グランドゥプリュイ編9
第二十五話 レッツ・クッキングタイム
「____甘い!甘すぎるぞ、イサキ!!」
作戦当日。
早朝だろうか。時間はわからないが、恐らくそうだろう。
オレはヘラの怒声で目が覚めた。
「そんな無茶なことを言われましても!」
イサキの悲鳴も聞こえる。一体何をしているのだろうか……。
「料理とはココロだ!どんなものを作ろうにも、食べる相手のことを考えて作らなければならない!お前にはそれが欠けている!本当にお前には姫を助ける気があるのか!!!?」
「あります!ありますとも!!」
「なら作れ!塩も砂糖も間違えるようなお前でも、姫を振り向かせる料理を作って見返してやれ!!!返事は!?」
「サー!イエッサー!」
熱血!?まさかの熱血!?朝から熱血を聞かないといけないの!?
「ちょちょちょ、待って!!」
「お、ムジナか。朝ごはんならいっぱいあるぞ」
「そういうことじゃなくて!朝っぱらからうるさいよ!」
「す、すまん……」
こうしてヘラと話している間も、イサキはすごい気迫で料理を作り続けている。
……それよりも、イサキのキャラが崩壊している。
というか、あの塩気を考えると……。
「ごはん、これ?」
「そう、それ」
「……塩?」
「食べてみろ」
ヘラに箸を渡され、お皿に向かい合ってみる。
パスタだ。どこからそんな材料を出してきたのかはわからないが、パスタだ。
____……シーフード(塩盛り盛り)かなぁ……やだなぁ……。
「いただきます。____……んむ!?これは!」
「どうだ、うまいだろう」
「美味しい!イサキの料理とは思えない!!」
「いやひどいな」
よくよく見ると、パスタの上にホワイトソースがかかっている。これか……!
「えーっと……聞くよ?」
「何」
「さっきの軍隊式の熱血教育の内容は?」
「そりゃホワイトソースだろ!!」
「あああーー!やっぱりそうかぁーー!」
ホワイトソースのためにオレの睡眠時間が削られたのか……!
「やっぱりそうかって何だよ!なんか文句でもあるのか!」
「あるわ!みんな起きるだろ!」
「もう……朝から何?うるさいわよ……」
目を擦り、あくびをしながらアシリアが奥の部屋からやって来た。
彼女は不満を爆発させそうな顔をしている……。
「そうだぜ、ヘラ、ムジナ」
「シャコさんまで……」
「上まで聞こえていたぞ。まぁ病み上がりのサメは寝かせたままだが……」
シャコさんは目を瞑り、あくびをしながら頭を掻いた。
昨日はとりあえずヘラの塩を多めにした料理で応急処置をした。
進行度の見た目はイサキより下だが、年齢が年齢なので進行度が未知数なのだそう。
もしかすると、あと少し遅ければ取り返しのつかないレベルに達していたのかもしれない……。
そう考えると、ハコフグである姫はどこまで進行しているのだろうか。
「……姫なら大丈夫だ」
低いながらも優しい声が響く。
声が聞こえた方を見ると、そこには壁に左手をつき、右手でお腹辺りを押さえたジンベエザメ……改めサメさんがいた。
「姫はちゃんとイサキの料理を食べているからな……」
「お、おい、サメ!もうちょっと寝てろって言ったのに……」
シャコさんが駆け寄り、支えようと手を伸ばしたが、サメさんはその手を払った。
「何するんだよ!」
「俺は大丈夫……早く行こう」
「行こうったってまだボロボロじゃないか」
「ボロボロが何だって言うんだ。この海の中じゃリソースも限られている。待ってリソースを無駄遣いする方がよっぽど____」
____パシン!
……と音がした。
びっくりして思わず閉じてしまった目を開けると、そこには赤くなった左頬を押さえたサメさんが仰向けで床に倒れていた。その上にシャコさんが跨がり、サメさんの胸ぐらを掴んでいた。
「シャコさん!?」
「そんな顔、お前らしくねぇ!!」
シャコさんがものすごい気迫で叫んだ。
「それじゃああの日と同じじゃねぇか!」
「……」
「あの日も、お前がそんなうじうじしていたから周りのやる気も無くなったんじゃねえのか!!もう二度目はないぞ!今度こそ、オレたちに残された時間はないんだからな!!」
この星の人がそう言うと、説得力がある。なぜならどうしてそうなのかを知っているからだ。
「……ムジナ」
「ん?」
「ヘラ」
「……ふん」
「アシリア、みんな……」
サメさんは周りを見渡し、目を瞑った。
そして首から下げた鮫の歯の首飾りを握り、目を開けた。
「やるぞ!敵は同盟!絶対に……絶対に姫を助ける!」
「それでこそサメ……いや、リーダーだな!」
シャコさんは立ち上がり、満足そうに笑いかけた。
その手をサメさんは勢いよく握った。
「お前が鼓舞してくれたからだ。感謝する。お前はいつも俺を元気付けてくれたからな……これからも頼まれてくれるか?」
「当たり前だろ?オレとお前の仲なんだから。へこんだときは手を差しのべる……それが親友ってやつだろ?」
「あぁ。頼りにしてる」
これなら戦いが終わって、次の星に行っても大丈夫そうだ。
……それにしても、親友の定義は人によって違う。ヘラはよく親友と言ってくれるけど、本当はどんなことを思ってるのだろうか……。
____オレたちは、彼らのような綺麗な親友関係なのだろうか……?
「イサキ、料理の準備は万全か?」
「____はっ!?はい!!」
さっきより見るからに増えた皿に気付き、二回驚くイサキ。
まさか無意識で作っていたのではないか……?というか作戦って塩を見てないうちに入れることではなかったのか。まずキャラ変わってない?大丈夫?
「よし!やっとだが……出発だ!ヘラ、作戦は?」
「あぁ。考えてる」
「司令塔、ヘラなの?」
「聞いたものがひどいものばっかりだったからな」
「悲しいこと言うなよぉ、な?!」
A4ほどの紙を持ったヘラの肩を持って揺さぶるサメさん。
それを湿った目で見るヘラ……。
「本当のことだ。さっさと行くぞ」
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜




