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54 あきれるほどに








「あ、あの...ヴィル?」


「うん?どうしたの?」


「えーと、あの、恥ずかしいので降ろして欲しいかと...」


そう告げても、ヴィル様はニッコリ笑って私を膝の上から降ろそうとしません。


食堂を出てから、ヴィル様は真っ直ぐ私の部屋へ向かい、今は私の部屋のソファーにヴィル様が座っている上に横抱きにされている状態でした。


「リーナ、...私に聞きたいことはないの?」


「え、う~、あ!ヴィル様!精神魔法で体に変調とかないですか?」


「こら、ヴィル様に戻ってるよ」


「あ、すみません...」


「体調は特に何も問題ないよ。精神魔法も完璧に解けたし...他に聞きたいことは?」


「う~んと、ヴィルは私と、あの、け、結婚してくれますか!?」


私に聞きたいことはないかとヴィル様が私に言ったときは悲しそうな顔をしていましたが、私が結婚してくれるか尋ねると目を見開き驚いているようでした。


「リーナは精神魔法がかかっていたとしても、あんな態度だった私を許せるの?どうしてか聞きたくないの?」


「わ、私はヴィルが戻って来てくれたからそれでいいんです。それにあれは精神魔法がかかっていたと知ってるのに、ヴィルを責めても意味がないじゃないですか。それでも、...ヴィルが、他の女性と一緒にいて、心移りして私とけ、結婚したくないって、思ってたら...」


「そんなことあるわけないじゃないか!私はリーナのことが大好きなんだ‼リーナとしか結婚したくないよ!」


そう言いながら、ヴィル様は私の頬を撫でていました。私はヴィル様をずっと見ていましたが、ヴィル様は泣き出しそうな顔をしています。


「ヴィル...私もヴィルが大好きですよ。.....私はヴィルがマリーレーヌさんに微笑んでいたことも、隣に立っていたことも見ていて、ショックでしたが...ヴィルがマリーレーヌさんの事を好きなら諦めなきゃって思ってたんです」


「そんな...」


ヴィル様が何かを言おうとするのをヴィル様の唇に人差し指を当てて、何も言わないようにしました。


「でも、やっぱり辛くて.....、私ってこんなに心が狭いんだなって思って。ヴィルの幸せを祈ろうと思うのと同時に、どうしてもヴィルを取り返したいって思ったんです。でも、あれは精神魔法が原因だって殿下に言われて、ヴィルがまだ私の事を好きでいてくれると思ったら、やっぱり嬉しくて、でも、精神魔法じゃなかったらとドキドキもしました」


「リーナ...」


「私はヴィルが私の所に戻ってきた、それだけでもういいのです」


そう言い微笑むと、ヴィル様が私のもう片方の頬に手を当て、ヴィル様の顔が近づいてきました。私はキスをしたことがなかったので、少し驚きましたが、覚悟を決めて目をつぶろうとしたところに「おっほん!」と聞こえ慌ててヴィル様から離れました。


「っち、少しは空気を読んでくれてもよくないかな?フラン」


「いえいえ、先ほど直々にアレク様からお願いされましてね。それよりも魔力石をお持ちいたしました。どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


「いえ、邪魔してしまって申し訳ありません。少し前に部屋の前にいたのですが、あきれるほどのイチャつきぶりに、いつ入ったらいいか考えものだったのですが、アレク様の''お願い``も守らないと私が殺されますからね。すみません」


イチャつきぶりという言葉に顔が熱くなってしまいましたが、先ほどまでの会話を聞かれていたことに恥ずかしくなり、私は何も言えずに俯いていました。


私は何も言えずに俯いているだけでしたが、ヴィル様はフラン様と何やら言い合っていたようです。


そんな中にイーリス殿下が「何を言い合っているんだ、お前らは..」とお兄様を連れてやって来ました。









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