恐れられたヒーロー
人間と怪獣
対立しているはずなのに人間のヒーローにあこがれる怪獣の子
そんな怪獣の魂の叫びとはいったい
「私たちの平和は今日も我々のヒーローカイザーによってまもられました。」
テレビに映る赤いスーツをまとったその男は、私たちの町のヒーローであり、子供たちのあこがれである。
「お母さん!僕もカイザーみたいなヒーローになる!」
その言葉を聞いた瞬間、母の顔が鬼のような形相に変わった。
「その言葉を二度と口にするんじゃない!」
いつも優しい母からは連想できないほどの、憎しみと、悲しみが母の様子から伝わった。
あぁ。そうだった僕は、
怪獣の子だ。
「今日の午後一時に東京都千代田区を襲撃した大型怪獣は、今回もカイザーによって退治されました。」
「カイザーの野郎、俺らの邪魔をいったいどれだけすれば気が済むんだ。」
怪獣の主な食事は動物だ。もちろんその動物には、人間も含まれる。ただ、人間が動物たちのほとんどを滅ぼし、数少ない動物は、人間によって管理されるこの世界では、時々人間の世界に行き、襲撃することで、私たち怪獣は生きている。そんな我々を邪魔する連日のカイザーの活躍に、父はいら立ちを隠せなっかた。それどころか、最近のカイザーは、私たち怪獣を退治するだけでなく、住処までをも破壊し、私たちの生活をなきものにしようとしているらしい。そんなカイザーへの不満を怪獣たちは募らせている一方、私は母を怒らせたあの一件以降、ヒーローになりたいなど決して口にしてこなかったが、みんなを守り、平和の象徴としてたたえられているそのヒーローの姿は、今でも憧れで、夢であった。そんな相反する二つの気持ちに悩んでいると父が、
「お前は優秀な奴だからな。こんな奴に負けるんじゃないぞ。」
と言ってきた。そんな期待は裏切れまいと、詰まるように、
「う、うん。」
と、愛想笑いを交えながら答えた。
そんな日々が続いていたある日、町中に緊急のサイレンが轟いた。赤いスーツの男が町を破壊していた。カイザーだ。とうとう我々の世界を終わらせに来たのだ。町の皆は慌てふためき、町中のいたるところから爆撃や銃声、そして家族の死を悲しむ声、家族と離れて泣きわめく子供の声など、そこに広がる光景は、この世のものとは思えないほど悲惨なものであった。そして後ろから聞こえる聞きなれた声による命乞いに私は耳を疑った。後ろを振り向くと、母が今まさになきものにされる瞬間だった。
「やめろぉぉー!」
そんな私の魂からの叫びも届かず、母は殺された。私は悲しみに打ちひしがれ、心の中で叫び、願った。
ぼくたちは生きるためのことをしただけじゃないか。
食べるために動物を殺すのは君たちも同じじゃないか。
それどころかこうなったのは君たち人間がほかの動物を滅ぼした結果じゃないか。
平和の象徴スーパーヒーロー。
みんなを助けるスーパーヒーロー。
ねぇスーパーヒーロー。僕たちのことも、
助けてよ。
その瞬間私の頭の中で何かが切れた音がし、人間はおろか、同じ怪獣からも恐れられる様な姿になり、侵攻してきた人間たちを、次々と殺していった。
そして最後、カイザーとの一対一。でもさすがに私にも暴れまわったことによる体力の限界は来ていた。ただそれはカイザーも同じだった。子供のころからのあこがれだったカイザーの姿は、今ではただの偽善者のように思えた。カイザーと私が最後の体力を振り絞り放ったこぶしが交差する瞬間は、別の時空に生きているとおもわせるほど、とてもゆっくりに感じられた。その時私は心の中で亡き母に問うた。
みんなを守れたかな?
みんなを助けれたかな?
みんなのヒーローに
なれたかな?
あの悲劇が起こって以降、怪獣と人間の間には、お互いに干渉しあわないという暗黙の了解ができた。
もう街には悲劇の後は残っておらず、それを思い出させるのは、町の大広場に置かれた私の銅像くらいだ。ヒーローになったことを実感できるその銅像は私のお気に入りで、よく来ている。
さあ、家に帰ろう。母がまっている。
今回が初めての投稿で、表現や構成、そもそもストーリーからダメダメだったかもしれませんが(笑)、どうか温かい目でご愛読お願いします。




