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第1章「初まりと始まり」 1話「番号で呼ばれた少年」

「これより、対魔物戦闘訓練を行う。13番、1番、6番

用意」

番号を呼ばれた実験兵士達は装備を確認しドーム型の結界内に入った。

目の前にいる魔物は訓練用に開発された四足歩行の大型の化け物。

俺は貸し与えられた人造王剣を両手で握り腰を落とし全神経を目の前の化け物に意識した。

いつもどおりいつもと同じく殺ればよいだけ。

頭の中で自分に言い聞かせた。

「はじめ」

職員の合図と共に全員が動く

「13番、1番、俺があの化け物の初撃を受ける

その間に一発食らわせてやってくれ」

うなずいた仲間たちは俺の後ろで距離を取り人造王剣を片手で持ち剣に魔力を通した。

「召喚」

そうつぶやき剣を上空に掲げた瞬間、剣から黒い魔力が溢れ出し二人を包み込んだ。

黒い魔力が消えるとそこには全身黒い騎士の姿をした二人が現れた。

俺は目の前の化け物から放たれるブレスを上段から思いっきり剣を振りかぶりブレスを弾こうとした。

「くぅぅ、流石に鎧無しだときついな」

俺はブレスを剣で耐えながら魔力を全身に纏い踏ん張った。

「こっちを見ろ化け物、黒の鎖」

足元から伸びた魔力は鎖の形になり化け物の体に巻き付いた。

さぁ、我慢比べといこうじゃないか。

動きが止まったのを確認した13番と1番は化け物の両脇に移動し同時に剣を振り抜いた。

「黒の斬撃」

両脇から放たれた斬撃は化け物を横から切り裂きずるりと崩れた。

「よし、そこまで。13番、1番鎧を解除しろ」

俺はその場に座り込み鎧を解除する二人を眺めた。

「解除」

1番は纏っていた鎧を解除し深呼吸し気持ちを落ち着かせた。

13番だけはまだ鎧を着たままだった。

「ぐああぁっ」

突如悲鳴を上げ体中がぼこぼこと変化し始めた。

まるで限界を超えてしまったかのような悲惨な姿になった。

「適合できなかったか。」

俺は今まで何回もこの光景を見てきて見慣れたと言うべきか。何も感じなかった。

どうせ死んでも再生カプセルに入れられ復活するからだ。

実験体の俺達からしてみればいつもどおりの光景だ。

実験は終わったのだから俺は立ち上がり部屋へと戻った。


「以上が報告となります。」

持っていた書類を60歳を過ぎたくらいの白髪の男性に渡すと報告していた女性は一礼して部屋から出た。

渡された書類を見ながら白髪の男性は

「一本だけ黒の封玉を混ぜた人造王剣を紛れ込ませておいたが無理じゃったか。」

ため息が出た。毎回実験をする際に一本だけ強い力を込めた剣を使わせるのだが未だに成功した例はない。今回は今までの実験体の中で適合率の高い実験体を用意できたと聞いていたので

思いきって黒の封玉を混ぜた剣を使わせたが結果失敗だった。今手元にあるのは3つあるうちの2つの黒の封玉。ならば2つの封玉をベースに新しい器の体を作るべきか。

「事を急ぐとろくな事にならんことは知ってるが時間もないしのおー」

溜め息がポツリと部屋に響き渡った。


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