52 作戦会議
生徒会室に着くと私達以外の生徒会員が揃っていました。やはり何か集まりがあったのかと、慌ててしまいます。
「皆様、おはようございます。今日は何か集まりがありましたか?」
「ああ、おはよう。生徒会活動で集まるようなことはないぞ、安心しろ」
「そうですか...では、何故皆様お集まりなのですか?」
「まぁ、ちょっと色々あってな...」
「色々?」
何故か殿下は遠くを見ながら、そんなことを言われました。他の皆様を見ても苦笑いするばかりで、教えてくれそうにありませんでした。
「殿下、早くしないと時間が無くなりますよ」
「ああ、そうだな!カリーナ嬢早く座ってくれ」
「は、はい」
フラン様の言葉に殿下は慌てられて、席に座るように言われました。その言葉にしたがって、席に着くと殿下に何故今日は早く登校してきたのか聞かれました。
「特に理由はないです。早く起きたので、気分転換に早く登校したのですが.....ダメでしたか?」
「え、ああ、違う‼ダメとかじゃないんだ。ただ何か理由があったのかと思ってな...。それで、ギュータスと戻ってきたと言うことは何かあったのか?」
「?私はギュータス様に連れられて来られただけですよ。だから、特に何もないですよ?」
「何言ってるの!カリーナ嬢さっきマリーレーヌに呼び出されてたでしょ!あれを何もないと言えないでしょ!」
「なに‼マリーレーヌに呼び出されただと!どういうことだ‼」
「え、えーと」
ギュータス様の言葉を聞いて直ぐに、皆さんが一気に私の方を見ました。それに驚き一人慌てているとギュータス様が教室での出来事を話してと促してきました。
「えーとですね、私が先ほど教室へ入ったときに、ちょうどマリーレーヌさんもやって来て、私の前に立って今日の放課後は空いてるかと聞いてきたんです。でも、放課後は生徒会活動があるからと空いてないと伝えると、それじゃあお昼に食堂で話しましょうと言うことになり、一人で来てくださいと言われました」
「何だと!フラン‼この事をあいつに伝えてくれ!今日のお昼に決行だと!」
「かしこまりました。失礼します」
私の言葉を聞いた殿下はフラン様に伝言し、フラン様は生徒会室から出て行かれました。
「あの、フラン様は?」
「ああ、これからのことでちょっとな」
不思議に思い首をかしげていると、殿下が「これからの事を話す」と言われました。
「マリーレーヌからの今日のお昼の話の中で、カリーナ嬢にとって傷つく事を言われると思うが、最後にはきっといい結果になってると断言できるから、安心してくれ」
「?分かりました」
「一人で来てと言われてるから、俺たちは表だってついていくことはできないが、近くに居ることは約束する」
「分かりました」
「それでだな...」
何故か殿下は言いずらそうにしていので私は首をかしげていると、それを見て少し慌てた殿下が「カリーナ嬢は特別な魔力石を作ることが出来ただろう?」と言われ、それはお父様達しか知らないことだったので私は驚いてしまいました。
「...何故、それを」
「ああ、これは国家秘密になっているから、フェルダ公爵家と私達王家のものと生徒会メンバーしか知らない。今回のヴィルのことでフェルダ公爵が王家に申告してきたから俺は知ることが出来たし、アレクシスがもしものためにと私達生徒会メンバーには話していったから生徒会メンバーも知ることとなった」
「そうなんですか。お父様達がいったかたなら安心ですね。それで、今回のこととその魔力石のことはどう関係するのですか?」
殿下が魔力石のことについて知っていたことは納得出来たけれど、それと今回のこととどう関係するのか全く検討がつきませんでした。
「この間のヴィルが変になっていたことと関係がある」
「‼どういうことですか!?」
「カリーナ嬢がフェルダ公爵とアレクシスに渡した魔力石の効果を聞いたんだ。あれには防御魔法が展開されると聞いて、もしかしたらヴィルの魔法が解けるのかもしれないと、ヴィルに無理やり持たせた。そしたら、ヴィルがいきなり走ってどこかに行ってしまって...。それで少し探したけど見つからなかったから、生徒会室に来たら、カリーナ嬢からヴィルの様子が変だったと聞いて、あの魔力石で正気に戻れたのじゃないかと思ったんだ」
「そうなんですか❗でも、その正気にって何ですか?」
「ああ、そこからか。ヴィルはマリーレーヌから精神魔法をかけられているんだ。カリーナ嬢が前からヴィルの様子が変だったと言っていたことがあっただろう?それもマリーレーヌの精神魔法が原因だ」
まさか今までのヴィル様の変だったことが精神魔法にかかっていたからだとは驚きです。でも、今まで変になっていたときは1日も続いていたことはなかったのに今回はずっと続いていることを不思議に思い聞いてみると、それは相手の魔力切れだろうということでした。
「精神魔法が解ける条件はかけた本人がが解除するか、魔力切れを起こすか、かけた本人が死ぬかの3つしか無かった。ただ、今回のことでカリーナ嬢のあの魔力石で解けるまではいかなくても、少しの正気を取り戻すまではいった。だから、今日のお昼の呼び出しの時に、私たちがヴィルを押さえてこの魔力石を触れさせようと思う」
「そうしたら、ヴィル様は正気になれるんですね!」
「完璧にまでとはいかないだろうが、そうなると思う。だから安心してくれ」
「...はいっ!」
私はヴィル様が元に戻ってくれるかもと嬉しくなって泣いてしまった。それから、私が落ち着くまで皆さん待っていてくれました。
私が落ち着いてから、お昼の作戦会議を行った。
その作戦は、私がお昼の時間が始まって10分後に食堂に一人で向かいます。殿下たちはそれより先に食堂で待っているようです。それからは、私は普通にマリーレーヌさんと話していればいいだけだそうです。なので、作戦とは言えませんが私がやることはそれだけだそうです。
それに、先ほどフラン様はお父様とお兄様、王様、騎士の方々を呼びに行ったようで、お父様、お兄様もいるということが私を安心させました。




