59話
ダンジョンはまぁ遠かった。日がでる、とまではいかないが日付はもう変わってるだろうという時間につくことになる。
砦としては中規模、「作りから見て相当昔の砦だろう」とはドーリーの目利き。
ほとんどの建物は倒壊しているか、基礎だけが残っているか、倒壊しかけているかの三つ。
だが、おそらく中心的な建物だったのだろうと思われるレンガとモルタルで作られた一番大きな建物は一応形を残している。
「さすがに疲れたよ」
「ごめんなさい、急ぎすぎた」
ドーリーの言葉にドラゴンは答える。
二人分の荷物を背負い、道が悪いときは二人の手助けをしながら飛んできたにしてはすごく元気。
彼のおかげで日が出る前につけたといって過言ではない。
「で、おかぁさんはどこに?」
「あのホール、中」
「礼儀正しくいくしかないが、ドラゴンの礼儀って知ってる?」
「私に聞かないでくださいよ。まぁ物分かりがいいことを期待しましょう」
そう言って今にも倒壊しそうなホールの中に向かっていった。
「※※※※」
「※※※※!」
先に建物の中に入っていたドラゴンの子供と母親の会話。
何を言ってるかわからないが、何を言いたいかは何となくわかる。
「帰れってことだろうな」
「まぁそうでしょうね」
二人は建物の外でそんなことを言いながら待っていた。
「※※※※※※※」
「※※※※!※※※※!」
「※※※※!※※※!!※※※」
「※※※!」
そんな怒鳴り合いに近い会話が少しの間続き、会話のトーンが下がっていく。
そして
「※※※※」
「※※※、入って」
ドラゴンの許可がでた。なので二人は建物の中に入る。
二人が入った建物は、おそらく昔は天井があって二階もあっていくつか部屋があったのだろうと思える広さ。
しかし今は天井も二階の床も落ちて星の光が見え、部屋割は足元に転がっているのかくっついているのか分からないレンガでわかるだけという状態。外壁が崩れれば廃墟ということもできないだろう。
Vが思い出したのは首都で上等なオペラなどをやっているホール。その中央に立つ主演は、大きなドラゴン、怪物の神。
厳つい目にオークの何倍もある体。翼。鋭い爪。冒険者をやってるVでも神話と本の中でしかドラゴンを見たことがない。だからこれ以上どう表現したらよいのかわからない。
それはドーリーも同じ様な物。戦争中、遠目に見たことはあるという程度。
触るべきではない親愛なる隣人。
しかし、ここまで来たら触るしかない。その点の覚悟は二人とも出来ている。




