第7話 『初めてのチーム戦』
魔物の襲撃を軽く退けた竜牙。
その後、鷹山先生との戦いも何とか勝った。
その一ヶ月後、ついに最後のクラスメイトが現れる----
チートな主人公が紡ぐ、ハーレム学園ファンタジー!!
魔物が襲撃してきてから、ちょうど一ヶ月が経った。
その間、俺達はひたすら魔法の練習をしてきた。俺は少し先生と模擬戦をしていたが。
剣の扱いにもだいぶ慣れてきて、難しい二刀流も何とか使えるようになってきた。強化魔法は効率だけでなく、出力の変更も出来るようになった。それに、新しく光と闇のオリジナル魔法を覚えた。その魔法を発動するには、リアナとレミーアのサポートが必要だけど。
もちろん、桜花達も成長した。桜花は初級魔法は全て覚え、中級魔法もそこそこ覚えた。円香と愛里は精霊との対話が出来るようになり、精霊武器も出せるようになった。
後で学んだが、精霊武器とは、リアナとレミーアが剣の姿になったことらしい。普通は、契約精霊が武器を契約者に献上して、精霊と二人で戦うのがセオリーだ。俺は少し違うけど。
今俺達は教室でホームルームの真っ最中だ。今日は連絡事項は無いらしい。
「最後に、今日のビックイベント、前に言っていた留学生を紹介しよう。入れ」
お、留学生か。どんな子なんだろう。楽しみだな。
前のドアが開いて、留学生が入ってくる。入ってきた子は、銀髪で身長が低かった。一四五センチくらいか?
「名前はカレン・ニューステッド。皆、仲良くしてやってくれ」
先生がそう言うと、カレンはペコリとお辞儀をした。小動物っぽくて可愛いな。
挨拶が終わると、カレンは空いていた席に座る。これで全員ってことか。
「それでは、全員揃ったことだし、来月にある学園トーナメントについて説明しよう」
学園トーナメント? 何かの大会があるのか?
「来月に、学園トーナメントっと言って、日本代表のチームを決める大会がる。一年は選抜クラスだけで、二年、三年は全クラス対抗だ。優勝と準優勝のチームだけ学園代表のチームに選ばれる」
一年が選抜クラス以外出場出来ないのは、まだ戦えるレベルじゃ無いからだろう。俺達だって、三年の選抜クラスとの差がどれほどあるのか分からない。
「一つのチームは五人構成だ。選抜クラスが五人なのもそれが理由だ。これからは、チームの連携の練習も入れる」
やっとこれから実戦形式の授業か。これからもっと楽しくなりそうだ。今までの練習も自分が強くなるのを実感できて楽しかったが、今回から戦うことができるのでより一層楽しくなるぞ。
午前中は座学。どうやら、選抜クラスは全部午後に実技の授業があるらしい。
今日の座学は魔法の種類と魔物の種類。憶えることが多くて大変そうだな。
*
やっぱり、座学より実技の方が俺に向いているな。午前中の授業はいつもつらい。
せっかく同じクラスになったわけだし、昼飯はカレンを誘ってみようかな。
「カレン、俺達と一緒に昼飯を食べないか?」
精霊が日本語を喋るので、精霊使いは日本語を話すことができるらしい。
しかし、カレンは喋らず、ただ頷いただけだった。
皆と一緒に食堂に行く。相変わらず、俺を見る視線は絶えない。
そういえば一週間前に、一年の女子に告白されたっけなぁ。断ったが。だって喋ったことも無い女子なんだせ? 普通は断らないか?
今日はカツカレーにするか。たまにカツカレーが無性に食べたくなる。好きなんだよ。
カレンは寿司にしていた。日本に来たからには日本料理が食べたいのかな。
俺達は一緒に席につく。
「カレンは何の魔法を使うの?」
明るい円香がカレンに話しかけた。
確かに、これからチームを組むのだから、仲間のステータスは知りたいな。
「……私は魔法使えない。代わりに、精霊が使えるの」
カレンはそう言いながら、一振りの剣を出した。両刃の剣だ。
「……この子名前はアスカロン」
「アスカロン? どっかで聞いたような……」
あ、そういえば、前にやったゲームで聖剣アスカロンっていう武器があったな。
まさか、そのアスカロンなのか? なら、凄く強い剣のはずだ。魔法が使えなくても、アスカロンがあれば充分強そうだ。
昼食を食べ終えると、俺達はカプセルのある教室に行く。今日は仮想空間で実戦練習らしい。
俺達は先にカプセルに入り、準備をしておく。準備体操でもしておくかな。
少し経つと先生が来て、今日のメニューを説明された。
「今日は実戦練習だ。が、今回は特別に特別ゲスト達を呼んだ」
すると、仮想世界に五人の学生が姿を見せる。上級生かな。
「こいつらは二年の選抜クラスのメンバーだ。今日は存分に相手してもらえ」
げっ、さすがに勝てないだろ。練習していて分かったが、一年の差は大きい。
二年生の中から一人歩いてくる。
「君が噂の霧裂竜牙君ね。私は二年の代表生徒の萩原紗耶香。今日はよろしくね」
そう言いながら、萩原先輩は手を出してきた。握手をしろってことらしい。
「今日はよろしくお願いします」
俺はその握手に応える。せめて一方的な試合にはならないようにしよう。
「今回のフィールドは森林だ」
先生がそう言うと、周りの風景が一瞬真っ暗になっる。その後、周りが大きな木で覆われる。
視界が悪いが、俺にとってはラッキーだ。木が邪魔して魔法は撃てないだろう。接近戦をするなら合っているフィールドだ。
「それでは、各チームをランダムでテレポートする」
急に体が浮かぶような感覚がおとずれ、気がついたら俺達がいた場所が変わっていて、先生や先輩達の姿が見えなくなっていた。
『では、カウントダウンを始める。スリー、ツー、ワン、スタート!』
おいおい、まだ戦術も決めてないのにもうスタートかよ。
俺はすぐに考える。
「よし、これからフォーメーションを決めよう。俺と円香で索敵をする。カレンは桜花と愛里を守ってくれ。戦闘が始まった方に行こう」
弓を使う円香と、接近戦の俺なら索敵するのに相性が良い。カレンが魔法専門の桜花と愛里
守ってくれるはずだ。このチーム、バランス良いな。
「我、光と闇の精霊の契約者也。汝らのその光と闇の力を我に与え、我を勝利へと導け!」
『私達はマスターの剣。マスターの御心のままに』
俺はリアナとレミーアを剣にし、円香と一緒に森を進む。円香は索敵魔法を覚えているのでとても頼りになるな。
ネックなのは、カレン達と連絡がとれないことだ。ま、仕方ないか。携帯が繋がるわけないしな。
「竜牙クン。前から二人来る」
「分かった。俺が先に出る。円香は離れて援護を頼む」
草を踏んで音を立てないように注意する。前から人影が見える。あの人影は……萩原先輩?
「やぁ霧裂君。良かった、予想通りね」
(予想通りだと? 嵌められたってことか?)
「私達の中に広範囲で索敵できる女子がいてね。君達のフォーメーションを予想させてもらったわ」
チッ、マズイな。全て先輩達の思惑通りだったってことか。
「竜牙君、行くよ? 白虎!」
先輩は槍を手に持ち、白い虎を出す。
白虎ってあの伝説に出てくる白虎か? 状況は二対一か。おそらく、円香にも一人先輩がついているだろう。援護はなさそうだな。
先輩が走って来る。槍の方が間合いは長い。何とか剣の間合いに入らなくては!
俺も先輩の方に向かって走りだす。
「ガハッ!」
しかし、急に横から白虎が来て、殴り飛ばされる。殴られた腹が痛い。
そっちが二人で来るなら、こっちも二人だ!
(リアナ、萩原先輩を止めてくれ)
『了解です、マスター』
リアナを手放す。リアナは元の姿に戻り、先輩の方に向かっていく。俺達は白虎だ。
俺は白虎に向かい合う。白虎は俺の方に駆けてきていた。
俺は白虎の突進をジャンプで避け、後ろからレミーアを振る。
だが、白虎はとっさに防御魔法を発動させた。攻撃が防がれる。が、それだけじゃ終わらねぇ!
俺は防御魔法にレミーアを当てながら、レミーアに魔力を注いだ。
『デスサイズ!』
レミーアから黒い斬撃が放たれ、白虎の防御魔法を斬り裂き、そのまま白虎を絶命させる。
「リアナ!」
俺はすぐにリアナの方に向かう。リアナは防御魔法で萩原先輩を止めていたが、俺が呼んだのに気づいたらしく、自分の体を発光させ、先輩の目を眩ませる。
「何!? 白虎がやられたの!?」
先輩が驚いている。すぐに倒したからな。
「悪いですね先輩。俺の契約精霊はそこらへんの精霊とは格が違うんですよ」
先輩は俺に向かって槍を突き出す。なら、最近覚えたアレを使うか。
先輩の攻撃が避けられず、胸に槍が刺さる。俺の分身が。
「な、何!?」
俺は最近覚えた、レミーアの魔力を使い、分身を作る魔法を使っていた。本当の俺は、闇の魔法で一時的にステルスしておいた。
その隙に、本当の俺は先輩の背後に回り込み、リアナで心臓を一突きにする。瞬間、先輩の姿は消えた。
(おっと、円香を援護しなくちゃな)
俺はすぐに円香の方に行く。しかし、円香の姿は見えず、先輩の姿だけあった。一どうやら、盾を作って円香と戦ったらしい。弓使いの円香には相性が悪いな。
背後から首を斬る。次は桜花達のところだ。
これ以上ステルスを使うのはやめよう。レミーアへの負担が大きいだろうしな。
俺は身体強化の出力を上げ、急いで桜花達のところに戻る。
「大丈夫か!?」
見ると、戦闘は終盤だった。こっちの優勢の。
桜花と愛里はいなかったが、カレンがいた。ちょうどカレンが最後の一人にとどめを刺したところだった。
「カレンが全員やったのか?」
「……うん。強かった。けど、二人倒した」
本当かよ。というか、カレンの声初めて聞いたな。透き通った綺麗な声。
カレンって強かったんだな。多分、桜花と愛里が先輩一人と相撃ちして、残りをカレンが倒したのか。スゲエな。
少し経つと、意識が遠くなっていった。現実に戻るらしい。
*
現実に戻ると、カプセルから出る。
「凄かったな、霧裂、ニューステッド」
俺も何で先輩達に勝てたのか分からないよ。ま、カレンのおかげだろうな。
「負けたわ、霧裂君。でも、来月は負けないから」
「望むところです。今日はありがとうございました」
先輩達は教室から出ていく。今日は疲れたなー。
「実を言うと、二年の選抜クラスは負け無しでな。そのせいで最近腑抜けていたらしい。お前らのおかげでやる気になったようだ」
なるほど、だから勝てたのか。早くシャワーを浴びたい。
皆も疲れているようだ。桜花と円香と愛里は落ち込んでいるらしい。
「今日はこれまでにする。解散!」
先生はいつも始まりと終わりの挨拶をしない。ま、楽で良いけど。
桜花はテニス部、円香はソフトボール、愛里は茶道部。皆、各々の部活に行く。俺は部活には入っていない。なぜか、バスケをする気にならなかった。
「カレンはどこかクラブに入るか?」
「……ううん。別にやりたいことない」
「そうか。じゃあ帰るか、俺達の家に」
「……家? 分かった」
毎日投稿すると言っておきながら、さっそく昨日投稿しなかった伊原志永淳です。
初めてのチーム戦! が、まさかの竜牙とカレンのごり押しで終わりました笑。
多分これで一章終了です。
二章のテーマは学園トーナメントになるかと。
それでは、また次回で。御機嫌好う