石ライフの始まりと天変地異
3日。
水たまりの横で3日という時間が流れた。
相変わらず俺は動けないでいた。
それは変わらないのだが一つだけ分かったことがある。
それは、
『ステータス』
俺が唱えると視界にウィンドウみたいなものが映った。
種族:不思議な石
名前:山田
年齢:17
レベル:1
HP:100/100 MP:100/100
筋力:0
耐久:1000
敏捷:0
魔力:1000
魔防:1000
神様指数:0
《スキル》
神通力【B】 看破【C】
《称号》
なし
……どうにもコメントし辛い。
強いのか弱いのか判断できないな。
なにか比較対象がないと耐久・魔力・魔防の1000という数値が高いのか低いのかわからない。もっとも、筋力と敏捷のゼロってのは比べる間でもなく低いってわかるけど。
まぁ、レベル1ってことはそう強くはないだろうとは思う。
基礎能力よりも気になるのはスキルだ。
【神通力】か。なんか強そう。
……と、思っていたのだがこれが全然役に立たない。
『【神通力】! はっ!』
スキル名を唱えると俺の身体が薄く光った。だがそれだけで何も起きない。
逆に少し疲れたような感じがする。
種族:不思議な石
名前:山田
年齢:17
レベル:1
HP:100/100 MP:90/100
筋力:0
耐久:1000
敏捷:0
魔力:1000
魔防:1000
《スキル》
神通力【B】 看破【C】
《称号》
なし
ステータスを確認するとMPが10減っている。
効果が何もなくてMPを減らしただけとは……完全に損だ。
そしてもう一つのスキル、【看破】についてだ。
これも【神通力】同様に役立たず疑惑があるスキルだ。
『【看破】!』
《対象が選択されていません》
発動しようとするとブブッと小さなエラー音みたいなのと共に視界に文字が現れる。
どうすればうまく使えるのやら。
まあしかしだ。
スキルの使えなさは置いておくとしてそれ以上に由々しき事態がある。
そう、動けないことだ。
なんとかしてこれは解消しなければいけない。
最初は【神通力】を使って、フワフワ浮けないかと思っていたんだがなぁ。
『はぁ……ずっとこんな何も無いところには居たくないな……』
願ってばかりで解決策が浮かばない。
考えるのにも少し疲れてしまった。
やることもないのでなんとなくステータスを眺めることにした。
『……ん?』
スキル欄を見ていると《詳細を確認しますか?》という文字が。
いままで気が付かなかった。
【神通力】:Bランクスキル。神様指数に応じて威力が上昇する。
【看破】:Cランクスキル。対象のステータスを確認できる。
なるほど。
【神通力】がうまく働いてないのは神様指数がゼロだからか。
いや待て。神様指数ってなんだよ。
……俺が神社で転生したことと何か関わりがあるんだろうか。
『…………』
やめだやめだ。
ここ3日間、頭しか使ってない。
っていうか、今の俺って脳みそなさそうなのにどうやって考えてんだ?
『ぬわーっ! 動きたい動きたい!』
身体を動かしたい欲が溢れ出ている。
気分的にはもうジタバタしているのだが、無情にも我が身体は微動だにしない。
……。
…………。
………………。
退屈過ぎる。
『せめて生き物に転生していれば……』
俺の呟きは虚空に消える。
誰か。誰でもいいから俺を拾ってくれ。
* * *
あれから一カ月がたった。
家族同然に思っていた水たまりは俺を置いて蒸発してしまった。
一カ月という月日を経て、ここが地球じゃなさそうだということはわかってきた。
空に翼竜みたいなのが飛んでいたりするのだ。
そして空には月が2つある。
かなり大きめな赤色の月と小さ目の青色の月。
地球の黄色いやつしか見たことのない俺にとってはなかなか新鮮だった。
退屈を持て余し過ぎた俺はどうなっていたかと言うと、
『俺を捨て 風になったよ 水たまり』
俳句を作っていた。
うん。なかなかいい句だ。
自分に俳句の才能があったなんてな。こうして転生しなければわからなかったことだ。
『詩人として成功した時に備えてペンネーム的なのも考えて――んんっ!?』
――ズシン
なんか今、少し俺の身体が跳ねた気がする。
もしやついに俺も動けるようになったのだろうか?
だがその直後、俺は理解することになる。
動いたのは俺ではないことを。
いや、正確には俺だけではなかったことを。
『んあ? なんか、地響きが……』
ドドドド――……
芯に響く重い音が地面から伝わってくる。
そしてそれは突然に凶暴さを増した。
『ぐわーっ!?』
暴れ馬のように地面全体が揺れたかと思うと俺は空中に弾き飛ばされた。
回転する視界のなか、一瞬目に移った山の頂上からは真っ赤なものが天高く放出されている。
『噴火!?』
空は瞬く間にどす黒い雲に覆われた。
地面もあちこちが裂け、地割れが広がっている。
なんてこった……!
未だ空中に放られたままだが、異様なまでにその光景が目に焼き付くようだった。
すべてがスローに見える。それほどに俺自身が興奮しているんだろう。
怖いとか、助かりたいとか、そういうんじゃなく。
純粋に畏怖の念を覚えた。
『すげぇ……!』
《スキル:【天変地異】を獲得しました》
視界に現れた字など気にも留めず、俺はこの事態の成り行きをただ見ていた。
ハリウッド映画が霞んで見える迫力だ。
火口から出るマグマはさらに勢いを増す。
次々に巨大な噴石が飛び出す。それはもう、ポンポンと出てくる。
『俺も同じ石として、あのように雄々しくありたいものだ……って、え?』
なんか、こっちに飛んできてない?
噴石の一つが気のせいでなければまっすぐ俺を目がけて向かってきているように見える。
『ちょ、ま、ぎゃあああああああっっ!!!』
カキーンっ! と音がしそうなくらいきれいなホームラン。
直径3mはありそうな噴石先輩と手のひら大の俺では勝負になるはずもなく、俺は彼方まで弾き飛ばされてしまった。
毎日20:30に投稿する予定です。




