33話
4日目
4日目ともなるとVもドーリーも講義に慣れているし、生徒も二人に慣れたので魔法について特別なにかコメントをするような話はない。
なので講習と言っても雑談が半分。
生徒からは回復魔法に限らず冒険者全般についての質問、たとえば
「冒険者に女性はいるのか」
「冒険者ってモテます?」
「お金ってどれくらい稼げるんですか」
と言った質問がでたし、Vとドーリーにしても
「女の冒険者もいるね。魔法使いとか補助職が主だけど、剣士や弓使いもたまに見る」
「生活が安定しねぇからなぁ。君らも先月は人の何倍も稼いで今月は0だ、来月は死んでるかも知れない、みたいな男を旦那にはしたくないだろ」
「これはほんとに人によるね。そもそも冒険者って言ってもいろいろで、副業で冒険者をやってる農民や商人とかもいるし、専業にしても1回の探索や依頼で半年や1年分の生活費叩き出す人から失敗ばかりまったく稼げない人、日々生活とっちょっと貯金して生活をする分にはまぁなんとか困らないみたいな人までいるから。僕達?稼げてたら学校の先生なんて仕事は受けないよ」
と気軽に答えている。
後ろで見ている教頭にしても話の内容が講習のテーマとは全く関係ないのはわかっているが(将来冒険者などになってほしくはないという大前提があるとは言え)彼女たちが関わることがないだろう冒険者について知見を広めるのは悪いことではないだろうという事で黙認。
むしろ二人の話の上手さに感心していた。
年頃の女子生徒たち相手に講義、新人教師の中には扱いにくい、生徒がわからない、講義がうまくいかないと泣き出し教頭に助けを求める先生すらいる。
それに対してこの二人は、物を教える、というよりも見知らぬ人との会話になれている感じ。
必要なこと、伝えるべきことを短く、的確にまとめて話すV。言ってることは教科書通りなのだが、教科書通りに進まず経験談などを混ぜつつ面白い話をする。
それに対してドーリーは魔法についてはまったくわかっていないが、場をうまく支配するコツを心得ている。Vの話が難解で生徒が理解しにくい部分に及ぶと横から口をだして話を切り替える。生徒の集中が途切れると生徒の方に話を振る。
黒板にわかりやすいように絵を書いたり、Vの話が切り替わるあたりで黒板を消したりする。
雑談もするが、新人が陥りがちな「講義に話を戻せない」という問題もない。
見た目も年齢も全く違う二人だが、メインのVと補助のドーリーという形でうまくバランスをとりながら、終了の鐘がなる少し前に講義を終わらせた。
「冒険者にしては話がわかる人達とは思っていましたが、あれほどまでとはね。先生として雇っても良いくらいですよ」
その日の放課後に行われた職員による会議で、冒険者についての感想を問われた教頭がお世辞とはいえこう答えた程度にはよい講義だった。




