国家反逆罪
なにやら城内が騒がしい。
「急いで見て来い」
「その話は本当なのか、どれだけの兵力なんだ」
「聞いた話だと1万人はいるな・・・」
その騒がしさで目が覚めた。置時計を見ると朝の6時を過ぎた時間だ。
ドアがノックされて「シンさまお目覚めでしょうか? 入ってもよろしいでしょうか・・・」
セバスの声だ。ちょっと慌てたようすだ。
「ああ、入っていいぞ」
「失礼します。大変な事が起きました。沖合いに船が24隻も来て、帝国の軍船が1隻が混じってます。攻撃はして来ないようすで、どうしましょう」
「分かった。着替えてから港へ行くから、セバスは先に行って情報を集めてくれ」
「かしこまりました」
いったい何があったんだ。前の貿易船から10日しか経ってないぞ。
それも24隻だと・・・どうなっている。
城から出た途端に、セバスからの伝達がやって来た。
息も絶え絶えのようすだ。
旧屋敷に来て欲しいと、兵士が口頭で伝えてきた。
なんでも馬が使われていて、走ってきたらしい。
ここはちゃんとルールを決める必要がある。
最低でも馬1頭は確保するように決めたい。
しかし今は馬が2頭だ。競走馬でなく荷馬だからスピードに期待できない。
黒狼を1体配備して置くか、それがいいな・・・
そう思いながら黒狼にまたがって、駆けだした。
やきもきしながら屋敷に入ると、太ったおっさんがデンと椅子に踏ん反り返っていた。
手には臭い煙を漂わせる葉巻を持っていた。
それも絨毯の上に灰をぼろぼろと落としてだ。
なんかむかつく、俺は葉巻の煙が嫌いだし・・・
「あんたが領主のシン・ローランか、遅かったな。それによくもボロ屋敷に招いたな」
セバス「貴様、言葉をつつしめろ。皇帝の血を引き継いだ方だぞ」
「それは昔の事だ。我は皇帝の代理で来ているのだ。我は皇帝に準じる身と言ってもいいのだ」
俺はセバスを見ながら、目で『やめておけ、こんなバカを相手にするな』と合図した。
セバスは、納得してないが従ってくれたようだ。
「皇帝の命令で罪人1万人を連れて来てやったぞ。折り返し後1万人を連れて来るからありがたく思え」
「その罪人の罪とは・・・」
「国家反逆の罪だ。お前の兄バランが首謀者ですでに処刑されたぞ。そのバランを捕まえたのが我輩だ」
「その罪人の食料は、帝国で用意してもらえるのかな・・・」
「なにを言っている。死刑にしても飽き足らないのに、食料だとそんなものは無い。罪人を煮ても焼いてもかまわない。好きにすればいいぞ。この意味、分かるな・・・」
殺してもいいと濁しながら言いやがった。
そしてそんな悪態をついて、奴は船へ帰って行った。
バラン兄を捕まえた事で、偉くなったと思っているのだろう。
そう言えば奴は名も名乗らないまま帰りやがった。
本当にバカな奴だ。
「セバス、奴の名はなんだ」
「ボレン・ガーデルです」
その名はしっかりと覚えておこう・・・
なにやら、その名を口に出すのも嫌なようなセバスだった。
「1万人か・・・住む家が無いぞ」
「鉱物を発掘している洞窟がよいかと思います」
「ああ、1回行ったきりで行ってないな、どうなっているのだ」
「黒騎士の働きで広い空間になっております。雨、風をしのげて涼しい所です。なので1万人も収容出来るでしょう」
「空気の循環はどうなるのだ。1万人だと危なくないか・・・」
「そうですね、あそこで死んだと聞いてませんが、1万人は多いかもしれません」
「俺が防具スーツに使った、魔法循環機の大型を設置すればいいだろう。元々あそこで使う予定で作った物だからな。それに新しい村に、又も家を建てる必要がでて来たな。その手配も頼むぞ」
「勿論、任せて下さい。責任もって対処します」
「色々と仕事を丸投げして悪いな」
「とんでもありません。今回の事でなにが起きてもおかしくないと、改めて思いました」
それにしても辻褄が合わない。
第1位の継承者なのに、反逆する意味がない。黙っていても次の皇帝になれるのだ。
俺からもそんな兄には見えなかった。
きっと誰かの陰謀にはめられたに違いない。
帝国は、ほんに怖い所だ。俺は追い出されたが、早く去れて俺は助かったのかもしれない。
「セバス、送られた人から事情を聞いて、どんな謀略があったかも調べてくれ。ミライから何か情報は入ってきてないのか・・・金を与えて諜報部を向こうで作れないか考えてくれ」
「ミライから何も情報はありません。諜報部は良い考えです。早速手配します」
セバスは足早に去った。
魔法循環機を設置する為に、洞窟へやって来た。
黒狼に荷馬車を引張らせても、大丈夫だった。
今度、黒狼を増やそうかと、思ってしまう。
中を見た感じは、え!!こんなに広いのか、もう洞窟のレベルでないぞ。
所々に太い石柱で支えて、落盤をしない工夫のようだ。
これなら2万人でも大丈夫な気がする。
発掘中だった黒騎士が集まった。
「これを設置するのを手伝ってくれ。それと当分は発掘は中止だ。ここに人が住む予定なんだ」
分かったとうなずくのは、20人中5人だ。
まだまだ知能に差があった。
そしてどうにか設置が完了。
魔石をはめ込むと、淡く光って始動した。新しい風が洞窟に新鮮な空気を循環させている。
俺の魔眼がはっきりと見た。
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