宇宙人、魔界へ
スマホで書いてるんですけど、なんか不具合が起きてるのでマウスで操作してるんですよ!
iPhoneはわからないですけど、Androidはマウス操作できるので一度やってみてはいかがでしょうか?
第二話 空と大地
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「怖がらないで入っておいで!この先は危険な危険な魔の世界。生きるか死ぬかは自分次第……だから、さ!」
____言い切る前に、背中を押した!
「へ?う、うひゃあっ!?」
当然の叫び声を上げ、穴の中に私は吸い込まれていった……。
____目が覚めると、そこは森の中だった。
「いたた……押すことないじゃない……!」
倒れた私は後ろを振り向いて抗議の声を上げると、そこにはもう彼らの姿はなかった。
……私は、こんな森で一人____。
「……何一人で話してるんだよ」
少し幼い声が聞こえた。声が聞こえる方に視線を向けると、赤い髪の男の子が立っていた。髪の色と同じような赤のコート。暗い緑のぶかぶかのズボン。そしてそれらと正反対な明るいネクタイ……。
黒池の色違いみたいなコーディネートだった。
少し違うのは、コートの途中が折れ、黒くなっていることと、袖の先が折れ、白くなっているところくらいだろう。
「……ジロジロ見られても困るんだけど」
「ごめんなさい。ここに来て初めての人だったから……あなた、ここがどこか知ってる?」
「イリス。俺の家の近くだけど。ほら、あの泉が見えるだろ」
彼は私から見て東を指差した。
確かに水の音がし、辛うじて泉が見える。
「……なぁ、お前、何をしにこんなところに来たんだ?」
「人探しなの。早くしないといけないことなの……ムジナって知ってる?」
「ムジナを探しているのか!?」
『ムジナ』の名前を出すと、血相を変えて詰め寄ってきた。知り合いなのだろうか。私は驚いて少しのけ反った。
「え、えぇ。彼を宇宙に連れていって、私と目的を果たしてもらうの」
「ダメだ!」
「どうしてあなたが決めるのよ!」
「ムジナを危ない目に遭わせるわけにはいかない。どうしてもって言うなら、俺も連れていけ」
「……わかったわよ。さっさとムジナの居場所を教えなさい」
私は名も知れぬ彼の後をついていった。
いつも船の上だったので、こういうところは新鮮だ。
見たところ、彼は私が海賊だということは知らないらしい。……知ったらどうなるのかしら……。
「俺の家の二階にいる。お前も上がっていけ」
「……お邪魔します」
半信半疑で中に入ると、ドアの音を聞きつけたのか、ドタドタという音が聞こえてきた。
「おかえり、ヘラ!……あれ?誰?」
「こいつは____」
ヘラ、と呼ばれた彼が私の方を見る前に、私はずいっと前に出た。そして中にいた男の子の手を掴む。
「あなたがムジナね!早速だけど、ついてきてちょうだい!」
「え、え?!」
「落ち着けって!まずは話だ。紅茶でいいだろ?用意するから待ってろ」
ヘラはドアを閉めたあと、私とムジナを席に座らせて台所に向かった。
二人になったところでムジナが質問してきた。
「……君は誰?オレに何か用事?」
「私はアシリア。とある組織を止めるためにムジナ、あなたの力が必要なの」
「組織……組織ねぇ……」
「そのためには私と一緒に宇宙に飛んでもらいます。条件として彼……ヘラも連れていくことになってしまいましたけど……!」
私は台所の方を見る。
一方ムジナは笑っていた。
「あはは、連れていけなんて、ヘラらしいや」
「宇宙についてはノーコメントなの?」
「そりゃ驚いてるよ。でも、オレたち、今度地下に行こうとしててね。行けるところなら宇宙でも地下でも変わりないんじゃないかなって思ったんだ」
「……さすがね、私が見込んだだけあるわ」
「もう話してたのか。ほら、お好みで蜂蜜も用意しておいたから。好きに飲んでくれ。砂糖でもいいし、ストレートでもいい。欲しいものがあったら言ってくれ。用意できるものなら用意してやる」
ヘラがお盆を持って戻ってきた。
「結構気が利くじゃない。家にいてほしいくらいだわ」
「それはどうも」
ヘラは少し笑った。
カップを置き、お茶菓子を置く。その動作は慣れているようだった。
「ヘラは家事が得意だもんねー」
「お姉ちゃんが何もやらないだけだ」
二人が話している間、私は部屋を見渡した。……と、ある物に気づいた。
「あら、あのビン……」
「ん?これのことか?」
ヘラが私の様子に気づき、ビンを取りに行った。……やっぱり、思った通りだった。
「それ!私はこれに呼ばれたの。これを最初に持った者……ムジナが旅に連れていく相手だって」
「は?これは地下に行くための……」
「その中の物でしょう?それは地下に必要よ。……なるほど、ムジナが受け取ってヘラの家に置いたのね」
これで合点がいった。しかし、ムジナが呼んだことに変わりはない。
「それで?行くのか?」
「えぇ。せっかく用意してくれたのだもの、飲んでから行こうと思うわ」
「準備するものは?」
「手ぶらでいいわよ。必要なものは全部船にあるから」
「……その船はどこに?」
「人間界の……日本の上空にあるけど」
「馬鹿!早く撤去してきなさい!」
ヘラは勢いよく立ち上がり、ドアを指した。……なぜ?
「なんで?空は私たちのものよ。人間のものじゃないわ」
「鳥みたいなこと言うな!あーもう、皇希の仕事を増やしてくれやがって……」
ヘラは頭を抱え、紅茶を一気飲みした。
「皇希って黒池のこと?」
「当たり前だ!あいつはあれでも人間を守る警察!もしその船から危険なものが落ちてきたとなれば、それは皇希たちの責任になるんだ!」
「そ、それは悪かったわね……でもあっちに戻る方法がわからないの」
私はただマリフって女の人に押されてここに来ただけ。本来は黒池を通し、死神王に話を合わせて穴を開けてもらい、そしてムジナを連れてきてからまた死神王に穴を開けてもらって帰るという計画だった。
しかし、死神王は今人間と仲が悪いようなのでそれができないようだ。
「……そうか。ムジナ、あの本使うぞ」
「あれを?まぁ前よりはマシになってるからいいけど」
「あれって?」
「ついてこい」
ヘラに連れられ、やって来たのは本だらけの部屋。この家、本だらけというツッコミはやめることにした。無だ。無になるのよ、私。
「珍しいな。みんな本だらけだ!って言うのに、言わなかった人は初めてだ」
「そうだったの?言っちゃ悪いなって思ったんだけど……」
「遠慮は無用だ。……これだな」
ヘラが一冊の本を取り出す。そして無造作にパラパラと捲った。
すると、本が白く光りだした。
「ムジナ、行くぞ」
「うん!忘れ物無い?」
「大事な薬を置いてったムジナに言われたくないよ。いざとなったら異界を開いて取り出すんだから」
「それもそうだねー」
さらに輝きを増す本。
直後、目を開けていられないほど光り輝いた!
「手を離すなよ、二人とも!」
ヘラが叫ぶ。
光が収まった頃、そこには本だけが取り残されていた____。
どうも、グラニュー糖*です!
現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!
こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。
本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!
なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!
ではでは〜