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終焉のリベリオン  作者: 悠季
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第0章 プロローグ

初めまして!初心者の悠季です。

今回、初投稿させていただきました。

まだ初心者と言うこともあり、ミスが多々あると思いますがよろしくです



第0章 プロローグ



「……さん、……ん…さい。……。」


誰かの声がする。

今にでも消えてしましそうな細くか弱い声。


 瞼を上げる。

 広がるのは灰色の世界。


―――ここは…


 意識がはっきりとしてくる。

辺りは薄暗くまるで何かの前兆のような静けさが支配している。周りは鬱蒼と生い茂る木々に囲まれ、足元に視線を移せばかつては秋を彩っていたであろう落ち葉が悲しく散乱していた。

落ち葉で隠れてしまっている石畳の道を進む。すると目の前には、まるで誰かの来訪を待っていたかの様に佇む大きな鳥居が建っていた。


迷うことなくその鳥居をくぐり石段を登ると、視界が開けた場所にたどり着いた。石段から続く道の先には拝殿が建っている。

どうやらここは神社らしい。

 拝殿の前に視線を向けると、そこには巫女の服を着た少女が一人天を仰ぐように立っていた。生気は感じられず、今すぐにでも壊れてしまうのではないかと思うほど脆く儚い後ろ姿は、見るもの全てに大きな悲しみを訴えかけていた。


 俺は声を掛けようと彼女に近づく。近づくにつれ、彼女からの悲しみが俺の胸の中にまで入り込んでくる。たまらなくなり声を掛けようとするが口が動くだけで声が聞こえない。もう一度声を掛けようとするがやはり声が出なかった。声がダメならと肩に手をやるが、すうと俺の手がすり抜けてしまう。


―――クソっ!


何度も試みるが彼女に触れる事は出来なかった。

 すると俺の存在に気付いたのだろうか?彼女の肩が少し震えた。


「……、そこに、…いるの?」


よかった。どうやら気付いてもらえたらしい。

 彼女は天を仰ぐのを止め、ゆっくりとこちらへと体を向ける。

 

 俺は見惚れてしまった。


 灰色一色の世界にいる彼女に、だ。

腰まである長い髪。輪郭の整った小さな顔に、まるで静かでなめらかな湖面のように澄んでいる瞳、おとなしさを感じる唇、そして巫女装束の上からでも分かるきゅっと引き締まったボディライン、控えめながらも決して小さくはないふくらみが2つ胸にあった。そんな彼女の姿は見る者全ての視線を奪ってしまうほど美しかった。


「…っ、…約束…、守れなかった…」

彼女はそう言い残すと、どこから出したのか短刀の鞘を抜き自分の心臓のへと刃先を向ける。


―――…おい、…よせ、…やめろっ!


 俺は必死に止めようとするが、俺の声は決して彼女には届かない。

 必死な俺とは反対に彼女は落ち着いていた。先程までうっすらと浮かべていた涙も消え、瞳の奥には若干の恐怖が見え隠れしているが、それでも死に向かい合う。


何もかも手遅れだった。俺はただただ見ていることしかできなかった。


「………っ」


 なにか言葉を言い残すと、彼女は自分に向けた短刀を一気に胸へと突き刺す。

 

 短刀の刺さっている胸元からは紅い染みが広がり、口からは鮮やかな紅い血がぽたぽたと滴る。灰色の世界の中で唯一の色彩とともに死にゆく姿は、まるで満開に咲き乱れた桜が月下の夜風に吹かれ散りゆくような、そんな美しくも儚い死に様に俺は視線を奪われていた。


しばらくして彼女は苦しそうにその場に倒れ込む。



―――そして



 ―――俺の目の前で……



 ―――絶命した。




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