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番外編 過保護な旦那様

出産は体験したことないので、想像で書いています。あまり深く突っ込まず読んでくださると嬉しいです。






ヴィルと結婚式を上げてから1年が経ちました。何と私のお腹の中には新しい命が宿り3ヶ月。


今から生まれて来るのが楽しみで仕方がない。でも、一つ問題が.....。


「う~気持ち悪いです~」


「よしよし、でも食べないと体に良くないから、少しだけでも食べて?」


「はい...」


「あーん」


ヴィルに見守られながら、ヴィルに「あーん」とされながら食事を食べる日々。




「リーナ!一人で出歩いちゃダメだと言っただろう!?」


「でも、歩かないと体に良くないって.....」


「待ってて!今すぐ仕事を引き継いで来るから‼」


そうして、ダッシュで執務室のお兄様に仕事を渡し、ダッシュで戻ってくるヴィル。


「ほら、そこは段差があるから気をつけて」


「はい...」


仕事を放棄してまで私のもとに来てしまう日々。




「リーナ、一緒にお風呂に入りましょう」


「え!だ、大丈夫ですよ!一人で!」


「ダメです。もし、お風呂で具合が悪くなったらどうするんだ?だから一緒に入る」


「一人でのんびり....」


「入るよ」


「う~、はい...」


有無を言わせない顔で言われてしまい、頷くしかない状況で、結局毎日一緒にお風呂に入る日々。




「リーナ!仕事なんてしなくて良いよ‼いや、しちゃダメだ」


「え、座って書類を仕分けるだけだから大丈夫ですよ?」


「いや、アレクにやらせる‼」


仕事をしようにも、やらせてもらえない日々。





とても過保護に構われている気がします。というか構われています。


お兄様にもどうにかしてと頼まれてしまいました。


「ヴィル、仕事をしなくても良いんですか?」


「ああ、仕事よりもリーナが大事だから」


「でも、お兄様が忙しすぎて、倒れそうでしたよ?ヴィルも仕事をしないとお給料でないですよ?」


「今までの貯えがあるからちょっとやそっとのことが起きても大丈夫だ。だから、安心して休んでてね」


.....お兄様ごめんなさいどうすれば働いてくれるか分かりません。


そのあとも頑張って説得してみましたが、働いてくれる気にはなってくれなくて、最終手段を取りました。


「ヴィル!私は働かない方が嫌いです‼だから、このままだとヴィルのことが嫌いになってしまいます。でも、私は嫌いになりたくないです。ヴィルは私に嫌われても気にしませんか?」


「え...」


ヴィルはとても驚いたようで、何時もはしない口を少し開けた間抜けな顔になっています。


「おい!ヴィル、リーナが言っていた事を聞いてたか?そんなアホ図らしてないで、答えろ‼リーナから嫌われても良いのか?」


アレクお兄様がヴィルに声をかけると、ヴィルは涙を流してしまいました。


「リ、リーナが私を嫌いに.....。い、嫌です‼嫌わないで、ぐださい」


「え!ヴィ、ヴィル!?」


「仕事をすれば嫌いにならないんだから、仕事をすれば良いだろ‼」


「し、仕事‼わ、分かりました‼やってきます‼」


「「え!」」


「お、お兄様...」


「ごめんリーナ、リーナが呼んでこないと戻らないと思うから、よろしくね...」


「...はい」


ヴィルは走ってどこかに行ってしまいました。今はもう夜です。さすがに今から働けとは思いませんのでヴィルのもとへ向かうことにしました。




「ヴィル?今日は遅いから明日から働きましょう?」


「いえ、リーナに嫌われたくないので働きます‼だから、嫌わないでくださいね?」


「大丈夫ですよ、嫌いになりません。だから、明日からにしましょう?」


「いえ、働きます‼」


「.....ヴィル。私が妊娠して心配なのは分かります。でも、動いてはいけないわけではないんです。病気なわけではないんです。だから、そんなに過保護にならなくて良いんです!だから、私は仕事をしたいと思ってますし、私が心配でヴィルが働かないのは良くないことだと思っているんです」


「リーナ...」


「でも、だからって今から働いて欲しいとは思っていません。それに...ヴィルと一緒にいれなくなるのも嫌なんですから」


「ああ、そうだな。ごめんリーナ」


「はい。じゃあ働くのは明日からですよ。今日はもう寝ましょう?」


「ああ」


こうして、ヴィルが働かないということはなくなりました。


ただ、過保護なのは相変わらず、私が一人で庭を歩くことも、お風呂に一人で入ることもできない状態でした。


ヴィルの仕事の合間に散歩することや、仕事が終わってから一緒にお風呂に入ることになり、仕事を放棄してまでではなかったので、そこは甘んじて受けることにしました。




そんなこんなで、10カ月経ちました。


私の陣痛が始まると、お父様もお兄様もヴィルも慌てるだけで、役にたちません。


ヴィルのお義父様とお義母様が少し前にフェルダ公爵家にやって来ました。私が出した手紙を受けて、ホルン国との交流のための滞在として、1ヶ月ホルン国に滞在するようです。


お義母様が居なかったらうるさいだけの男たちだけになっていましたので、お義母様が来てくれて助かりました。


「う~~はぁはぁ、んっ!」


「ああ、リーナ大丈夫か」


「どうすればいいんだ‼」


「ああ、神様どうか...」


「お前たち、落ち着いたらどうだ?」


「そうですよ‼あなたたちは.....本当にこういう時男は役にたちませんね」


お義父様はさすがに王様として落ち着いていると思いましたが、顔色は誰よりも真っ青だったようです。(お義母様から聞きました。)


「はい!力んで下さい‼」


「んっ!」


「良いですよ!頭が見えてきました。......後ちょっとですよ‼」


本当に痛いです。カーテン越しに聞こえるお父様達の声が煩わしく思えてしまいます。


「っん!はぁはぁ」


「ぅんぎゃ~ぅんぎゃ~」


「無事生まれましたよ~男の子です‼」


「う、生まれた‼」


「や、やった~」


「り、リーナは!」


「大丈夫ですよ、母子共に無事です‼」


「ああ、良かったわ」


「ふ~良かった...」


無事生まれて、安心したとたんお父様達の声が聞こえて、さっきは煩わしく思えたのが嘘のように、嬉しく思いました。


産母がカーテンを開けるとヴィルが真っ先に私のもとに来て、頭を撫でてくれました。


「ヴィル、生まれましたよ。男の子です」


「ああ、ありがとう、ありがとう‼リーナも無事で良かった‼」


「はい」


私が抱っこしている赤ちゃんを見せるとヴィルは泣き出してしまいました。


「な、名前は、ウォレットだ。げ、元気に、育てよ」


「ウォレット。良い名前ですね‼元気に育ってね‼」


こうして、ウォレットが生まれました。




この後、子供が生まれたことで安心したヴィルはお義母様とお義父様と言い合いになっていましたが、嬉しそうではありました。(本人は認めませんが)


私はそんな中で、皆に祝福されて生まれてきた我が子を大切に育てようと私は決心しました。


そうして、また過保護なヴィルになるまで、後数年。そのときにはヴィルにそっくりなも過保護な子がもう一人増えることでしょう。















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