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決闘の準備と夢の中のウサギさん

『――ってことがあってだな』

「決闘ですか……。大変なことになりましたね」


 トウドウから返却された俺は、アテナと共に廊下を歩いていた。


『まあ気楽にやりゃいいだろ…………って、そういや俺たちはどこに向かってんだ? この時間に授業ってなんか取ってたっけ?』

「ああ、次は《兵法学》の講義なんです。チームのリーダーは必修らしくて……」

『へぇ、大変なんだな』


 リーダーのための授業か。

 他のチームのリーダーってちょっと気になるな。


 と、そうこうしているうちに教室に着いた。既に何人か席について授業の準備をしている。


 適当な位置に座るアテナだが、突然横から声がかかった。


「ヘカテイアだな?」

「へ?」


 そこにいたのは短髪ブロンドで眼光の鋭いイケメン、ヴィクタスだった。さっき捨て台詞吐いて出てった人とわずか十数分後に再開してしまった。


「既にトウドウには伝えてあるが、来週お前のチームと決闘をする。ルールは各チーム3人ずつの勝ち抜き戦だ」

「は、はあ……」

「む、あまり驚かないな。既にトウドウから聞いていたか?」

「まあ、そんなところです」

「そうか。……それと一つ確認したいことがある。実技試験の時に天井を破壊したのはお前だな?」

「それは……はい、そうです」

「やはりか。もっとも、周りは俺の仕業だと考えているようだがな」

「す、すみません……」


 考えれば、アテナって天井壊してばっかだな。迷宮然り闘技場然り。とんだバーサーカーだ。まあ全部やったの俺だけどな。ごめんなさい。


「ヘカテイア、確かにお前は普通ではないようだ。トウドウが執着するのも少しは理解できる。だがその程度の力で俺を超えたと思わないことだ。真の才能、実力と言うものを教えてやる」

「そ、そうですか」

「威力の高い攻撃を一発だけ持っているようなお前と、次代のアンドレアス帝国の中枢を担うであろうこの俺との差を見せてやる。……逃げるんじゃねえぞ」


 低く重い口調でそれだけ言うと、ヴィクタスは別の席へと歩いて行った。


『……すごい自信家だったな。あいつってそんなにすごいのか?』

「まあ支援科(アデュート)首席で、トウドウさんと同じランクAですからね」

『ふ~ん……』


 ここでそんな雑談を遮るように室の扉がガララと音を立て、質の良さそうなコートを着た初老のおっさんが教室に入ってきた。


「よし、皆席についているな。ではこれより授業を始める」


 おっさんの声で教室が一気に静まり返り、皆ノートを取り出した。


 ……む、なんかあのおっさん見覚えがあるな。


『アテナ、あれ誰だ?』

「バッカス教頭先生ですよ。一度だけ校長先生の部屋でヤマダ様も見かけたことがあると思いますよ」

『ああ、どおりで……』


 そのバッカス教頭は教室を見渡して生徒の顔を見るなり、うんうんとうなずいていた。


 非常に満足気である。


「うむ。非常に優秀な生徒が集まっているようだな。さすがはチームのリーダーを務める者たちだ。諸君は戦吏の中でも一握りの選ばれた存在と言えるだろう」


 エリート思想の強い先生っぽいな。きっと本人もそれなりに優秀なんだろうけど、俺とは馬が合わなそうだ。


「だが慢心してはいけない。常に広い視野を持つことが重要だ。かのアトラス神は天より万物を見渡す視野を持ち、一切の死角を持たなかったらしい。故にいかなる攻撃にも対処でき、無敵の武神としてその名を轟かせた。それに倣い君たちも……」


 なんか説教が始まった。

 うん、この先生がどういう人かだいたいわかった。苦手なタイプだ。






 ……とりあえず授業はめちゃくちゃつまらなかったとだけ言っておこう。



 * * *






 ――その夜のこと。

 豪華絢爛な王宮の寝室、天蓋(てんがい)付きのベッドにルミナスと並んで座っていた。もちろん例によって夢の中である。


「決闘ですか」

「ああ、相手チームのこととかってわかるか?」

「ヴィクタスのチームは確か……ヴィクタス本人はもちろん強いのですが、他にも後衛科(リア)次席のフリートリアや前衛科(ヴァンガルド)でも上位のディオニスは手強いですね」

「なるほど……」

「一応、後衛科(リア)のファノスと武装科(アームズ)のソーラもいますが実力的に他3人には劣るので3対3なら出てくるのはヴィクタス、フリートリア、ディオニスの3人かと」

「ふむふむ」


 よくわからんが強敵ってことだな。


 ルミナスもレベルが上がってそれなりに強くはなったが、それでもトップ連中に勝つのは難しいだろうか……。


 負けてもいいとはいえ、勝てるもんなら勝ちたいしな。【憑依】を使ったアテナとトウドウでなんとか勝利をもぎ取るしかないか。


 勝ち抜き戦だからな。最悪、アテナで3人抜きすればいい。


「まずは私が一番手として相手の出方を伺おうかと思います」

「うん。それがいいだろうな」

「お任せください。必ず役割を果たして見せます」


 キリリと凛々しい表情で、バニー姿のルミナスは言い切った。バッチリの決め顔をこっちに向けるのに合わせて、お尻の白くて丸いしっぽがピョコっと揺れた。


 うむ。

 いいセンスだ。


 我ながらバニーガールを選んだのは正解だと思った。次はナース服を着てもらおう。

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