帝国の乱⑥
逃げ去った皇帝を捕まえる為に、急いで転送飛行機で転送した。
おおよその転送だが、1キロ先を走り続けていた。
「ララ!回り込んで地面に脅しの1発を撃ち込んでやれ」
ララの操縦は早かった。
素早く回り込んで、地面を撃って爆発を起こした。
最弱の爆発だったが、地竜も驚いて立ち止まった。
「なにが起きたのだ!待ち伏せか」
「少しお待ち下さい。範囲サーチで調べます」
俺は、ドアを開けてハチたちを次々に出した。
地竜を2000のハチが取囲んだ。
「なんだ、このでかいハチは・・・我の行くてを阻むか、このハチが・・・やってしまえ!」
魔術士が巨大な火球を発動して放った。
ハチに当たり大地を燃やした。そして周りの温度が一気に上がり灼熱の地獄となった。
ようやく炎が消えたが、ハチは燃える事もなく羽音を鳴らしていた。
「最大級の火球をくらって平気なのか・・・」
「俺に任せろ!」そう言い放った男が呪文を唱えた。
その途端に空が曇り、カミナリが幾度もハチたちを襲った。
しかし、ハチは平然としたままだ。
魔術士は、片膝ついて今にも倒れそうだ。
『まだやるのか・・・大人しく負けを認めろ』
「なにーー、この虫けらがーー」
2人の男女が同時に魔法攻撃を放った。
ハチに2つの魔法が当たった瞬間に、まぶしい閃光と同時に爆発音が支配した。
空に舞い上がった土煙が、ようやくおさまった。
大地には大きな穴が開いていた。
けれどハチは、ダメージもなく飛んでいた。
『我慢の限界だ』
一斉に魔術士と地竜が襲われた。
首筋を1噛みされて息絶えた者や、生きたまま食われた者で悲鳴が絶えなかった。
それは地竜も同じだ。ズタズタに切裂かれた。
皇帝は、ただ呆然と見ていた。
宰相ゲンラは、皇帝の足にすがり付いてガタガタと震えるだけだった。
そんな2人に、俺は近づいた。
宰相「お、・・・お前は、シン・ローランか・・・」
「シン・ローラン・・・それは何者だ」
なんだ、息子の名も忘れたか・・・
宰相「ここに金印がある・・・これで皇帝になれるのだ。どうか助けてくれぬか」
「ゲンラ!なにを勝手な事を言うのだ」
宰相「まだ、この状況が・・・お分かりになりませんか・・・」
「我は皇帝ぞ」
俺は、悲しむように言った。
「あんたは・・・まだ俺の事が何者かも分からないのか・・・やれ」
それはあっという間だ。ハチたちによって食い漁られた。
衣服だけが、ぼろ切れになって風に吹かれて飛んでいった。
円盤型移動機に乗って、王都に向かった。
王都内は、惨い光景が起きていた。
大通りは赤い血で染まり、ゾンビがさまよっていた。
わずかに生き残った人間は、ゾンビに見つかり襲われていた。
心臓を取り出して、むしゃぶりつくゾンビは、恍惚の目をしていた。
俺は、ムシにリンクした瞬間に、王座に座っている魔王見た。
右足を左足にのせて、どこから探し出したのか王冠をかぶっていた。
そして手をかざして、何か呪文を唱えていた。
その周りに大勢の人間が跪いていた。
突如、大勢の人間がもがき苦しんだ。
人々から青い小さな炎の玉が、抜け出して魔王の手に吸い寄せられた。
俺は、ハッキリと見た。
炎の玉を吸収して、光っていた。
あれはレベルアップした現象だ。
突然にリンクが切れた。
ムシが見つかったみたいだ。俺も急いで念じて再生させた。
凄い視線がを感じるが、魔法陣を展開させて転送した。
ムシは、手の平でブルブルとふるえていた。
『怖かった・・・』
「敵を打ってやる・・・心配するな」