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2話「第三回封玉回収任務と友との別れ」

しばらく死んでは再生を繰り返し実験の日々を繰り返していたがある日全員に声がかかった。

「お前たちに第三回封玉回収任務を命ずる」

 その言葉に俺は背筋が凍る思いを感じた。

なぜなら施設外で死ぬと本当に死ぬから。

施設内ならいくらでも無かった事にできるのだがなぜか施設外だと本当に死ぬ。

原理はさっぱり分からないが第1回、2回任務で何度もその光景を見てきた。

不意に握りこぶしに力が入った。

死ねない、いつか外の世界を自由に歩いてみたいその願いが叶うまでは。

「今回の場所は騎士王国と天聖国の間に位置する中立地帯、結界の跡地の遺跡に侵入する」

「目的はいつも通り黒の封玉の回収だ。今回は確実に回収する為全員で任務にあたってもらう。」

よほど今回は重要な任務なのか時間をかけ事細かに説明をされた。

「出発は2時間後、支給された装備を着用し転移ゲートの前に集合以上解散」

その言葉を聞いた俺達は散り散りに準備をはじめた。

準備を終えた俺達は転移ゲート前に集まり職員の命令を待った。

「よし、順次ゲートに入り任務を開始しろ

回収次第再度ゲートを使い帰還急げ」

1人また1人とゲートを通過し消えていく。

果たして今回は何人生き残れるのか、そんなことを考えながら俺も一歩踏み出した。

淡い光が収まるとすでに遺跡内部に降り立っていた。薄暗く石のブロックを敷き詰めたかのような壁地面はゴツゴツしていてすでに戦闘があったような雰囲気だった。

「ようアルお前が最後みたいだな」

不意に声をかけられ後ろを振り返るとそこにはゼロと呼ばれる男がいた。

なぜ番号で呼ばず名前で呼び合うかと言うと

こいつとは第一回任務からの腐れ縁で最初は俺は6番と呼ばれゼロの事を1番と呼んだ。お互い死なずに生き延びてきたせいか不思議と話す機会が多くなり番号だと呼びづらいためお互いに名前をつけた。ある意味相棒みたいな感じだ。

「ゼロ待ってたのか?てっきり先に行ってるかと思ったよ。」

ゼロは片手をヒラヒラと左右に振りため息をした。

「流石に先行して死にたくないんでね相棒を待ったのさ」

「ゼロお前らしいや。で、現状は先行組はどこまで行ったの?」

俺達は歩きながら会話を続けた。

ゼロは徐にポケットからタブレットを取り出し

赤い点を指差した。

「すでに守護ゴーレムと戦闘しているみたいだな。戦死15生き残ってるのが7人だ。」

「もうそれほど仲間達が死んだのか?あの守護ゴーレムなら遅れはとらないはずだけど」

「多分だが前回の守護ゴーレムより手強いな

あの頃より俺達は強くなってるはずだがそれでも苦戦するなら間違いない。」

俺は既に状況が詰んでいるなと思いながら歩みを止めなかった。

扉を開けて中に入ると既に乱戦状態だった。

右腕と頭部を失った守護ゴーレムが残った腕で仲間をなぎ払い壁に打ちつける。

俺達はそこに駆け寄ると声をかけた。

「大丈夫か?状況は?」

声をかけられた男は咳き込みながら答えた。

「ゴホッゴホッ、、最悪だな。硬すぎて刃が通らない。通すのに何人も死んだよ。いつもながら上は無茶な任務ばかりやらせたがる。」

男が話し終わると空気を揺るがす程のおぞましい叫び声が遺跡内に響き渡る。

「アル、このままだと全滅するのは時間の問題だ。。一気にしかけるぞ。」

「わかった。俺に策がある。。聞いてくれ。

まず、俺が全魔力を使ってやつの動きを黒の鎖で封じる。その間に全員で奴の背中に刺さっている剣に叩き込んでくれ。それでコアまで剣が届くはずだ。」

俺はみんなに伝えると魔力を練りだし意識をゴーレムに集中させた。

「チャンスは一度きり。勝率はほぼ無いがやるならこれしかない。必ず空きは作る。」

「わかった。死ぬなよアル?」

「ああ。やるぞ。」

俺はゴーレムに走り出し剣を抜きゴーレムに突き出した。気づいたゴーレムは標的を完全に俺に定めたようだ。黒の鎖は敵に近づくほど効力は高くなる。

ならば俺ごと巻き込んで発動させたほうが成功率上がる。ならば、、

「左腕はくれてやるよ。」

ゴーレムの肩から放たれたビームを交わしきれず左腕は消滅した。だがその反動を利用し奴の体に触れた。

「黒の鎖」

アル体から黒色の魔力を纏った鎖が無数に飛び出し鎖がアル事ゴーレムに巻き付いた。

「いまだ、ゼロやれぇぇー。」

「いくぞみんな。」

かけ声と共にゼロ達は鎧を纏ゴーレムの背後に周り最後に刺さってる剣に同時に一撃を食らわせる。

「黒の、、斬撃ぃぃぃー。」

その一撃が届いたのかゴーレムは辺りを覆い尽くすほどの光とともに爆発をした。

ゴーレムは倒された多大なる犠牲と共に。

衝撃で飛ばされたゼロは意識を取り戻すと周りを見渡した。先程までいたゴーレムの場所は爆発の影響で天井が崩れ壁となり埋もれていた。生き残ったのは唯一ゼロだけだった。ゼロは生き残りはいないのか見渡したがそこには散っていった仲間たちの肉片だけが落ちていた。

「俺だけかよ、、くそ。。。そうだアル、アルは?」

ゴーレムがいた場所を見つめ叫んだ。

「ふざけんな、一緒に外の世界を冒険するって約束したじゃねーかよ。ここでお前の冒険は終わるのか?なぁ返事しろよアルぅぅー。」

その悲痛な叫びは虚しくも響くのだった。

「俺は諦めないからな生きていると信じてるからな」

ゼロは振り向き前えと進む。扉を開けるとそこには妖しく光る黒の封玉があった。

ゼロは封玉を手にすると無言のまま渡されていた帰還用の転移ゲートを使い転移した。

生存者一人という結果を残し任務は完了した。

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