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怪奇討伐部Ⅴ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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オリオン編3

第四十八話 決戦、オリオン




「……ここがお父様の部屋……」


 目の前にあるのは銀色の扉。

 後ろから叫び声と戦闘音が聞こえる。

 運良く俺たちは遭遇しなかったのは他の人たちのお陰なのだろう。


 ちなみにさっきの物置からほんの数メートルの場所だ。


「廻貌」

「なんだ?マスター」

「……宇宙は楽しかったか?」

「なんだよ、藪から棒に」

「楽しかったかと聞いている」

「……楽しかったぜ」

「ならよかった」


 廻貌は質問の意図がよくわからない、とクルクル回った。


「宇宙旅行は家に帰るまでが宇宙旅行だよ!」

「商人ちゃんの言う通りだ。ヘラ、ムジナ。勝って、安心するなよ。ちゃんと帰る家があるんだろ?」


 商人ちゃんとサメが話す。

 ムジナは赤い目を見開き、にっこりと笑った。


「開けるわよ……!」


 アシリアが扉に触れる。

 すると手のひらを中心として回路のようなものが浮かんで広がった。それは水色に光り、まるで彫っているような見た目になっていった。


 扉は音もなくフッと開く。

 空気抵抗もなく、摩擦もなく、だ。


 青、黒、銀の三色にまとめられた部屋の中はほぼ何もないと言っていいだろう。

 ただ一つあるのは大きな玉座のような椅子だけ。

 そしてそこに座っているのは……。


「……よく戻ってきたな、アシリア」

「お父様」


 怒気を含んだ声を出したアシリアは得物に手を掛ける。

 俺やムジナも各々の武器を構えた。

 それを見たオリオンはふん、と笑った。


「ご挨拶だな、我が娘よ」

「このためだけに戻ってきたのですから」

「何不自由なく過ごさせてきた恩は忘れていまいな?」

「忘れていません。だからこれは私からの恩返しです。あなたの踏み外した道、それはもう取り戻しようがないもの。だから正すのです」


 アシリアは一歩も引かずに淡々と話す。

 ちら、とサメを見ると「言うようになったな」と満足そうな顔をしていた。


「そうか……それは残念だ。して、メリア」

「は、はいっ」

「こうなることは予測できたのではないのか?」

「……それはこちらの台詞です。お言葉ですが、私もあなたの方針には反対です」


 オリオンは椅子から立ち上がる。

 逆行のせいでただの塊にしか見えていなかったが、立ち上がったおかげで後ろの光が隠れた。


 ……隠れるほど、大きいのだ。


「!?!?!?」

「怯まないで!これがお父様の……いえ、オリオンの本当の姿……!」


 筋骨隆々で彫りの深い顔。なるほど、これなら無理矢理な作戦を考えるのはおかしくは……。


 なぜこれ(オリオン)からあれ(アシリア)が生まれた!?!?!?


「頭が痛くなりそう」

「わぁ!理屈オバケのヘラの頭が沸騰しそう!」

「火力のお前はどうあっても耐えてくれ」

「……わぁかってるよ……」


 とは言えゆっくり近づいてくる姿を見れば見るほど、部屋の柱を武器として振り回してきそうなそのフォルムに熱が出そうだ。


「ええい、これでも喰らいな!」


 テニスボール大の火球を一つ投げつける。

 だが、それはオリオンの前で消え失せてしまった。


「は!?」

「腕の一振でヘラの火を消すのかよ!人間じゃないぜ!!」


 サメも信じられないという顔をしている。

 そしてこうも言った。


「俺の最期の戦いにふさわしいぜ!な、そうだろ!ヘラ!!」

「死ぬなんて言うなよ、馬鹿」


 サメはニッ、と笑い、商人ちゃんがポイと投げた槍を受け取る。そして前傾姿勢で走り出した。


「ほう、魚の生き残りがいたか」

「いいや、死んでいない!俺たちは人の形を受け入れた!」


 槍で凪払う。

 だが、オリオンは見た目にそぐわない動きで避けた。


「かわいそうな奴だ」

「……なに?」


 オリオンはゆっくりとサメに近づく。

「危ない!」と叫ぼうとしたはずなのに声が出ない。これが恐怖というのか……?


「我々なら君を救ってあげられた。こちらに入る気はあるか?」

「馬鹿抜かすな!今さら遅い!俺は……俺はお前たちに歯向かうためにここにいる!!」


 もう一度槍で攻撃しようと距離を取る。が、サメは体ごと吹き飛ばされた。


「があっ!!?」

「サメくん!」


 商人ちゃんがサメに駆け寄った。

 ここは商人ちゃんに任せよう。


「ヘラ!いくよ!サメさんのかたきだー!!」

「まだ死んでないからな!?」


 さっきまで隠れて詠唱していたムジナが手のひらを前に出す。

 するとムジナの基本の魔法である闇の塊がブオンブオンと音を立てて現れた。


「ゼロは殴れないでしょ?」


 追尾機能を持ったその魔法はオリオンに向かっていった。

 オリオンは顔をしかめ、距離を取ろうとしたが追尾機能のせいで捕まるまで時間はかからなかった。


「アシリア!これからどうするの?」

「……私が何とかしなきゃ……」


 アシリアは一歩、また一歩と進む。

 捕まり、膝を地面につけたオリオンに向けて、だ。


「……!アシリア、危ない!」

「ーーっ!!」


 オリオンは素早く立ち上がり、アシリアの体を掴む。

 首元を腕で捕らえられたので、アシリアは苦しそうにしている。ミシミシとも聞こえた。


「っ、が……ぁ……」

「こいつ、実の娘を!!」

「必要な犠牲だ」

「そんな、魔法を力ずくで伏せるなんて……」


 それぞれ驚きを隠せないでいる。


「ムジナ、いけるか?」

「もちろん!ラストはヘラに任せていい?」

「好きにしろ」


 ムジナと俺は左右に散った。

 廻貌にまとわせた炎を衝撃波と共に放つ。

 ムジナはオリオンの腕を凍らせたので、驚いて手を離した。


「げほっ!げほっ!」


 解放されたアシリアがその場でむせる。

 ムジナがアシリアの手を引いて戻ってきた時、別の方向からもむせる声が聞こえた。


「げほっ……がはっ!!」

「大丈夫!?サメくん!」

「サメ!?」


 さっきの衝撃のせいか、サメまで咳をしていた。しかしどう聞いても正常じゃない。


「プラスチックが……詰まって……」

「さっきので胃から喉に逆流したのか……!」


 人型化した魚は元に戻ろうとしている際に元々体内にあったものも戻ってくる。

 まず人間がいたのか定かではないが、昔生きていたであろう生き物のゴミを魚が誤飲するのである。

 人型になると同時にそれは存在できずに消えるが、人から魚に戻る際には文字通り戻ってくるのだ。


 サメのためにも早くしなくては。


「サポートは任せて」


 さすがのメリアも怒りを露わにしている。

 ここは任せて、と商人ちゃんがアイコンタクトをとる。

 俺は頷き、すぐ隣で浮いていた廻貌をむんずと掴んだ。


「マスター、使うんだな?使っちゃうんだなぁ!?」

「あぁ。ブチギレだ」

「おぉ、こわっ!キシシシッ!飲み込まれんなよォ?!」

「そっちこそ!」


 廻貌から力の重力を感じる。

 重すぎて地面が少し沈み、割れた地面の欠片が腰の高さまで浮き上がった。


「すごい……」


 ムジナも驚いて目を丸くしている。


 これが廻貌の力……こいつ、今までは手抜きでやっていたのか。


「ぐ、ぎぎ……」

「大丈夫か?マスター」

「なんの、これしき!!」


 足という一部にだけドラゴンソウルを解放し、ドウン!という音を出して前進……いや飛び出した。

 自分の体を撃ち出した、と言った方が正しいか。

 とにかく、Gがすごかった。


「速いっ!?」


 オリオンがたじろいだときにはもう目の前に来ていた。


「うおおおおおっ!!」

「だが……っ」


 廻貌を振りかぶるが、オリオンは俺から見て右に逸れる。しかし閃光が走った。


「光線銃か!」


 メリアは自信満々で撃っていた。

 俺にはそれを見る余裕すらないが、そう見えた気がした。


 メリアの攻撃を避けるため、左に戻ったオリオンの場所は……攻撃範囲内だ……!


「喰らえ、オリオン!!!」


 重いエネルギーの塊を振り下ろす。

 確かな手応えがあった。


 有か無か。光か闇か判別できない。視界が一瞬で塗りつぶされた。


 とてつもない高音で耳がおかしくなりそうだ。


「____マスター!」


 廻貌の声で意識が戻る。

 ……俺の足元には大の字で倒れているオリオンの姿があった。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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