6話「アルと金色の騎士」
「う。。。俺は生きてるのか?」
俺は体全体を確かめて失ったはずの腕も傷も全て完治している事に驚いた。確かにあの時爆発に巻き込まれて死んだと思った。なぜ俺は生きてるのか不思議でたまらなかった。
「そうだ、みんなは?」
辺りを見渡すと俺は森の中にいるらしく仲間は誰一人いなかった。
「なんでこんな所にいるのか分からないけど、みんなは無事に任務を完了したのかな?」
ふとそんなことを口にした俺は埃をはらい森の出口を探しに歩いた。
「いつまでもこんな所に居てもしょうがない。まずは人の集まりそうな場所を探すか」
俺は帰る手段を無くしたためまずは今の置かれてる状況を確認するために街を目指した。
奇しくも思いもよらない状況下でアルは外の世界で冒険するという夢を叶えたのだ。
森の中を進んでいくと前方からガサッと落ち葉を踏む足跡が聞こえた。俺は立ち止まり警戒するとゴブリンの頭に王冠をつけた魔物が現れた。手には折れた大剣を持ちこちらを威嚇してるようだ。
「あれは前に職員から聞いた事がある魔物だな。確か名前はゴブリンキングだったかな。」
腰から剣を抜こうと手をかけるがそこには何もなかった。
「そうだ。今の俺は何も無いんだったな。なら黒の魔力で戦うしかないか。」
そう言うと全身に黒の魔力を纏おうとしたが一向に魔力を纏うことができない。
「黒の魔力を感じない。俺は魔力も失ったのか。非常にまずいぞ、、、流石に魔力なし武器なしだとゴブリンキングは倒せない。」
だが、ゴブリンキングにはそんなことも関係ないため走るたびに地面をえぐりながら大剣を上段で構えこちらに近づいてきた。
逃げることもできないと悟った俺はゴブリンキングの大剣めがけ蹴りを放つ。しかし、ゴブリンキングの大剣はびくともせず奴は強引に大剣を横に払い俺は背中から木に打ちつけられた。
「がはっ。身体能力だけだとここまで弱いのか。
体術の訓練もしとけばよかったな。」
弱音も吐いてもどうにもならないことはわかっていたが頭の中で次の行動を考えた。少しずつだが奴との距離が縮まっていき決断を迫られるのだった。
そんな中、突如上空より一本の剣がゴブリンキングの脳天めがけ飛んできた。ゴブリンキングは頭から剣に貫かれはじけ飛んだ。そして、俺の目の前に黄金に輝く一本の剣が地面に刺さっていた。黄金の剣は光の粒子となり金色の騎士の姿になった。
「そなたが我等の王だな?」
金色の騎士は顎に手を当てながらジーっとこちらを見つめた。
「しかし、あの時感じた力があるならゴブリンキング如きに遅れはとらないはず。もしかして、王は自分の力に気づいてないのか?いや、まさかな。」
俺は目の前の金色の騎士が何を言っているのか理解できなかった。あまりにも衝撃な出来事が目の前で起こったため頭の整理が追いついていなかった。でも、どうしても聞きたいことがあった。
「あなたは何者なんだ?」