表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇討伐部Ⅴ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
7/53

お年寄りには優しくね

アルカディアの聖女……出番終わるの早かったですね……

第七話 人斬り侍現る




 ____お前の宗教はとっくに終わってる。お前が民に手をかけたときから、な。


 彼はそう言いながら刀を仕舞った。

 ……とんでもない殺人現場を見てしまった。


「……」

「大丈夫か?二人とも。なに、気にすることはない。あれは悪い人だ」

「……やりすぎだよ……あそこまでやる必要あったの!?ひどいよ!」


 ムジナが涙目で訴える。

 一番近くで見ていたので、とても怖かったのだろう。


「おじさんはな、自分で言うのも何だが……月に惑わされちまったんだ」

「月?」

「そう。地球に一番近い、月。それからだ。この刀一本で過ごしてきたのはな」


 何を言っているのかわからない。だが、見る限り地球にいる姿をしている。

 着物に、笠。そして刀。

 どことなくリストを彷彿させる。着物だからであろうか。


「その月がどうしたの?月に何があるの?」

「月には人を惑わす力があると言われている。おじさんもその一人だ。月は危ない。近づかない方がいい。見ない方がいい。あれは____」

「神の矛だから、だろ?」


 俺は驚く男性に近づいた。

 大体予想はついていたことだ。

 アイザーに渡されたあの鍵を調べたところ、月の石が使われていた。アイザーの話からして、ノートの思惑に必要なものだろう。

 俺たちを一掃するための秘策だ。


「そこまで知っているなら話は早い。近づくんじゃないぞ」

「それは断る」


 俺はきっぱりとそう答えた。


「どうしてだ!?あれはどうにもできないものだ!近づくなんてもってのほか!そこの子が許しても、おじさんが許さんぞ!」

「鍵は俺が持ってる」

「……鍵?」


 俺は鍵そのものを出さずに、異界に置いている鍵を俺の前に投影した。


「神の矛を起動するための鍵だと思う。詳しくは教えてくれなかったけど、それだけは確かだと思う」

「……ふん、よくもまぁそれだけ調べたものだ。勉強熱心でおじさん、感心しちゃうなぁ」


 溢れ出る狂気をそのままに、彼はニヤ、と笑った。


「当然だろ、受け取った得体の知れないものを調べないでどうする。それに生憎、俺は知識こそ力とも思ってる人だから、人一倍調べ尽くすよ。その為の半年間だったんだから」

「ほう、半年間もそれに費やしたのかい。それにしてはあまりわかっていないようだね?半分、ってところかな?」

「名前も知らない胡散臭いおじさんにこれ以上教えることなんてない。皇希呼んで逮捕してもらうぞ」


 俺は投影を止め、睨んだ。

 それと同時にムジナを隣に移動させる。


「逮捕だって?やだなぁ、江戸の奴らも結構しつこかったのに、次は現代だって?あぁ、嫌だ嫌だ。……仕方ない、おじさんのことは『月光』さんとでも呼んでくれ」

「うん。月光さん!言いそびれたけど、さっきはありがとね」

「黙れ、その口縫うぞショタコン」

「こっちの黒髪の子はいい子なのに、赤髪の君は口が悪いと後々後悔するぞ?」


 ……俺はただ刑事である(ここ重要)皇希に叩き込まれた『怪しい人に話しかけられたときの対処の仕方』をリピートしてるだけなのに、どうしてこんなに怒られているんだろうか。


「まぁまぁ、ヘラ。助けてもらったんだから、それくらいにしよ?ね?ね?」

「……わかってるけど……うぅ……」


 ムジナが言っていることは百パーセント事実だ。だが、やり方が間違っている。悪魔である俺たち以外……スクーレなどが見たら大惨事だっただろう。


「これは社会勉強として覚えないとねぇ?ヘ、ラ、く、ん?」

「……うるさいしキモいんだけど……」

「扱い酷くない?」

「あ、あはは……」


 ムジナが苦笑いする。

 そして俺の腕を引っ張った。


「ちょっと、引っ張らないでくれよ!」

「ヘラ、戻った方がいい!この人には敵わない……そんな気がするんだ」

「わかってるけど……なんか腹が立つんだよね……。でもムジナの言うことは正しいよ。アシリアの元に戻ろう」


 ムジナはにっこりと笑って首を縦に振った。


「というわけだ、月光。帰る」

「そうかい。なら引き止めはしないさ。一つだけ言っておくが、おじさんも旅人だ。またどこかで会うかもしれないな」

「そうならないことを願っておくよ」


 月光は少しだけ笑い、歩き去ってしまった。


「……ふう!良かった!」

「ムジナ……ありがとうな」

「ん?」

「あの人型たち、俺だったら太刀打ちできなかった。あんなの、倒せるわけない」


 俺には罪もない人たちを倒すなんてできない。

 だが、本来の在り方……死神によって魂を正常な場所に送られるというのであれば話は別だ。


「でも勝手に力を使っちゃったからお兄ちゃんに怒られちゃうね」

「そ、そうだな……」


 そこか!

 だが、そこがムジナらしいか。


「さ、戻ろう!アシリアが待ってる!」

「ふん、アシリアを待たせてる、じゃないのか?」

「そうだね!」

「開き直った!?」



「遅かったじゃない。私はあなたたちの力を見込んで宇宙に連れてきたのに」


 戻ると、案の定アシリアが船の横で腕を組んで怒っていた。


「怪しげなおじさんに絡まれてたんだよ。でもちゃんと帰ってきたし、ここのやべー女の人も倒してきたんだからいいだろ」

「やべー女……?こんな平和な星にそんな人いたの?それに怪しげなおじさんって……変なことされなかった?」

「むしろ助けてもらったんだよ!あとで詳しいこと教えてあげるから、早く次の星に行こ!」


 ムジナがアシリアの背中を押して船に押しやる。アシリアは不思議だという顔をしながらも船に乗り込んだ。

 その後ろについて俺とムジナも乗り込んだとき、あることに気がついた。


「アシリア、なんか増えてない?」

「ん?あぁ、あれのこと?」


 アシリアが言う「あれ」とは、舵のことだろう。

 前のとは少し違う……いや、前のってあったっけ?


「はーい、皆さんお待ちかね、善悪みんなの味方、商人ちゃんだよ!」


 俺たちが話しているのに気づいたのか、向こうの方で女の子はムジナと比べても負けず劣らずの屈託のない笑顔を振り撒き、頭の上でピースした。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ