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怪奇討伐部Ⅴ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
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オリオン編

第四十六話 メリア




 __________


 船がオリオンに到着した。

 侵入方法は簡単。


 商人ちゃんが商品を持ってきたという体で侵入するのだ。見つかった場合は即座に叩きのめす。


 ムジナの死神のサーチで構成員を見つけ出し、ヘラが焼き、ムジナが魂を天に返す。

 ムジナの氷ではいずれ脱出することができるので、ヘラの炎で無情に焼くしかないのだ。


 ……そして俺は……。


「はぁ?留守番!?」

「いつ出発してもいいようにね」

「俺だって戦える!レジスタンスの戦い、見てただろ!アシリア!」

「あの無茶苦茶な戦いは戦いと言えないわ。それにオリオンは炎を使うのよ?イサキだって「炎は危ないので近付けられません」って言ってたじゃない」


 確かに俺が提案した作戦はほぼヘラが書き変えた。

 だが、どう見ても俺が最年長だ。彼らを守るのは俺しかいない。それが思い過ごしだったとしても、俺は俺の最優先だと思ったことをやりたい……!


「……俺にだって意地ってものがあるんだ」


 __________


 サメさんの浅い黄色の目が光る。

 元から黄色かったのか、それとも宇宙空間だから妙に見えるのか?


「……良いんじゃないか?」


 ため息混じりな声が聞こえた。

 その肯定する言葉は意外にもヘラのものだった。


「ヘラまで!」

「サメの覚悟、しっかり受け取りな。仲間は多い方がいい……」

「ヘラ……!」


 サメさんの顔が晴れる。

 ヘラはそんなサメさんの側に寄り、口を開いた。


「絶対……俺が守る……から」


 ……ヘラは気にしていた。

 あの時、助けていられたら。

 もし、一緒に戦っていたらサメさんはグランドゥプリュイに残ってみんなと幸せに暮らすことができたはずなのに、と。


「……ね、ねぇ、ヘラ____」

「ヘラ。俺のことは気にしなくていい。まず魚が外を歩いているんだぞ?俺は感謝してるんだぜ」

「……サメ……」


 背の高いサメさんを見ようとヘラが首をもたげた。それと同時にサメさんは少し膝を曲げ、ヘラの目線に合わせ、ポンと肩に手を置いた。


「だから泣くんじゃない。自分を責めるんじゃない。お前はこの中で一番強いんだろ?ここまで来るのに努力してきたんだろ?……なら胸を張れ。進め。泣くのはそんな姿を俺に見せてからだ。わかったな?」

「……う、うん……」


 ヘラは泣く姿を見せてこなかった。なので弱々しい姿は新鮮だった。


「行こ!ヘラ!」


 そう言ってムジナはぴょんっと船から飛び降りる。彼は「私もやるー!」と追った商人ちゃんをあたふたしながらキャッチした。


「ほら、ムジナだってやる気満々だ。行こうぜ」

「……っ」


 右手で目を擦り、ヘラは黒ではなく赤いコートを羽織って先に行ったサメさんを追おうと力を込めた。


「ヘラ!……せっかく作ったコート……持っていかないの?」

「……やっぱりこっちのがしっくりくるからな。でも……これも持っていこうかな」


 ヘラは私が投げた黒いコートを手にした。


 今回は私も同行する。

 さっき武器庫に向かったときに取ってきたサーベルをベルトに取り付けた。


「アシリア、キャッチするよー」


 ムジナの気の抜けた声が聞こえた。

 私はひょこっと船から顔を出す。ムジナの顔が「大丈夫」と伝えているようだった。


「……えいっ!」

「あだっ!?何これ!!」


 勇気を出して船から飛び降りる。それと同時にムジナから悲鳴が上がった。

 ……どうやらサーベルの鞘がムジナの太ももにクリーンヒットしたらしい。


「だ、大丈夫?!」

「痛い……」

「しょうがない。俺が背負ってってやるよ」

「あ!!」


 ヘラが何か言うより早くサメさんが行動した。ヘラが不満そうな顔をしているが、サメさんには悪気はない。むしろ良かれと思ってやっている。


「サメさん、トゲトゲしてる……」

「サメだからな」

「理由になってないよー」


 サメさんとムジナと水色の髪を揺らして楽しそうに歩く商人ちゃんの後ろで私とヘラは進んでいくことにした。


 本来は私が先頭を歩かなければならないのに……。


「……」

「アシリア、何か考え事か?……まぁ無理もない。ここは家だし、親が相手だ」

「……私、戻った方がいいのかな……」

「え?」

「だって……ここは商人ちゃんでも知ってるし、戦力はムジナとヘラと……サメさんで十分。だから____」


 話している間に後ろから、コツ、コツと足音が聞こえた。

 ヘラの顔も少し強ばっている。前の三人は気づいていないようだ。


「……アシリア」


 ヘラが耳打ちする。


「知ってる。……見る?」

「しかないだろ……せーのっ!」


 各々武器に手を掛け、振り向く。

 するとそこには……。


「アシリア!あぁ、アシリア!戻ってきてくれたのね!」


 ボブカットのピンク髪の上には天を突くような角……が付いたカチューシャ。

 体にピッタリとフィットしたバトルスーツはタビトと同じものだ。

 腰には銃型の武器がぶら下がっている。


 なんというか……なんというか。


「アシリア?ねぇ、アシリア!」


 ニコニコしている彼女は説明するまでもない。

「Sad Echo」で話したメリアだ。


「……メリア……なの?……その武器……」

「これは気にしないで!持っておかないと……その……オリオン……あなたのお父さんに殺されちゃうから……」


 どんどん尻すぼみになっていくメリアの言葉。

 後ろの騒ぎに気づき、前を歩いていた三人は足を止めた。


「あ、お客さん!」


 商人ちゃんが声を上げる。

 メリアはハッとした顔をし、口を塞いだ。


「だっ、ダメ……!今、警戒態勢なの……」

「???」

「大きな声はダメ。オリオンの技術は異常なの。声でも識別するから話すなら普通のサイズでね」

「わかった……」


 メリアはキョロキョロと辺りを見渡した。

 そしてカードキーを手に一つの部屋のロックを解除し、全員にこの部屋に入るように促した。


「……信じていいのね?」

「アシリアの好きなようにしてもいいの。信じたくなかったら……それでいいの……」

「みんなは?」

「……」


 全員が頷く。


「……わかった。メリアを信じる」


 部屋に入り、カードキーで内側からロックする。そしてメリアは軽く深呼吸をした。


「ありがと、みんな。……タビトは……あぁ、ダメだったの……」

「……」


 ムジナとヘラはうつむく。

 あのあとシャドウアースがどうなったかはわからない。が、おそらくタビトは……もう空へ飛び立つことはできないだろう。


「いいの。彼、言ってた?私のこととか……」

「……誘拐されてきたってほんと?」

「ちょっとムジナ!」

「えぇ、本当よ。……アシリア、ずっと言わなくてゴメン。最初は「どうして私がオリオンの娘なんかを育てないといけないの……」なんて思ってたけど……アシリア、あなたは何も知らなかったとはいえ、懐いてくれた……それだけで嬉しかったんだよ?」


 少し潤んだ瞳で笑うメリア。

 そして続けてこう言った。


「本当は私たちも反逆しようと動いてた。でもアシリアが出ていったって聞いて、私たちは焦ったわ。『スケジュールが崩れた!』ってね。遅かれ早かれオリオンに歯向かうつもりだったの」

「じゃあ私が……私が足を引っ張って……」


 メリアは視線を泳がせる。……そうだ、とは言えないのだろう。


 私は唇を結び、少し下を向いた。

 こんなことなら、ずっと部屋で我慢していればよかった。少しでも反逆の可能性を高められたら……。


 私が出ていったことで警備が強化されたことは逃げている間にタビトから聞いた。彼は私が出ていった直後にオリオンに入ったので私がどういう人物かはわかっていないらしかった。実際私も知らなかった。


「そんなことないぜ、アシリア」


 サメさんに肩を叩かれた。


「お前が家出しなけりゃ、ヘラに出会わなかったし、グランドゥプリュイも救われなかった。お前の勇気のおかげだ」

「そうだ。アシリアがイアを送り出さなきゃ宇宙に行かないといけないだなんて考えもつかなかった」


 続けてヘラもフッ、と笑った。

 ムジナはうんうんと首を縦に振っている。きっと何も思い付かなかったのだろうと思ったが、そう思ってくれているだけでも嬉しかった。


「アシリアは悪くないよ。むしろ勇気づけてくれた。反逆することを悩んでいた人も、「アシリア様が出ていった!?なら、やはりオリオンのリーダーは間違っていた!」って騒ぎだして協力者が増えたもの。ありがとう」

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

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