのがコツだ。


出来上がったノコギリを取っ手に差込んで、ギュウギュウ縛り付けた。

ちょっとやそっとでは抜けない。試しに振ってみた「ブヨ~ン」と鳴って面白い。




今度は、剣を作ろう。


この【魔のローラン】には魔の森があって、魔物が棲んでいる。

帝国に存在しない魔物で、1体に対して複数の人間が協力してようやく倒せるレベルだ。

過去から今に至るまで、何人もの犠牲者をだしている。

しかし魔物から取れる魔石だけが、ここの収入源でどうすることも出来ない。

そのせいで、ここの住人は帝国の人間より強い。


しかし、帝国に仇なす子孫である為に、帝国で働く機会を与えられずに、ここで暮らすことを強いられている。

ここの住民は一生、ここで暮らす運命だと帝国法で定められている。


なのでここの住民は、平民より低い土民扱いであった。



【魔のローラン】は広大であった。まだまだ未開の土地がそのまま残っていた。

奥に進むと魔物は強くなってゆくので、進めば進む程、危険が増していく。

そんな、魔物に負けない剣が必要だった。

しかし、今回は違う者に持たせる剣の為に、一心不乱で作り込んでいた。


「出来たぞーー。これは凄い物だ」


厚みもあって、両刃の幅が30センチにもなり、両刃の長さは2メートルを越していた。

普通の人間には持てない物だ。

何でも斬ってしまう剣だからキルソードと名付けた。


「ここにおいででしたか? このセバスは、探しておりました」


「セバス、何事だ」


「もうすでに、夜食も冷めてしまいました。もう1度温めますか?」


「俺が悪かった。冷めた物でいいから持って来てくれ」


「分かりました。作業は程々が宜しいかと存じます」


「うん、分かっている」




朝早くに目覚めた。

俺は屋敷を出ると、鍛冶職人候補が荷馬車に乗り込んで出かける途中だった。

俺に気付き「シン様、おはよう御座います。これから仕事場に行って来ます」と言い残して去っていった。



その時だ。

「ロベルト、命令に従いやって来ました」


総勢11人だが、勢揃いして待っていた。

大工仕事に適した頑丈な体格揃いで、見方を変えれば傭兵の猛者にも見える。


「今から魔の森に行く。戦えとは言わないがこっちで魔物討伐をした後は、木の伐採を頼む」


一様に驚く中で、ロベルトは言い放った。


「我らは、ここの生まれで御座います。何も臆していません」


何故か、建築班全員がここローラン生まれで、ここで採用された兵士だった。




「この先からは、結界外にです」


「成る程な、これが結界か?」


この結界は、古い時代に追放された賢者が作り出した。

その仕組みは、金色結晶こんじきけっしょうが魔物を寄せ付けない結界を作りだして、村人や街を守っていた。

今でもその子孫が、金色結晶を守り続けている。



兵士達に緊張が走った。


なんと、その結界を出た途端に地中に異常な反応が感じ取られ、間違いなく昔に死んだ強き男だろう。

俺は手に持ったオーブを、地面に埋め込んで叫んでいた。


「我の言葉で蘇れ!スケルトン」


しばらくして成功の手応えを感じた。

半端無い魔力がオーブに吸取られて、土が盛り上がった。

大きなスケルトンが立ち上がり、胸にあのオーブを抱え込んでいた。


「お前に名を授ける。ミラーがお前の名だ」


死霊術を使った成果だ。

死霊術の最初だけ使える特殊な霊術。

死霊術士は、最初の段階が非常に弱い立場な為に、1回こっきりの魔法であった。

それによって強いスケルトンを蘇らせた。


これ以降は、普通のスケルトンしか作れない。

後はスケルトンが魔物や人間を倒して、それぞれの熟練度を上げるしかない。

今はミラーの1体しか操れないが、今後この能力に期待するところ大だろう。


あのオーブは錬金術の応用で作り出した。

ミラー以外の魔物を弱くする結界を発し続ける、優れ物のオーブだ。

帝都で色々な高額の素材を使って作った。


あの結界をまとって魔物と戦えば、怖い物なしになるだろう。

そして、ミラーのステータスも普通の人間より凄いことに成っている。



ミラー


HP100

MP10


STR10★ VIT10

DEF10  INT3

DEX10  AGI10★


「シ、シ、シン様!あれは何ですか?」


「ああ、驚かしたな。あれはわたしが蘇らせたスケルトンだ。お前たちを守る役目を担うはずだ」


「大変だ!ブラックウルフが出てきたぞ!あれは連携して襲う凶悪な魔物だから、この数だと負けてしまう」


建築班にも恐れられる程の魔物らしい。


「ミラー、このキルソードと大盾を使って戦え」


黒い目のくぼみから、青白い光りが見えた途端に動き出した。

キルソードと大盾を軽く持って、振向いた途端に凄い動きで走りだした。


飛びついたブラックウルフを、一振りでほうむり去った。

次に襲ってきたブラックウルフは頭に剣を突き刺され、抜いた勢いで後ろに居たブラックウルフを斬り捨てた。

四方から襲うブラックウルフに、くるりと回って斬り伏せていた。

すでに7体が死んで、残りの6体は逃げ去っていた。


「さあ、伐採を頼むぞ」


「凄い!アッと言う間に終わってる・・・」


「アルタ、魔石を取っておけ。皆、木を切るぞ」


「え、なんて凄い斧だ!嘘のように切れるぞ」


作業が進み、分担して木の枝打ちしてから、荷馬車へ載せている。

2台の荷馬車は、きしみ出す寸前でようやく作業を止めた。


「どうやら、これ以上載せられませんね」


「ミラー、あの木を切ってみろ」


ミラーは、一振りで木の根元を切っていた。

木は「バタンッ」と倒れだした。

建築班を連れてこなくてもよかったかもしれない。


「ミラーは、あす戻って来る間、木を倒しておけ。魔物が出て来たら同じように倒していけ」


「シン様、あのスケルトンに1晩中木を切らせるのですか? もし冒険者に見つかれば戦う羽目になるかも知れません。誰か見張りを付けるべきです」


「誰を見張りに付けるんだ」


「ライアンとロジー、悪いが1晩中ここで見張りをしてくれ。その代わり明日は休みにするから」


「俺ら2人が見張りですか?・・・」


「そうだ、シン様、それでいいですか?」


「ロベルトが責任者だ。ロベルトに任せる」


「そう言うことだ。2人は頑張って見張りを頼むぞ。今日はこれで終わってもよろしいですか?」


「そうだな、これでいいだろう」


「皆!帰るぞーー」




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