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ブックマークしてくれてる方ありがとうございます
拙い文で自分が好きなものしかかけませんが読んでくださる方がいるのはとても嬉しいです
ありがとうございます
ヴィンフリートの言葉はフィオナには衝撃だったが、よく考えれば彼は軍人だ。乱暴な言い方だが、人を殺すのが仕事ではないのか?フィオナはそこまで思ってヴィンフリートの顔を見た。
ヴィンフリートは苦々しく笑った。
「できるなら余り言いたくはない、フィオナに嫌われたくないんだ。でも、それではフィオナは多分俺との結婚を納得して受け入れてくれないだろう?本当にフィオナのことが好きで、大切だと思っている。敵とか味方とかそんな小さなことは関係ないんだ」
ヴィンフリートの言葉にフィオナは彼を拒絶する自分の気持ちをあからさまに見透かされた気がした。
俺はここよりずっと北の国で生まれた。
ヴィンフリートの話はこの言葉で始まった。
ヴィンフリートはその国の由緒ある貴族の長男として生まれた。ヴィンフリートはカビかはえるほど由緒のある堅苦しい家だったと忌々しげに呟いた。
生まれた時から婚約者がいるのが当たり前で特にそれが不思議なものとも思わなかった。
特に不自由なく祖国での生活は過ぎていった。名家の後継らしく優遇されて、優遇されるのが当たり前として育った。
結婚式の話が具体的に始まった頃からヴィンフリートの周りに不穏な風が吹き始めた。
幼い頃からの釣り合いの取れた婚約者が壊れた。
ヴィンフリートも他の周りの者たちも一体どうしてしまったのかと思い彼女を問い詰めた。
彼女は恋をしたのだと泣きながらヴィンフリートに話した。
ヴィンフリートは自分の心が波が引くように冷めていくのを感じた。つい昨日まで結婚おめでとうと言われて笑顔で答えていた自分が道化のように思えた。
泣いて結婚したくないといった婚約者にヴィンフリートは結婚を破棄すると告げた。ヴィンフリートは最大限、婚約者に配慮して出した答えだった。
慌てたのは婚約者の家だった。婚約破棄を断固拒否し、婚約者の恋の相手の見た目のいい平民の傭兵を殺した。
ヴィンフリートも驚いたが、結婚は果たすべき義務だと思っていたので、「しろ」と父に言われれば拒否はできなかった。
皆におめでとうと言われてヴィンフリートは作り笑顔で答えた。虚しかったが人生とはこういうものだと思った。
結婚式の前日、婚約者は王都の城壁から身を投げた。ヴィンフリートは婚約者が城壁から身を投げる直前まで側にいた。
婚約者はヴィンフリートに言った。
「貴方も恋を知ればいい」
幼い頃から知っている婚約者だったがその時初めてヴィンフリートは彼女を美しいと思った。
貴方も恋を知って苦しめばいいと彼女は笑って城壁から身を投げた。
ヴィンフリートはその直後祖国を捨てた。