プロローグ
私は、ゲームをしたことがない。周りは、あまりゲームには関心を持っていないようだ。
これが時代の流れ……なのかな。
私は、学校が退屈で仕方がなかった。
ゲームをすれば退屈しのぎになるのかな。でも、お金がない。ちょっと、気が引けてしまう。
どうして、私は生まれてきたのだろう。こうやって、流される毎日を送るため……?
違う気がする。そう、心の底から思っている私がいる。
でも、暇という空白がありすぎて頭がおかしくなりそうだ。
私は退屈を少しでも紛らわすため、紅に染まる空の夕方、屋上へと向かった。
白鶴の機
誰も屋上には居ない。嬉しくなった私は、そのまま居続けることにした。鍵は奥
の屋上部屋にしか掛からない形の学校だし、大丈夫だ。すぐさま、余韻に浸る。
しばらく経ってそこら辺をうろついていると、私は倉庫の中に何らかの違和感を
覚えた。
扉がわずかに開いているそこは、いくつも机が入っていて、一番奥まで行くと囲
みのように机がそびえている。それとなく、その中に入る。
薄い暗さが特有の雰囲気を放っている。ほら穴に物を入れる感じだ。
……? 左下に何かがある。
暗さと感じ的に、大方それは白いスマホと思った。全く、別のものだった。
(! ゲーム機だ。誰のだろう)
今時のゲーム機は50万円するものがある。法律により、ゲームの希少性を強くす
るよう強いられたからだ。安くて、10万円のαcsだ。任天堂とSONYで分かれていて、任天堂側が本格化してしまった。評論家いわくSONYのゲームも十二分に魅力的らしいけど、私にはお金がないため知る由が無い。……興味は、あるんだけど。
どんな物なのかな。
(少し、借りちゃおうかな……?)
いけない衝動とは、分かっていた。逆にその感情が、駆り立てられた。
ゲーム機を手に取った私は、胸に違和感を覚えながらもその場を後にした。
教室に着いた。私の、ゲーム初挑戦。
ドキドキが止まらなかった。小さい頃に雪だるまを作っていた感じと、似ている。
(ここが電源? あ、押したら付いた!)
タイトルは『パッケージフィールド』。どんなゲームなのかな。
αとCS。プラスのマーク。色々、ボタンがある。αを押してみようかな。
(わあ、すごい。ボタンに反応してる)
大きい文字が出てきた。えっと、「プレゼントステーション」? 「カラミティエディット」?
分からないけど、面白そう。「プレゼントステーション」を押してみよう。
何だか、わくわくしてきた。雰囲気から察するに、これはいかに“美術を競うか”というものなのかな。
だとしたら、過酷そう。ボタンを押す度、進むごとに分かる。箱のデザインを決めたり、箱物の種族? 素材となる鉛や水、ガラス、それに日差しや無まで素材になるなんて……。何かを、選ばなければならない。
(……もしかして、キャラクターを作ること自体が苦難とされているのかな?)
だとするなら、あえてヒントは見たくない……!
私だけの凄い箱物を作ってみせる……!
気持ちが上昇し、交じり合う世界、感性。記憶と意識が、重なってゆく―――
長時間考え、私は「クラフトワールド」へ行き「原草隠れの水晶」を職人に渡してバラバラにし、箱の基盤に。「1000兆年龍の牙」を5つほど円状なまばらに箱の上の飾りとし、いかにも高価そうなジャバラバひび割れ閃光を放つ半ジェル状の「水の護侵札」を「箱の縁にする」というボタンが出てきた瞬間を見計らい、押し付けた。あれ、職人は一度しか使えなかったのかな。まあ、いい。
(はあー、疲れたー)
こんなに指を動かして考えたり頭クラクラするの久々かも。あ、次のボタンが出てきた。えーと、「素材とするフィールドエフェクトを選んで下さい」って出た……? 結構手間取るんだなあと思った後、私は「日」「波」「物」「邪」「気」「魔」「嬉」「黒」「造」「意」「讒」「通」「悲」「決」「法」「迫」「滅」「陰」が出てきたのを見て、「日」と「気」と面白そうな「波」と「嬉」、「黒」を選んだ。直観イズベストだ。選べるのは五つまでのため、その後「記憶しますか?」と出た後「OK」を押してみた。一息付こうとした、その時。
ガタッ。
!?
足音だ。
(誰かがこっちにきてる……!)
カタッカタッカタッ。
……!