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怪奇討伐部Ⅴ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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オリオン編4

第四十九話 在り方




「お、お前……ただの人間じゃないな……?」


 仰向けで倒れたオリオンが呟く。

 廻貌は「まだ動けるのか」と首もとに移動した。


「人間じゃねぇよ」


 俺は静かに返した。


「!?」

「……だが、今の俺は少し違うな」


 手のひらに炎を作り上げ、にや、と笑う。

 オリオンは焦ったような顔をした。


「俺は、海賊だ!お前は知らんだろうが、この服は元から海賊をモチーフに作り上げた!」

「えっ、そうなの、ヘラ」

「ムジナは黙ってな」


 じろ、と目を細める。

 そしてポケットに手を突っ込み、瓶を出した。虹の粉が入っている瓶だ。まだ変わりはない。


「これについて何か知っているか?」

「そいつは?……いや知らないな」


 オリオンは目を閉じた。

 やはりこんなものは存在しないのだろうか?イアとアシリアの嘘なのか?ではなぜレインはコルマーに行けと言ったのだ?


 わからない。頭の中はフリダシに戻ってしまった。


「くそっ……」

「アシリア」


 オリオンがアシリアを呼ぶ。

 だが返事をすることはなかった。


「……」

「どうして彼らをここに連れてきた?」


 アシリアがピクッと動く。

 ムジナがアシリアを見た。


「……虹に選ばれたから」

「さっきの瓶か」

「……」


 静かに頷いた。

 ……結局オリオンを倒しても粉は増えなかった____。


「うわ!?何だ!?」


 突然ムジナが悲鳴を上げる。

 俺は守るために急いでムジナの元に向かった。

 振り向くとサメが商人ちゃんの肩を借り、立ち上がっていた。


「ついに起きてしまったか……」

「何が!?」


 よいしょ、とオリオンは立ち上がる。

 あれを喰らってもまだこんなに元気なのかよ……と軽く落胆しながらオリオンに質問した。


「神だ」

「は?!神!?ノートじゃなくて?!」

「ノートの名を知るのか……。そうだ、ノートではない神だ。あとは我々『オリオン』が抑える。だから早く逃げなさい」


 オリオンが言い放つが、メリアは一歩前に出た。


「その……ごめんなさいっ!!」


 ガバッ!と前に上半身を倒し、謝罪した。


「私たちが倒してしまいました!今頃目を回していると思います!!!」


 ……そうだった。

『オリオン』側はメリアの仲間が倒してしまっていた。


「地震かなぁ……?」


 商人ちゃんが不安そうな声を出す。

 確かに揺れている。

 横ではなく、縦だ。これは大きいのが来る……というかなぜ大きな鉄の塊なのに地震なんか起きてるんだ。

 しかもだんだん大きくなってきてないか?


「お父様!」

「ダメだ。お前は逃げろ」


 アシリアとオリオンが争っている。

 だがオリオンの言うとおりだ。

 アシリアは箱入り娘だったのか、ここの技術はほとんど知らなそうだし、何かが侵略してきているとしてもほぼ戦力にはならない。


 逃げた方が正解だ。


「でも……でも!!」

「アシリア、オリオンの言うことは間違ってない!行くぞ!」


 俺はアシリアの腕を掴み、引っ張る。

 ただの女の子でしかないアシリアは悪魔である俺の力に負け、走って逃げる俺に引きずられる形で並走し始めた。


 ちら、とオリオンを見る。

 ……そこには赤く染まった脇腹を押さえ、両膝を地面に置いた……愛しい娘を見送る優しい瞳があった。


「オリオン……っ」

「くそっ……!!」


 サメも同じく後ろを見て目を細めた。

 商人ちゃんに聞いたところ、サメもグランドゥプリュイで似たような状況に置かれていたらしい。

 なのでアシリアの気持ちは痛いほどわかるのだろう。


 扉の前には巨大な鉄板が落ちてきていたところだった。

 天井だろう。

 ワープ機能が停止したのか、生き残ったオリオンの人たちが混乱している。

 ならばまっすぐ走り抜けるのみだ。目の前の鉄板は炎で熔かしてしまおう。


「ヘラ!無茶しちゃダメだよ!魔力が無くなったら____」

「わかってる……!でもこうするしかない!氷だったら割らないと意味ないだろ!二度手間だ!」

「う、うぅ……」


 一枚、二枚、三枚と走り抜けられそうな大きさに熔かして穴を開けていく。

 途方もない数だ。地球よりは小さいだろうが、いつか灰すらも出てこなくなってしまうだろう。


「ちょ、ちょっとヘラ……!」

「今は黙っててくれ!」

「違うの!後ろ見て!!」

「え?」


 後ろを見た。

 無数のタコの足のようなものが廊下をみっちり埋め尽くすように蠢いていた。


 何が何だかわからなかった。

 が、アレは確実に迫ってきていた。


「うわああああああ!?!?!?すすす、スピードアップ!ハリーアップ!!」

「な、なになに!?ヘラ……ってぎゃああああああ!!!」


 俺につられて後ろを見たムジナにも二次被害が起きる。


「何だ、アレ!オリオンはマジで何なんだよ!?」

「知らないわよ、あんなもの!どこで拾ってきたのかも、どこかの隕石から飛来してきたのかもわからないの!でもエイリアンにしてはデカすぎるわ!」


 アレ、エイリアンじゃないのか?

 では何だ?巨大化しすぎたタコでもないようだし、まだ可能性のあるグランドゥプリュイから連れてきた生き物でもなさそうだ。


 オリオンはいろんな星から生き物を連れてきていたようだが、こんなものがいるのなら最初から出てきていても良いはずだ。

 いや、もしかするとワープがあったのはアレと遭遇しないようにするためなのかもしれない。

 本当か嘘かはわからないが、追いつかれると終わりだ。


「っ!!」


 こんな時にポフッとしか炎が出てこなくなってしまった。

 もう俺も限界が来てしまった。

 このままみんな巻き込まれて死ぬのか……?


「まずい……!炎が出なくなっちまった!」

「ならこれ使って!」


 後ろを振り向いた商人ちゃんが器用に片手でキックボードを操りながら袋を投げつける。

 俺は走りながらそれをキャッチした。

 ラグビーかよ。


「何だこれ?」

「前シャドウアースで買った大量の手榴弾だよ!」

「ばっバカ!!なんでンなもん投げつけるんだよ!」


 買い物帰りの主婦みたいにキックボードの持ち手にぶら下げていた袋って手榴弾だったのか。

 てかどっから出したんだ!?


「無いよりはマシでしょ!ヘラの魔力、いつ無くなってもおかしくなかったしね」

「見破ってたのかよ……」


 そう言って俺はアシリアを前に押し出したあと一番前に飛び出し、手榴弾を投げつける。

 正直グレネードランチャーの方が良かったが、ワガママは言っていられない。商人ちゃんの言う通り、無いよりはマシだ。


「うおっ!!」


 ドォン!と大きな音がして爆発する。

 そして熔けた。俺の炎と同じくらいの熱量で。


「いやいやいや!火力やば!本当にシャドウアース産かよ……!」

「どやぁ~」

「あーなんか腹立つ」


 そう言いつつも心の中で感謝の言葉を述べた。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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