第8話 『学園トーナメント前夜』
初めてのチーム戦で、ニ年の選抜クラスと戦う事になった竜牙達。
新しいクラスメイトのカレンの活躍によって勝利を収める。
その一ヶ月後、竜牙達は明日のトーナメント戦を控えていたが、竜牙がある提案を持ちかけて----
チートな主人公が紡ぐ、ハーレム学園ファンタジー!!
あれからまた一ヶ月経ち、俺達はよりランクアップした。チームの連携もずいぶん慣れた。前よりも皆と仲良くなった気がする。カレンも俺達と仲が良くなったようだ。
そういえば、カレンと俺が一度勝負をしたが、何とか俺が勝ったくらいで、結構苦戦した。実力は俺より少し弱いくらいだろう。
今はいつもの午前中の座学。今日の座学は、明日から始まる学園トーナメントのルール等についてだ。俺は何だかやる気が入らず、授業に集中できないでいた。
「それでは霧裂、学園トーナメントの出場資格は各学年何チームだ」
「は、はい。一年が選抜クラス、二年が一五チーム、三年が一五チーム、教師チームです」
「ほう。惚けていたのに授業は聞いていたのか」
クラスが笑いの渦に包まれた。
自分でもも何で聞けていたのか分からない。たまにあるよな、そういうの。
「では五十嵐、決勝トーナメント進出ができるチームは全部で何クラスだ」
「はい。四ブロック中、各ブロックから一チームです」
さすが愛里、このクラス一番の優等生だけはある。座学の事は愛里に聞くのが一番だな。
六月になった今、衣替えの季節になった。生徒は全員夏服になっている。夏服はやっぱり涼しいなぁ。
そんな事を考えていると、座学の授業は終わっていた。相変わらず、座学の授業は退屈だ。やっぱり俺には戦っている方が性に合う。
午後は、学園トーナメント前の最後の実戦練習だ。前から先生にお願いしていた事も許可が得られたし、午後の授業は楽しくなりそうだ。
いつも通り食堂で昼食をとり、仮想練習用の教室に行く。
学園トーナメントは仮想空間で戦う。制服で戦うらしい。制服だと動きにくくないか?
俺達はカプセルの中に入ると、いつも通り仮想空間で先生が来るまで体操する。ついでに、リアナとレミーアを剣の姿にしておいた。
今日は厳しい戦いになる。今の俺の全てをぶつけよう。
先生は仮想空間に入ってくると、今日のメニューを告げた。
「今日は霧裂からの要望通りの練習にする。今日は霧裂対その他、で戦う。全員、手を抜かないように」
試してみたかった。俺がどれほど強くなったか。それに、皆がどれほど強くなったかを。
「今回のフィールドは草原。遮蔽物が無いから霧裂が不利だな」
確かに、俺は通常の魔法を使えない。何度試してもオリジナル魔法しか使えなかった。
通常魔法が使えないと、どうしても遠距離の戦いが不利になる。ステルス魔法は遮蔽物が無いから、俺が消えた事がばれてしまう。ステルスが使えないのは厳しいな。そうなると、もう一つのオリジナル魔法しか使えなくなるな。
「それでは、テレポートする」
いつもの体が浮く感覚が訪れ、いつの間にか、皆との間は一00メートルくらい空いていた。一00メートルだと、桜花と愛里と円香に攻撃されるな。なら、最初から撃つか。
「スリー、ツー、ワン、スタート!!」
とりあえず、リアナから魔力を貰って、いつでも魔法が発動できるようにしておく。
「フレイム!」
「アクアフロー」
前から、炎と水が流れて来る。かなりの量だ。
それをジャンプで回避する。しかし、俺の着地地点を予測したらしく、円香の矢が迫って来た。
俺は空中で体を捻って一回転し、円香の矢を避ける。危ない危ない。
休む暇もなく、カレンが駆けて来る。そろそろ撃つかな。
「ライトニングアロー!!」
俺のもう一つのオリジナル魔法は、リアナの魔法を使って光の矢を放つ魔法だ。光の矢の数はおよそ一00。防御魔法を使わないと避けられない数だ。
相手は皆、防御魔法を使うカレンは魔法が使えないので、桜花の後ろで桜花に守ってもらっている。今がチャンス。
「ブラッククローキング」
この間にステルスを使って接近する。まずはヒーラーの愛里からだ。
だが、カレンがステルスしているはずの俺に近づいてきた。俺の位置がわかっているのか?
カレンがアスカロンを振ってきた。俺もリアナを打ち付ける。
「ハッ!」
俺はレミーアでカレンの頭を狙う。しかし、横から円香の矢が来た。
仕方なく、後ろに跳んで回避する。後少しだったのにな。
「お返しよ、フレイムアロー!」
「アイスアロー」
今度は氷と炎の矢が何本か迫ってきた。防御魔法を使って防御する。防御魔法は使えるんだよなぁ。
すぐにカレンが走ってきた。少しは休ませろ!
(長期戦は分が悪いな。ここで決めるしかなさそうだ)
だが、カレンの他にも黒猫と炎を纏った人間が現れた。クソッ、愛里と円香の契約精霊か。
俺はカレン達の攻撃を避けるしかなくなる。それに、円香の矢が飛んできてさらに厳しい。ジリ貧だな。ライトブレイドやデスサイズを撃つ余裕がない。
「これで終わりよ、ヘルフレイム!」
「凍てつく吹雪」
桜花と愛里が上級魔法を撃ってくる。カレン達は横に避ける。これは直撃ルートだな。
俺は避ける気も無くして、二つの上級魔法をくらった…………
*
俺が目覚めると、すぐにさっきの反省会が開かれた。
「まずは鷲宮チームだ。連携に慣れて、良い連携ができている。霧裂に反撃させなかったのは上出来だ」
あのタイミングで、カレンの他にも円香と愛里の精霊である黒猫のグルームと、炎精のイプシロンが来たからなぁ。その対処で精一杯だった。
「霧裂の敗因は最初に決められなかったことだな。長期戦になると、人数差で押し切られるからな」
確かに、最初に決めされなかったせいで負けた感じがするな。完敗だった。
「それでは、少し早いが今日の授業はこれまでにする」
お、明日からのトーナメントに向けて休んでおけって事かな。先生もたまには良いことするな。
「それと、今日の夜七時から三年の寮の食堂で、出場メンバー限定のパーティーが開催される。全員制服で来い」
お、パーティーと言うくらいなら美味い飯が多く出るのかな。今から楽しみになってきたぞ。
俺は自分の部屋に戻る。帰ってパーティーの前にシャワーを浴びよう。
自室に戻ると、シャワーを浴びる。その時に忘れてはいけないことは、絶対に鍵を閉めることだ。リアナとレミーアがシャワールームに突撃して来るので、それだけは忘れてはいけない。本当に、困った奴らだ。
シャワーを浴びた後、ベッドで転がっていたらリアナとレミーアが来たので、頭を撫でてやる。二人は頭を撫でられるのが好きで、良く撫でてやっているのだ。撫でている時に可愛い声を出すので、俺としてもいつまでも撫でていたいくらいだ。
「……竜牙、そろそろパーティーの時間」
気がつくと、もう六時半を過ぎていた。そろそろパーティー会場に行かないとな。
俺は制服に着替えてリビングに行く。もちろん皆いた。
「待たせたな、そろそろ行くか」
俺達は皆で三年の寮に向かう。結構緊張してきたな。
俺達が三年の寮の食堂に入った途端、食堂全体がざわめいた。はぁ、またかよ。男だからって騒ぐのはもうやめて欲しい。
食堂にはテーブルの上に様々な料理があった。イスが無いので、どうやら立食パーティーらしい。
飯を食べていると、いつの間にか七時になっていた。
『それでは、時間になりましたので、開会したいと思います。まずは、学園長から一言』
学園長か……。もしかしたら、教師チームに入るかもしれない。あの入学式の時に言った通り、全力を尽くして戦いたい。
「皆さんこんばんは。明日から学園トーナメントが始まります。全員、自分の全ての力を出し切るようにしてください」
『ありがとうございました。次に、トーナメントの発表をしたいと思います』
前の大型モニターにトーナメント表が出される。俺達は第三ブロックの一番横だった。俺達の一回戦の相手は三年のチームか。
『各学年選抜クラス及び、教師チームは各ブロックに分かれております』
確かに、各学年の選抜クラスは隅に配置されていた。
トーナメント表が発表され、皆食事や作戦会議に没頭している。ま、俺達は戦う時に作戦を考えれば良いだろう。
そうしていると、前から萩原先輩が来るのが見えた。
「久しぶりね霧裂君。決勝戦で戦いましょう」
「はい。そこまで勝ち残れればの話ですが」
先輩と握手して別れる。そろそろ明日に向けて寝ておくか。
俺は一足先に食堂を出て、自室に行き、ベッドに入った。
皆様こんにちは。二日以内に投稿すると言っておきながら、全然投稿しなかった伊原志永淳です。
最近、部活が始まりイロイロ忙しくなってきております。
ついに「チートな俺と契約精霊」のブックマーク数が一九になりました。見てくださっている皆様、本当にありがとうございます。
次回は一回戦。竜牙達は三年生相手に勝てるのか!?
それでは、また次回で。御機嫌好う。