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波の使い手

 6話 波の使い手


 流園さんは部室に誘ってくれて、それは正解だったんだけど……

 パケフル部。一体、どんなことがされて……


 !?


「我々はこの屋上部屋の一員。といっても二人しかいない。この部屋にはパケフルしかないが、実力は伊達じゃない自信がある。どうだい? ここで一戦、交えてみないかい」

「……」

「そいつは……」

 流園さんは”負ける気はない”といった感じだった。

「あんたが俺に勝つには、いくつかの条件を通り越す必要があるんだが……」

「何言ってるんだい。僕はこのゲームに人生を捧げてきたんだ。そんなことより、パケフルはゲーム。楽しんでいこうじゃないか」

 私は正直、負けることへの不信感……、不安を覚えていた。でも

(私も、たまには切磋琢磨して、強くならなきゃ……!)

 相手が誰だろうと、ゲームは楽しんだもの勝ちなのだから


 戦生


 私達は、二人で流園さん一人に対処しようとしていた。


 選ばれたフィールド。「黄縫の暁空」


 1ターン目


「ラミレスト。【渦亮連臥】 ――れんぞくするうずのゆう―― 」


 ―――。このゲームは三人で一人に対抗しようとすると、力はその分まで割り切られ半分になったりした。つまり。

 あの時の三人の小中学生が佳鳥に致命打を負わせられなかったのは、フィールドの選出による運がよかったのもあるが、”フィールドから攻撃手段を見つけないといけない”というゲームの性質、設定により、その狡猾さに気付かなかった者は戦略で勝つことができなければそれまでの伏線もあったのだ。つまり……

 三人で挑んだことが、前の敗因だったのだ。ただ、それだけ

 ところが、

「……波の使い手か。あんま相手したことが……ねえ」

 ん……? 葉束くん、怯えてる……?

 実のところ、戦闘で負ける伏線が多く張られていた。相手が波の使い手な時点で、葉束は戦慄していた。波とは、1ターンを凌ぐのに大変有利というか、一ターンを確実に防げるレベルで強いことだったのだ。波は、2ターン目に行動が出来ない代わりに、3ターン目も存在するのだ。

 葉束のナクロは、一ターンで決着を付ける型だった。一ターンで決着を付けないと、色判定のターンである2ターン目になった時、負けやすい茶色黒緑たちで戦うしかなかったからだ。ところがその一ターンを波で防がれては、あとは佳鳥に頼るしかない……。つまり、大会では柊と組んでいたから勝てたということに該当し、フェニキッスでも波の使い手は今までに居なかったことになる。一人を除いて。

 その一人は、女性だった。沢山お金を使ってフェニキッスまできたのに、負けたことによって葉束はちょっとだけ泣かせてしまったのだ。


 ナクロは打ち破れた。


「……」

「おや、一発KOかい」


【水色之涙】(みずいろのなみだ) ――ミナヅキドロップ――


 2ターン目に相手を水色と緑と黄色にする涙が撒かれた。


 ラミレストは「錯乱」になった


「……え」


 錯乱状態により、ラミレストは三ターン目以上を封じられた。


 色判定。ラミレスト、半逆光反転水色

        パニッス 水色以外全色


 勝ち(佳鳥たちの)


 流園は、柄にもなく汗を流していた。

「今の箱物パケシグ……パニッス……と今の技、どうやってできたの……」

「知らん。なんか、俺たちの力でできた箱物パケシグだからな……」

「……え?」

 さらに汗を流す流園。

「キョウリョクシテ箱物パケシグを作る……? どうすんのそれ」

「……」

「初耳すぎるけど、どうやら佳鳥さんにも箱物パケシグを作る権利があるみたいだね。ちょっとずるい感じするけど」

「……」

「……」

「私にも参加させて!」

「いや、叶岸はすこしそこにいてくれ」

「……。そう。ま、いいけど今回は」


 葉束(どうなってやがる……こいつらは、手段をまだもってるどころか、まだ勝ちの伏線があるじゃねえか)


 葉束があのときクェイサー恋で頭痛がしたのには、葉束が人と交流する心が0に等しいからだった。ゲームを楽しむ心しか無いのに、一ターン決め型であるナクロを手にしたのが理由の一つにあがるのだが……


 佳鳥がパニッスを作れたのは、そういった、葉束が一ターン決め型であるナクロを作ったあとだったからだった。……佳鳥がパニッスをここまでうまく作れたのは、正直なことを言うと葉束が女子力を持ってはいけなかったという神様からのプレゼントだったのだ(?)


 私達は、次の流園さんの秘策に度肝を冷やされることになる。


 続く



 6話 二節 ラミレストとヴァユリュ


「まず話しておくことがある」

 流園さんは、自分の持っている箱物パケシグが4はこいることを話した。

「つまり、君たちの今の戦闘は様子見をしてしまった、ということだったんだ。なんだか、普通じゃない気配があってね」

(!? 箱物パケシグを持ってるなんて!?)

 葉束くんも説明する。

「……俺達のことも話すか……。以前、波に関しては半分泣かしちまったやつがいる。普通、波に俺が勝てる確率は良くて28%ぐらいだ。俺の箱物パケシグは見た通りフィールドの色になりにくい。相手がやり込んだ波だった時点で、俺は役割を半分諦めていた」

「あのナクロ? の持ってる初手の形異状態はかなり厄介そうだったから、足を奪ったつもりだったんだけどね。なんだか君たち、伊達じゃないね」

「……」

「……」

「なんで黙る。まあ、時間さえあればもう一勝負頼みたいところだ。とい―――」

「ええい!! 私にもさせなさい!!」

 叶岸さんが、立ち上がっていた。

「……仕方ないね。では、ちょっと心細いけど、叶岸にも参加してもらおう。……正直言うと勝てる自信ないけど」

「なんか私がやらかすみたいな言い方するな!(笑) 見てろよ」


 戦生。


 選ばれたフィールド【反旗の戦場 :絶対赤茶色:】

 1ターン目

 波は気であるナクロのあとになるため、流園さんはナクロが放った【朧楼須興】 ――さくらりゅうのきょう―― によりラミレストは13パッケージスケイル受け”奈落花状態”になった。この形異状態というのは、最大で42つで、奈落花状態というのは4ターン目が絶対に流れ、防がれるというものだった。が、波であるラミレストには4ターン目はなかったため、無意味だった。ラミレストの強力な得技【三弄導源】 ――もてあそぶみちびき―― によりパニッスとナクロは”鬱状態”になった。ナクロは28パッケージスケイル受け、真空鍵付になるところだった。パニッスは『ダメージスケイル』という、趙能といういわば特殊能力をもっているため、1ターン目は絶対に20以上のパッケージスケイルなら一つも受けずに済んだのだ。鬱状態により、2ターン目に色にある影響が出る時だった。

(次で私が放つ技によって、状況が変わる!)

 叶岸や佳鳥は、そう思っていた。……叶岸の持っているヴァユリュという箱物パケシグは、迫という3ターン目が強く色にも富んでいる箱物パケシグだったのだ。つまり。

 3ターン目がそれなりに強い波であるラミレストも居ることから、その”3ターンに到達させること”は、葉束や佳鳥は絶対にさせてはいけないということに、半分は該当するのだが……。

 迫は1ターン目は動けないため、次のターンに持ち越される。(もしもの話だが、1対1で気と迫が対峙したら一方的に気が勝つことがほとんど)


 2ターン目

 パニッス【泥色虹透】 ――ふぃっとするにじのどろ――

 佳鳥(あれ……? なんだか、地味な技だ)

 それもそのはずだった。鬱状態というのは、色が関与する2ターン目の得技の質を、下げるのだから。この【泥色虹透】により、ラミレストとヴァユリュは黒っぽい土色になり、”クリアウォール継体”になった。クリアウォール継体により、黒っぽい土色以外の色には二人はなることができなかったが、そもそもが波も迫も両方とも2ターン目は動かない上、元々の色には富んでいた(ラミレストは青白黄赤緑黒、ヴァユリュは黄金白黄色橙)。この2体の色は、カオスながら全体の50パーセント土色になった。つまり、クリアウォール継体はどういう形異状態かというと、”%で色を支配する”という形異状態だったのだ。パニッスは相手の数と佳鳥が放つ技と相手が放つ技によっては、クリアウォール継体が決まる事にも該当するのだが……。

 叶岸(あれ!? 私の色の得技が出せない!?)

「これは勝ったかな。なんせ、フィールドは絶対赤か茶色が強制されている。パニッスに全色あろうが、赤しかない。フィールドの色になった時点で、その分はとれるからね」

「持ち越されるのか。何があるんだろうな」

 3ターンになることは、何も知らない佳鳥を除く3人にとっては、とても楽しみなことだった。

 3ターン目。

〔物言葉〕『ナクロ・戦いより関心』『パニッス・色につく物心』『ラミレスト・興をもつ純粋』『ヴァユリュ・勢いあまる関心』

 引き分け。

「引き分け……。叶岸、なにを考えていたんだ」

「とにかく色の事を考えていた」

「……それが敗因だ」

「……色に関しては、……何とも言えねえかもな」

(……? なにが、起きたんだろう)

 αCSは、プレイヤーの心をいくつか反映する乱数が取り込まれていた。新時代のゲームだったのだ。それこそが、ポケモンをやめパッケージフィールドに移行する者が2割を占めるという時代を切り開いた乱数技術なのだが……。

 正直な話、1、2ターン以外は何が起きるかわからない、乱数と乱数のぶつかり合いのゲームだったのだ。4ターン目の意味をもつ箱物パケシグがいることも、かなり珍しい事だったのだ。

「ありがとう、楽しかったよ。”戦いより関心”か。よくナクロを使いながら、その心に至ることが、出来てたね。正直な話、今のは判定では引き分けだけど、その心意気であの強さだったことは、ちょっとだけ敬意があるかな」

「俺もこんなに洒落た波使いがいるとは思わなかったぜ。またいつか来ようと思う。ありがとよ、流園」

「ちょっと! いくら時間来てるからって私の出番ないじゃない!! ずるい!?」

「まあまあ、僕たちもやることはたくさんあるし、今日はこれぐらいで良いじゃないか。さ、今日は紅茶でも作って今回の反省でもしよう。ゲームは区切りだよ」

(これで、よかった……? のかな)

 一勝一引き分け。けど、このゲームって……

 なんだか、心が一番試されるんだな、と知った。末恐ろしいゲームだと思った。それでいて……

 もっと楽しみたい。1、2ターンで決まらないパケフルって、こんなに楽しいんだ……!

 私達はその場を後にした。流園さんと叶岸さんは、微笑んでいた。

 これが、パケフル。嬉しい……!


 私達は、屋敷へと帰りに行った。


 6話 試される心ツキ 終わり

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