表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おっさんがスタイリッシュ土下座を悪役令嬢にかました結果

作者: まにぃ

 俺は何故なぜか、領主の娘に呼び出され。

 屋敷へと連れて来られていた。

 無茶振りをすると有名な、有名貴族のお嬢様。

 立派な椅子に座って、偉そうにふんぞり返っている。

 年は17と聞いた、俺の半分も生きてねえじゃねえか。

 くそう、どうしてこうなった……。

 しぶ々前へ進み出て、膝間ひざまくと。

 早速、とんでもない要求が。


「呼び出したのは他でも無い、お前が芸達者と聞いてな。わらわを笑わせて見せよ、なんてな。ぷぷっ。」


 何だそりゃ? 笑わせろだって?

 誰だ! そんなふざけた噂を流した奴は!

 さては、レイズだな!

 俺が先に上物じょうものの鹿を仕留しとめたから!

 奴に腹は立つが、それよりも今は。

 どうやって、この場を切り抜けるか。

 自分で言ったダジャレに笑ってる位だ、簡単なはず

 そう思いながら俺は、顔を上げると。

 冷たい目で見下みくだしている、お嬢様の怖い顔が。

 俺にはっきり、こう言って来た。


「しくじった場合は……分かってるだろうな?」


 こ、殺される!

 考えが甘かった! 一度でも失敗したらアウトだ!

 ヤバいヤバい、どうするどうする!

 これまで真面目まじめ一筋ひとすじ、地道に狩りで生計を立てて来た身。

 そのせいで、いまだに独身なんだが。

 このまま死ぬのかなあ、俺。

 良い事も悪い事も無い、平凡な人生だったなあ。

 駄目だ駄目だ、悪い方へ考えが向く。

 気付くと俺は、15m程後方にまで下がっていた。

 お嬢様はニタニタしながら、俺を見ている。

 ああ行き詰まった、おしまいだ。

 だったらせめて、心からの謝罪を……。

 俺はスクッと立ち上がり、お嬢様へ向けダッシュすると。

 ズザザーッと、5mもの滑り土下座を敢行。


「申し訳ございませーん! 俺には出来ませーん!」


 俺は恐怖で泣きじゃくっていた、すると。

 椅子の方から『あはは!』と、大きな笑い声が。

 お嬢様は俺の方へ歩いて来ると、情けない顔をした俺の頭をポンポン叩く。

 そして笑いながら、こう言った。


「最高に面白い! 傑作だ!」


 呆気あっけに取られる俺、しかしお嬢様は続けて。


わるぶるのは、いい加減飽きたんでな。これからは、良い妻を演じようと思う。」


「へ?」


「お前、私の夫になれ。その実直さ、気に入った。」




 こうして俺は、お嬢様と結婚してしまった。

 今は楽しく、2人で狩りをしている。

 そんな俺からの、一言アドバイス。

 みんなも滑り土下座、しよう! なーんてな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ