9話「冒険者ギルドとランクについて」
街の中に入り冒険者ギルドを目指し歩く。
「アルよ。だから目立たないって言ったであろう?」
「まさか、あんな理由があったとはね。諦めて受け入れることにするよ。」
言われた通り腰に下げた金色の剣はたいしてそんなに目立たなかった。周りにもちらほら身につけている人がいるからだ。
「それよりも早くギルドカードを発行してもらわないと。」
歩いていると冒険者ギルドの看板を見つけ中に入った。中に入ると色んな冒険者が依頼を見たり談笑したりと活気のある空間だった。俺は一目散に受付を目指した。
「ようこそ。冒険者ギルドへ。本日はどのようなご要件ですか?」
対応してくれたのは細身の30代くらいの男性だ。
「ギルドカードを発行したいのですが。」
「かしこまりました。ではこちらにお名前をご記入してください。」
名前を書き終わり受付の男性に渡した。
「では発行しますので少々お待ち下さい。」
5分ほど受付で待つと男性は戻ってきてカードを渡してくれた。銅のカードだ。
「こちらがギルドカードになります。ランクはCランクです。身分証明書の代わりにもなるのでなくさないようにお気をつけください。」
「ありがとうございます。」
「引き続き詳細な説明をいたしますがお聞きになりますか?お時間はそれほど取らせません。」
確かに使い方も制度も分からなければどうしようもない。ここは聞くべきだな。
「分かりました。お願いします。」
「では、移動しますので私についてきてください。」
男性が邪魔にならないスペースに移動するというので後ろをついていき対面式のテーブルに移動させられた俺は椅子に座り男性の話を聞いた。
「まずはランクについてですが昔はEからSまであったらしいのですが見直されて現在は低い順にC.B.Aの3つのランクのみになります。これは後の説明にも繋がりますが簡単に強さの区別をつけるためとも言われています。まずはCランクについてですがこれは初めてギルドカードを作ったものが該当します。Cランクカードに限り誰でも作れます。子供、お年寄り、主婦、戦闘経験のないものでも。
理由は至って単純で身分証明書の代わりにもなるからです。身分証明書やギルドカードには特殊な魔法が施されていて、特殊な道具を使うことによってその人が身分を証明するものを持っているかいないか判別することができます。街の中には長く身分証明書無しで滞在することはできませんので取り締まりの対象となります。以上の理由からCランクカードに限り誰でも簡単に作ることができます。ちまみに受けれる依頼も比較的簡単なものが多くなります。Cランクの説明は以上となりますが?質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です。続けてください。」
俺は首を横に振り続けてくれと伝えた。
「では次にBランクについてですが、いきなりBランクになることはできません。必ずC.B.Aの順にランクは上がっていきます。強さについてですが単騎でBクラスの魔物、パーティでAクラスの魔物を倒すことができる者が該当します。Cランクである程度実績を積むとBランクへの昇格試験を受けることができます。合格条件は1対1でBランク冒険者と模擬戦を行い一撃を入れること。シンプルですがBランク以上からは強さが求められますので合格率はかなり低いです。それほどCとBランクでは差があります。また、Bランクになると指名依頼も受けることができるようになリます。」
「AランクについてですがほぼAランクに上がることはできないと思ったほうが良いでしょう。
求められる強さは単騎で最低でもAランク魔物、パーティで災害級魔物を倒すことができる者が該当します。Aランクへの合格条件は1対3人のAランク冒険者と模擬戦を行い一撃を入れるか認められることです。ギルドが認めたものしか試験を受けることができませんし、かなり厳しいので大体はBランクでランクは止まります。ちなみに、Aランク冒険者は世界で8名しかいません。それほど個の力が圧倒的なのです。Aランク冒険者になると指名依頼の他に身分が貴族と同等と認められます。発言の効力も貴族と同等になります。最初にも言った通りランクは3つしかありませんがそれぞれのランクの間には確実な差があります。」
「以上がランクの説明となります。長々とお付き合いありがとうございます。残りの細かな説明に関しては実際に依頼をこなしてわからなければ聞いてください。」
「大体は理解できました。ありがとうございます。」
俺は対応してくれた受付の男性に挨拶すると席を立ちギルドを出た。その足で門の所にいる兵士を目指し歩く。