この絶壁を発掘しろ
ロゲルの亜空間の中の全てを没収しなかった。
帝国と同じような事をしたくなかった。
なんとなくだが嫌だった。
ロゲルは、やはり商人だった。
すでに大通りに店を構えて居た。
それも2軒の家を買取って、壁をぶち壊して1つの店にしてしまった。
そして収納していた物を売っている。帝国や海外の珍しい物ばかりだ。
店の前に列が出来ていた。実際には買わないが見てみたい真理で客を誘っている。
出入り口付近では、少し値が張るが手頃な価格の商品がずらりと並んでいた。
客はついつい買ってしまう。
少し高い物なのに、安く感じさせて手に取ってしまう。
もう取ってしまったら放す事ができない。うまい考え方だ。
俺はそんな大通りを抜けて、自然に出来た港を視察していた。
この湾岸が深ければ、大型魔導船も容易に入港できる気がした。
魔眼で深さを見て、メモに深さを書き込む。
この岸壁も、土を盛った簡単な作りだから、石積みにして補強するか、土魔法で巨大石で頑丈な岸壁すればいい。
すると港を守る感じの、あのそそり立つ絶壁に巨大な洞窟を掘って、そこに造船場にすれば物資の運搬も楽だ。
そして絶壁を門にして、船を中に入れて隠すか・・・
船は帝国がいつ来てもばれないように、隠す必要があるからな。
造船場であって秘密基地的な存在である必要があるから。
それ以外だとあの絶壁が海沿い続いているから、ここ以外の造船場は考えられない。
出来た造船場で、船をじゃんじゃん造船して広い海へ出て、海外と貿易をすればじゃんじゃん儲かるだろう。
ああ、妄想が膨らんでしまう。
後は帝国にばれない工夫がいるな。
いっそうの事、起動式で絶壁ごと動かしてしまおう。
複雑な起動式が帝国にあったが、難しい過ぎた魔法陣で、今はすたれていた。
たしかこんな感じの魔法陣だ。
ラフに書いた魔法陣を、おぼろげな知識で思い出しつつ書き込んだ。
なにか一ヶ所が違う。どこだったか、たしか・・・帰って本を見ればいいか・・・
その夜から黒騎士たちによって、絶壁の崖を掘られていた。
賢い黒騎士がメインで掘り進められていた。
俺が書いた図面を見ては、うなずいている。
「この絶壁部分は残せ、門にする予定だ。落盤には注意して掘れよ。今度は高さや幅が桁違いになるから頑張れよ。土魔法で強化が必要ならロベルトの所へ行けば何とかしてくれるからな。そうだ腕でクロスすれば問題発生の意味だ。すぐに対処するように伝えてるからな」
律儀に全員がクロスして見せていた。
「そうだ、そうの調子で合図しろ。ロベルトが居る場所は知っているか、街の兵舎だ。そこに居なければ兵士に合図を見せろ。分かったな」
又も全員がうなずいクロスしていた。
俺は作業場で徹夜して、起動式の魔法陣に取り掛かっていた。
今度は起動にはパワーが必要だった。
俺の計算だと、4つの魔法陣で4ヶ所を同時に起動させれば、動くのに十分なパワーが出るはずなんだ。
これは実際にやってみないと分からない。
計算ミスがあるかも知れない。なにかしの不具合がでるかも・・・
気分転換に港の発掘場へ来たら、え!!ここまで掘ったの・・・
驚くペースで巨大な空間が出来ていた。
魔眼で見ても強化されていて、ちょとやそっとで落盤もない強度だ。
成る程、俺が知っている発掘レベルで無かった。
あんなに頑丈な絶壁をせっせと掘っている。
もう熟練工を上回るレベルで、スコップ1つで豆腐を掘っているレベルだ。
掘り出された岩は、黒騎士が剣で長方形に切り揃えていた。
何処かで使うみたいだ。
豆腐も、最近になって売られていた。
帝国から来た貴族お抱えだった料理人が、教えたらしい。なんでもダイエットにいいと貴族に人気だ。
それに豆腐を作った時に出る【おから】も評判だ。
おからパウダーを小麦と混ぜてパンも焼いている。
そのパンは、おからの風味があってうまいと評判だ。
味付けされたおからパウダーなら、パンやメンに掛けても美味しい。
兵士出される料理にも、おからパウダーを振り掛ける者もいて人気だ。
それに海側の絶壁を見事に残しつつ堀っていた。
起動式が完成すれば、中央を真っ二つ切って、両サイドも切って下部も切れば、扉のように開閉が出来そうだ。
水漏れ防止にゴムを使うのもいい。
「おーい来たぞーー」
「あ!ロベルト、なにしに来た。問題でもあったのか・・・」
「イエイエ、石を取りに来ただけです」
「なんだと」
外には頑丈に作られた鉄製の荷馬車あった。
黒狼がその荷馬車を引いていたらしく、ちょこんと座って待っている。
これは5日前にロベルトが作って欲しいと、頼まて作った荷馬車だ。
この岩を運ぶ為に作らせたのか・・・
「えへへ」と笑ってる。
「ロベルト、こんな用途に使うのなら始めから言えばいいだろう」
「どうもすいません。シン様を驚かそうと思っていたのに・・・」
「村の家は順調なのか、困ったことは起きてないのか・・・」
「心配しなくても皆で協力し合って、8割は完成して、もう移り住んでます」
「え!聞いてないよ。俺だけがのけ者か・・・」
「そうじゃありませんよ。シン様がなにやら新しい取り組みをしているので、邪魔だけはしないでおこうと皆で決めたので黙っていました。申し訳ありません」
なんか目が潤むような事を言うな。
俺は足早にさった。
報告をしろと怒ろうとしたのに、これでは怒れないぞ、このバカちんが。
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