54 精神魔法
「.....お兄様!魔力石見せて下さい‼」
「え、ああ‼」
私はお兄様の元に走ってお兄様から魔力石を見せてもらいました。魔力石は透明になっていて、魔力石の魔力が切れているのが分かりました。
「やっぱり...。この魔力石は切れて....」
「え!そうなのかい?」
「はい」
少し考えてもしかしたら、魔力石の魔力が足りなかったのではと考えついたので、お兄様から奪いとるような形で魔力石を見ると魔力石は透明になっていて、魔力が感じられませんでした。
これのせいで精神魔法が解けなかったとしたら、まだ可能性はあります。
「ヴィル...」
私はヴィル様に抱きつくとそれと同時に解除魔法を私の魔力の限りの魔力で掛けました。
「な、何を....」
「何をしてるの‼今すぐヴィルさんから離れて‼」
抱きついたことに反応したヴィル様は私から離れようとしましたが、私もおもいっきり抱きついていたので直ぐには離れられず、その間に解除魔法を受けたのか抵抗をしなくなりました。
マリーレーヌさんは私の後ろでずっと何かを叫んでいましたが、私はヴィル様の様子を見るのに精一杯で何を言っていたか分かりません。
「.....リーナ?」
「ヴィル、....元に戻りました?」
「ああ‼ありがとうリーナ。それと、ごめんね。婚約は破棄しないでくれるといいんだけど...」
「そんなの当たり前...ですよ...」
「「リーナ‼」」「「「「「カリーナ嬢‼」」」」」
ヴィル様の精神魔法が解けたことを確認したら、安心して気が抜けてしまい、その場に座りこんでしまいました。
「大丈夫か?リーナ」
「ええ...、大丈夫...です。ちょっと、魔力が、切れそうで...」
「え!あ、アレク!魔力石持ってないのか!?」
「ああ!持ってる!ちょっと待ってろ」
私が魔力切れを起こしそうだと言うとヴィル様がお兄様に声をかけ、それを受けてお兄様は慌てて魔力石を出してきました。
「ほら、リーナこれを」
「あ、りがとう、ござい、ます」
お兄様が出してくれた魔力石を手に握り混むと少しずつでしたが、魔力が自分に入ってくるのを感じほっとしましたが、ほっとしたとたんにヴィル様の胸に寄りかかるようにして座っているのに気づき、恥ずかしくなってしまい慌てて離れようとしました。
「ご、ごめんなさい!ヴィル様!今退きますね‼」
「こら、大丈夫だから、そのままでいて。あと、ヴィル``様``に戻ってるよ。ヴィルって言って?リーナ?」
「う~~、ヴィ、ヴィル...」
「うん、そう、いいこだね」
そう言ってヴィル様は私の頭を撫でてきました。私は恥ずかしくなって下を向いてると、マリーレーヌさんの大声が聞こえてきました。
「なにイチャイチャしてるのよ‼あなたが邪魔しなければ、このままヴィルさんと結婚できたのに‼」
「な、何を....」
「うるさい❗あなたがいるせいで私が主人公としてこの世界を生きていけてないのよ‼あなたは悪役として生きていればいいのに‼邪魔者‼」
殿下がマリーレーヌさんに反抗すると、マリーレーヌさんは「うるさい❗」と言い、そのあとは私に向かって言いました。
私はただじっと黙っていると、ヴィル様が私を抱き上げ(お姫様抱っこです)ました。
「イーリス、アレク、私達は寮に戻っています。こいつをどうにかしといて下さい。ああ、精神魔法が使えることについては私が証言しますから安心して下さい。後、フランを借りますよ。フランは魔力石を持って、リーナの部屋に来て下さい」
「え、ヴィ、ヴィル?」
「...ああ、分かった...フラン、行ってくれ」
「かしこまりました。失礼いたします」
「ちょっと、待ちなさいよ‼」
私が困惑している間に話が進み、ヴィル様は歩き出して食堂から出ようとしていました。そこにマリーレーヌさんが止めようとするとヴィル様は振り替えり、「あなたが私の前で話していたことは一言一句忘れていないので、後で楽しみにしていて下さい」と笑って(目は笑っていない)告げました。
その言葉にか、ヴィル様の笑顔にかマリーレーヌさんは口をつぐみ、私はヴィル様によって寮へ、マリーレーヌさんはテオバルト様に拘束されたまま、殿下によって応接室へ連れて行かれました。




