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約束できない約束
『死なないで』 震える君はそう言った
永遠なんてありえない
幼い僕が 飼い猫の側で泣き喚いて
優しい声 手の温もりに 悲しみは薄れて
あの時に 命の終わりを知ったんだろう
なのに人は それでも僕は 永遠を信じたくなる
離したくない人がいる 側にいたい人がいる
幼かった僕の手が 今は誰かの悲しみを薄めてあげれる
君はきっと たくさんの悲しみを背負って
そして 僕に出会ったのだろう
踏み込むことは きっと怖かったはず
それでも 踏み出したのは
君も 永遠をどこかで信じているから
君との約束は出来ない 永遠なんてありえないから
でもね 死がなければ僕らは生まれなかった
君とこうして 出会うこともなかった
『死なないよ』そう言って君の涙を指ですくった
僕の嘘に 君は儚げに笑う
約束できない約束 君がそれを諦められないなら
僕はこの嘘を背負う 君が背負った悲しみと一緒に
いつか 君が眠りにつく日まで
できない約束を 嘘で覆い隠そう
読んでいただきありがとうございます。