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10 話
「まさかこういう形で学校に戻ってくるとは、思ってませんでしたよ」
Vは生徒が座る椅子に座っているドーリーに言った。
基本的な相談と講義の場所を聞いて解散した2日後、指定された時間通りにVとドーリーは学校に現れ、今度は事前に言われたとおり職員室に顔を出し、そのまま講習を行う場所に行った。
外から聞こえる若い女の声。これが姦しいというやつだろう。
「休憩時間か」
「でしょうね」
外を歩く生徒の声を聞きながら何かを思い出そうとするドーリー
「なにか考えことですか」
「いや、どうでも良いことだよ。外のお嬢さんたちと同じ年齢の頃の自分は学問なんか興味なくて、食い扶持と遊ぶための金を稼ぐこと、あとは女の尻を追いかけることばっかり熱中してた思い出しかねぇなと思ってね」
「懐かしいですか?」
「この位の年になると昔のことはなんでも懐かしいって感じるもんだ。まぁ今だって大差ないがね。女の尻追いかける代わりに安定を追いかけてるだけだ」
「夢がないですね」
「組織の中で目の前の請求書と書類の束と格闘しつづけてみろ。人間みんなこうなるさ。それに夢を見て歩くには歳をとりすぎた」
そんな話をしていると、真面目な生徒たちが早くも入ってきた。
なので簡単に会釈をして挨拶をする二人。
世渡り上手な二人、相手が学生でもそれは変わらない。




