表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪奇討伐部Ⅴ-Star Handolle-  作者: グラニュー糖*
18/53

グランドゥプリュイ編2

イサキイサキ言ってたら親が晩ごはんにイサキを出してきました

第十八話 凶悪なサメ




「暗いのでお気をつけください」

「あの蝋燭は持っていかないの?」

「ひ、火など危なくて姫には近づけられません!」

「そ、そうだよね!当たり前のこと聞いてごめんね」


 イサキの勢いに思わず気圧される。

 そんなに火って怖いものなのかな……ヘラがいつも扱ってるからそんなに怖いものとは思わなかったけど、慣れてない人にはやっぱり怖いものなのか。


「それにしても暗いわね……」

「怖い?」

「そんなことないわよ!宇宙ってどれだけ暗いかわかって言ってるの?そういうムジナはどうなのよ!」

「……霊界よりはマシ……かな」


 以前、ハレティによって霊界に閉じ込められていたことがあった。

 ハレティと戦ったときヘラと二人でいたのだが、結果は惨敗。

 強すぎるハレティを前に手も足も出なかった。

 そして魔界と霊界の境界を曖昧にした罰としてハレティに霊界に縛られてしまった。

 その場所は洞窟の奥であり、暗く、寒く、そして寂しかった。

 奇跡的に一緒に縛られていたヘラの妖精、ルージが抜け出し、封印の強度を下げてくれたので魂だけが外に出ることができた……ということがあったのだ。


「霊界……死んだ者が行き着く場所ね。そして死神王に魂を分けられ、輪廻転生させられる……のよね?本で学んだわ。最近になって死神王という制度ができたから覚えるものが増えたのだけど……」

「よく知ってるね!さすがお姫様だ!」


 お兄ちゃんたちのことが星を越えて知られているのはとても嬉しい。


「ムジナって霊界に行ったことあるのね」

「うん。今は閉鎖されてるけどね」

「二人とも、静かに。この牢屋には危険な罪人が収監されてるの。だからあまり刺激しないように」


 姫がこちらを向いて少し鋭い目をした。


「先ほどのヘラという男は____」

「ムジナ!?アシリア!?」


 聞き覚えのある声が響く。

 駆け出したい気持ちを抑え、慎重に歩いていくと、鉄格子越しにヘラの姿が確認できた。

 部屋は質素かと思いきや、意外と綺麗だった。ベッドもあるし、手洗い場もある。


「ヘラ!」

「あなたがそんな失態を犯すなんてね」

「お、おい、ちょっと二人とも、少し声を小さくしてくれ」

「何?みんなして……って、さっきヘラも叫ん____」


 ガタン!と鉄格子が音を立てる。

 もちろん目の前のヘラは鉄格子を持っていない。というか首を横に振っている。

 ……となると……!?


「グルルルル……」

「ひっ!?」

「グアアアアッ!!」


 後ろで唸り声が聞こえた。

 しかも複数だ。

 助けを求めようと辺りを見渡す。

 しかし姫は申し訳なさそうにしている。手に負えないから何もできないと言いたいのか。


「な、なに?これ!囚人ってこんなに怖いのばっかだっけ?!」

「あー、俺とカリビアさんだけが異常なほど大人しいだけなんだよ。きっと」


 カリビアさんは未だに城で捕まっている。

 なんでも、お兄ちゃんが捕まえたらしい。全く信じられないことなのだが、嘘ではないとヘラから聞いた。


「そうなんだ……って、唸ってるのこの辺ばっかりだね。あっちは唸ってないね」

「ほんとね。どういうことなの?薬か何か使って眠らせたりしてるのかしら?」

「どうなの?……あれ、姫とイサキは?」


 心の奥底で根に持っていたのか、するりとイサキの名前が呼び捨てで出てきてしまった。


「そういえばいつの間にかどっか行ってるわね……こんな危険な場所、長くは居させられません!とか言って場所変えたんじゃない?」

「あー、ありえる!」

「……チッ、おい、お前ら……」


 遠くでものすごく不機嫌そうな声が聞こえた。オレはイサキから受け取った鍵でヘラの鉄格子を解錠し、その声の方へと向かった。

 不機嫌ということはお叱りということ。行かないとこの先何が起きるかわからない。


「えっと……どなたですか?」


 ヘラがオレたち二人の壁となって話しかける。

 周りと比べて一番暗いであろう牢屋だったので全く顔は見えなかったが、光が入っているところまで出てきてくれたので顔を見ることができた。


「……誰だろうと関係ねぇだろ。今昼寝してたところなんだ。頼むから早くどこかに行ってくれ……」


 あくびしながらその声の主はボッサボサの腰ぐらいまであるんじゃないかと思われるグレーの髪を掻いた。

 革ジャン革ジーンズという不良っぽい服装のせいで余計に怖く見える。髪で片目を隠したその男は、ガシッ!と鉄格子を握った。


「____でねぇと、食っちまうぞ」

「ひぃいっ!?」


 ビビりまくるオレの隣でアシリアが右手を口に当てる。


「……てか眠そうじゃないわよね。絶対ずっと起きてたわよね?」

「なんだよ、文句でもあるのか?あ?」

「……Tシャツ作り直したい……」

「あん?この柄、クールじゃねぇかよ!ケチつけんじゃねぇよ、まったく!」


 アシリアとヘラのダブルパンチでキレまくる男。

 ヘラが呟いたTシャツというのは、白地に髑髏が真ん中にドーンとプリントされているものだ。


 ……オレもTシャツかっこいいと思うんだけどなぁ……髑髏柄いいじゃん、ダメなの?

 それを口に出すと、男は満足したかのように笑った。


「おぉ、お前、わかってんじゃん!」

「まぁムジナはファッションセンスがヤバいからな……」


 ヘラが呆れる。

 それを聞いた男はオレの方を見て、鉄格子から手を離した。


「……ムジナって言ったか?お前も大変だな」

「案外そうでもないよ?ねぇ、お兄さん。ここは一体どこなの?」

「そんなことも知らずに来たのか?」


 男は鎖がついた鉄球に繋がれた足であぐらをかく。

 ほんと、どんな脚力なんだ……。


「ここはグランドゥプリュイの城……場所は____」


 そこまで言って、ふん、と笑った。


「巨大クジラの腹ん中だ」


 ……当然、皆は固まった。


「巨大……クジラ!?」

「小魚がいっぱいいたのはそういうことだったのか……」

「じゃあどうやって出るのよ……」


 皆が驚いている前で男は再びあくびをし、横になってから手をヒラヒラと振った。


「これ以上の話を聞きたけりゃ、また明日も来い。あいつが痺れを切らして戻ってくると思うしな。あ、さっき捕まってた赤いのは居残りだ」

「どうして俺だけ……」


 ヘラがうんざりしてる。


「お兄さん、ありがと!でも、明日も来いだなんて、てっきり牢屋から出してほしいって言うのかと思ったよ」

「俺だってここから出たいさ。でも出てどうする?言った通り、ここはクジラの腹ん中。どこにも行けないだろ」

「それも……そうだけど……お兄さん、悪い人に見えないし……」


 オレが尻込みしていると、男はため息をついた。


「……ムジナ、よく覚えとけ。人は見た目によらないとか聞くけどな、悪い人ほど初対面の人に優しくするんだぜ。……ほら、そうとわかったら散った散った!俺は今から寝るんだよ」

「待って、一つだけ聞かせて!お兄さんの名前は?」

「なんだ。そんなことか。俺はサメ。もちろん、あの凶悪なサメだ。どうだ、怖いだろ」


 その言葉に、再び皆は固まった。


「あ、あはは……ご冗談を……どうせコードネームとかそんなところでしょ?だってサメなんて……ねぇ?ヘラ」

「いや、周りが魚だらけだったからありえるかもしれないぞ。突然変異とかで」

「えぇ!?突然変異で人型になられたら、人類の半分くらいが元・魚になっちゃう!」

「お、よくわかったな。突然変異だぞ」

「合ってる!?」


 まず魚なら水が必要なんじゃ……。


「この星は魚にとっての楽園と言えるべき場所なんだ。お前ら、地球から来たんだろ?」

「……よくわかりましたね」


 サメさんの言葉にヘラは腕を組んで警戒し始めた。


「野生の勘ってやつだよ。俺たち魚にとっての酸素は水。当たり前の話だけど結構混乱するやつらもいるんだぜ。そうやって溺れ死んだ同盟のやつらも多い」

「同盟……ここにも同盟が来たっていうの?」

「あぁ。でも逆らうのはやめとけ」


 見た目に反して弱音を吐くサメさん。

 こんなサメさんでも同盟には逆らえないのか。


「どうして?オレたちならちょっとは戦えるよ!」

「だからやめとけって言ってるじゃねぇか!……チッ、興ざめだ。俺は寝るぞ」

「え、サメさん!?」


 結局何度呼びかけても起きることはなかった。

 代わりに周りの囚人たちが騒ぎ始める。


「ぐおおおお!」

「があああっ!ぐるるるる……」

「ちょ、ちょっとヤバくない?早く出ようよ!」

「そうだな……隣で腕を掴んでるアシリアを引っ張って行くぞ」


 いつの間に掴んでいたのやら……。

 とにかく、こんな薄気味悪いところから早く出ないといけない。

 オレたちは後ろを振り向かずに牢屋の外……お城の廊下に戻った。

 そこにはイサキの姿しかなかった。


「お姫様は?」

「先に戻るとおっしゃっていましたよ。安心してください、あなたたちが誰と話していたなんて詮索は致しませんので。珍しかったのですよね、きっとそうなのですよね!」


 マヌケそうな召使い、イサキは少し黄色っぽいショートの黒髪を揺らし、ニコッと笑った。


「……よくもお前、すげー生臭い牢屋に入れやがったな……」

「魚を取ろうとするからですよ。当然の結果です」


 ヘラとイサキが睨み合う。

 それを制したのはアシリアだった。


「はいはい、くだらない喧嘩はそこまでにして、早くお姫様に交渉しに行きましょ」

「交渉ですか?何を?」

「羅針盤よ。旅に必要なの」

「……わかりました。ですが、今日はとりあえず部屋でお休みになってください。長旅でお疲れでしょうし」

「ありがと!イサキ!」

「よ、呼び捨てですか……さっきの根に持ってるなぁ……」

「心の声漏れてるぞ」


 皆が弾けたように笑い、オレたちはそれぞれの部屋へと向かっていった。

 ……ヘラは踵を返して牢屋前に戻ったけど。

どうも、グラニュー糖*です!

現在、「怪奇討伐部完結直前・pixivと同じところまで進める祭り」を開催しております!

こっちでは表紙を載せられないことが本当に残念ですが、楽しんでいただけると幸いです。

本当はイラストを見て読むほうが良いんですけどね!


なお、pixivからそのままドンしてるのでルビやら何やかんやがpixivのコマンドのままになっている場合があります。それを見つけた際はお手数ですがお知らせしていただくととても嬉しいです。もちろんコメントなどもお待ちしております!


ではでは〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ