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帝都の黎明

 ルミナスの【ウィンドブレス】で俺たちは闘技場の目の前にまで飛ばされていた。


『あ、あいつ……!』


 ラスボスに一人で立ち向かうなんて無謀すぎる。あとで説教してやらねば。ともかく、急いでルミナスの元に行かないと。だが……

 奴のステータスはバジリスクとかのフィールドボスに迫るほどだった。


 かつてバジリスクに挑んだ時。

 ブーリンがバジリスクに足を切り落とされた光景がフラッシュバックする。魔物がうじゃうじゃいる状況で戦えば無傷でいられる可能性はかなり低い。


 苦い顔をして走り出そうとするアテナを呼び止める。


『アテナ、無策で突っ込んじゃだめだ』

「ですが……ッ」

『くそっ……俺が一人で動ければ……。いや、待てよ?』


 ガーゴイルを倒す前、一度使おうとしたスキルがあった。

 あの時はMP不足で出来なかったアレ。レベルアップした今のアテナならば……。


『【降臨】だ! 今なら【降臨】が使えるんじゃないか!?』

「……!」

『あ……でも【憑依】を使ったあとだからやっぱりMPが足りないか……』

「いえ、大丈夫です」


 そう言ってがそごそと腰のホルダーから水色の液体の入った小瓶を取り出した。


「MPポーションです。これでなんとか発動できるはずです」

『そ、そうか!』


 持久力という弱点。頭の良いアテナが対策しないはずがなかった。


 静かに、アテナはそのスキルを唱える。――【降臨】、という言葉と共に俺の中に魔力が溢れてくる。


《【降臨】の要請が来ています。承認しますか?》


 心の中で受け入れる。と同時に視界が高くなる。魔石の外に飛び出すような、水の中から空気にさらされるような感覚。


 とうとう俺は千年の時を経て、初めてこの世界に降りたのだ。


「……おお」


 手袋、マフラー、グレーのコート。それにポケットのカイロ。

 ついに現実でこの姿になれた。だが懐かしんでいる暇はない。


「ヤマダ様…………ですか?」


 ぺたんと座り込み、俺を見上げている。


「ああ、待ってろ。全部終わらせてやる」


 拳を握る。


 おそらく時間はない。【憑依】より消費MPが激しそうだからもって一分程度か?

 そっとステータスを確認する。



種族:神族

名前:山田

年齢:989

レベル:3011

HP:450000000/450000000 MP:450000000/45000000


筋力:900000000

耐久:900000000

敏捷:900000000

魔力:900000000

魔防:900000000


神様指数:3


《スキル》

神通力【B】 看破【C】 天変地異【ER】

暗視【G】 サイレントバイト【F】

フラッドストライク【D】 魔力効率【E】

アステリック・ブレード【E】 インターセプト【E】

威圧【G】 シームレスチェイン【F】

ブラスト【E】 ペネトレイト【E】

大烈斬【D】 石化の視線【C】


 

《称号》

海の支配者

山の支配者



 石の時の30倍のステータスになっている。


「アテナ、その抜け殻の石は頼んだぞ」

「はいッ!」


 もはや魔石でもなくなってしまったただの小石を握りしめ、相棒(アテナ)はうなずく。そんなアテナの反応に俺は満足し――空へと飛翔した。








 * * *







 たどり着いた俺が見たものは、ボロボロになって魔物の前に捨てられようとしているルミナスの姿だった。


 ――考えるより先に身体が動いていた。


「なっ、なんだお前!!」


 邪魔者が(わめ)く。


 腕の中のルミナスを見る。その制服は血で濡れ、腕もおかしな方向に曲がっている。……こうなることはわかっていたはずだ。それでも彼女はアテナを逃がすことを優先した。


 我ながら情けない限りだ。


 本来なら俺が守護(・・)しなければならなかった。


 元凶であるこの魔族(おとこ)。さて、


「覚悟はいいか、雑魚(ゴミ)

「ぐ……ッ!」


 魔族は魔弾を放ちながらバックステップのバックステップで距離を開く。


 右手で【アステリック・ブレード】発動する。およそ40発の魔弾。


「そんなモンが効くかよ」


 光の剣で撃ち落とす。魔弾と剣が交差するたびに火花と爆炎が俺を包む。無傷の俺を捉え、奴が舌打ちをした。そしてヒステリックに叫ぶ。


魔物共(おまえら)、奴を殺せェ!!」


 一斉に俺に牙を突き立てようと飛びかかる魔物(そいつら)に、俺がとる行動はひとつ。たった一つ。この一工程(シングルアクション)だけでいい。


 天に手をかざし、スキルを唱える。


「【火炎放射】」


 空に向かって打ち出された炎砲はいくつにも分岐し、炎の雨となって学院中に、否、帝都中に降り注ぐ。俺の周りの魔物を含め、すべての魔物を矢のごとく射抜く。


《グレムリンに勝利しました》

《グリフォンに勝利しました》

《ブラッドハウンドに勝利しました》



 心臓を焼かれ、煙を上げながら動かない魔物の山に魔族は目を見開き、後ずさる。


「さて、残るはお前だけだ」

「……! そうか、貴様だな!? イリアスを殺ったのは!! い、いいのか? 俺を殺せば女神ウルズ様と敵対することになる……。そうなればお前もげぶぁッ!?」


 軽くアッパーで突き上げる。


「知らん。ウルズって誰だよ」

「ひ、ひいいッッ!!?」


 黒い翼を必死に羽ばたかせ、空へ逃げようと動く。

 ……ちょうどいい。上に敵がいるってのは実に都合がいい。


 空に両手を向けて――その延長線上に敵をとらえる。


 魔力を集中。繊細に、かつ大胆に。

 溢れ出そうになる力に、かすかに腕が震える。


 足で掴むように地面をとらえ、頭の中でスキルを唱える。


 人間状態の俺の一撃。

 ダンジョンの天井を吹き飛ばした時とは比べ物にならない、高密度高レンジの一閃。




「――――」




 怒りを込めた閃光は敵を砕いた。







………………

…………

……







 その帝都で起こった魔族襲撃事件は犠牲も少なくなかった。

 しかしながら、その戦いを終えて人類が見出したものは――希望と期待だった。


 自分たちを守護する神の存在が明らかになったのだ。


 神は敵魔族の幹部級の相手を直径数キロメートル、刃渡り計測不明の光の剣で貫いた。月を砕くまでに至ったその一撃に、人々は畏怖した。


 神殿が建てられ、供物が用意され。

 帝都の復興とともに神を(まつ)る準備が着々とすすられていくことになるのだが、その神が今どこにいるのか、どのような名を持つのかは誰も知らなかった。



 ――二人の少女を除いて。


あとエピローグ的な話が2話続きます。


そろそろ第一章も終盤。頭の中の情景を文に起こすことの難しさを実感してます……。特に戦闘描写とか。率直な評価や感想などいただけると嬉しいです。

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